世帯主を親から子に変更できる?世帯分離のメリット・デメリットを紹介

2024.03.06

世帯主を親から子に変更できるのでしょうか?
親から子に変更する手続きを「世帯分離」と言います。

どんな時期に「世帯分離」をするのが適切なのでしょう?
「世帯分離」をすると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

親の介護をしている方は、費用を軽減できる可能性があります。
では、詳しく解説していきましょう。

そもそも世帯主とは?

そもそも「世帯」とは、同じ居住地に住み、生計を共にする家族の単位のことです。
ですから、単身で生活されている場合にも「世帯」になります。

また、「世帯主」とは、住民票に記載されている世帯を代表する人になります。
世帯主は世帯の中心となる代表者として、年齢や収入に関係なく、15歳以上で同一の世帯であれば、
誰でも世帯主になることができます。

世帯分離とは?

「世帯分離」とは、住民票に登録されている、1つの世帯を2つ以上に分けることです。

現在、同じ住所に、複数の世帯主が登録されている場合や、世帯主を親から子に変更するような
場合に市区町村の役場で手続きをします。

高齢の親の介護保険サービスの費用など、負担を軽減できる可能性があります。
このように、親が要介護認定を受け、介護保険サービスを利用する時期に「世帯分離」を
検討する方が多いようです。

世帯分離をするメリット

「世帯分離」をすると、どのようなメリットがあるのでしょう。

・介護費用や保険料などの負担を軽減できる可能性がある
・国民健康保険料が低くなる可能性がある

など、自己負担を軽減できる可能性がある保険料などについて、詳しく解説していきましょう。

 介護費用や保険料などの負担を軽減できる可能性

「世帯分離」を行い、親の世帯収入が減ると、介護費用や介護保険料の自己負担が減る
可能性があります。

介護サービスを利用すると、費用を自己負担しなければなりませんが、その場合、
自己負担の限度額を超えた費用が支給される「高額介護サービス費」という制度があります。

介護保険料は世帯ごとの所得に応じて自己負担限度額が決まるため、費用を軽減できるでしょう。
親世帯の収入のみで、介護保険料が算出されるので、負担が減る可能性があります。

 国民健康保険料が低くなる可能性

「世帯分離」をすることで、国民健康保険料の納付額が低くなる可能性があります。

国民健康保険料は前年の所得と被保険者の人数により納付額が計算されるため、
「世帯分離」で親と子の世帯を分けた場合に、前年の親の世帯の所得を減少させることができれば、
国民健康保険料の負担額を減らすことが可能になります。

国民健康保険に加入している場合は、このように保険料が低くなるメリットがあることを
覚えておくと良いでしょう。

世帯分離をするデメリット

「世帯分離」をするデメリットにはどのようなことがあるでしょう。
扶養手当や保険料など、以下について詳しく解説します。

・家族手当や扶養手当から外れる可能性がある
・国民健康保険料が高くなる可能性がある
・行政手続きが煩雑である

 家族手当や扶養手当から外れる可能性

親を扶養家族として、会社の健康保険組合に加入させている場合に、親世帯が子供の会社の
健康保険組合を利用できなくなることがあります。

今まで会社から扶養手当を支給されていた場合「世帯分離」をすることによって扶養から外れ、
家族手当や扶養手当の対象外になってしまうケースがあります。

「世帯分離」をする際はこの点についても充分検討したほうがよいでしょう。

 国民健康保険料が高くなる可能性

「世帯分離」のメリットとして「世帯分離をすることで納付額が低くなる可能性がある」
と述べましたが、「世帯分離」により世帯が別になると、親と子の世帯主が、別々に
国民健康保険料を支払わなければならないため、1人で1世帯分を支払っていた場合に比べて
高額になることがあります。

これは、「世帯分離」によって親と子の世帯の所得や人数が減少し、保険料の計算基準が
変わるためです。
世帯の納付総額を確認してから「世帯分離」を検討しましょう。

 行政手続きが煩雑

「世帯分離」の手続きは、市区町村の役場に本人・世帯主・同一世帯の人、
委任状を持った代理人が「世帯変更届」を提出します。

手続きの時には以下のような手間や時間がかかります。

・親の代理で子供が行政手続きなどを行う場合、その都度委任状が必要になる
・行政手続きなどに時間がかかる
・「世帯分離」の理由を聞かれることがあるかもしれない
※介護保険料や介護費用の負担軽減を目的とした「世帯分離」は認められていないので注意しましょう。

世帯分離をする本来の目的とは?

「世帯分離」を行う本来の目的は、所得が少ない人の住民税を軽減するためです。
高齢の親と子どもが「世帯分離」をすると、親の住民税を軽減をすることが可能です。

親の世帯年収が下がると「住民税非課税世帯」になることがあります。
また、「世帯分離」とは、介護保険減額を目的とするものではありません。

「住民税非課税世帯」には、国民健康保険料の軽減・減免、高額医療費の限度の低下、
また介護保険制度では、高額介護サービス費の限度の低下、負担限度額認定による利用費用の
軽減などのメリットがでてきます。

世帯分離に向いている条件とは?

「世帯分離」に向いている条件とは、親と子が、それぞれ独立した生活をしている場合です。
子供が社会人となり、収入を得て自分の生活をしていれば、「世帯分離」は可能です。

ですが、必ずしも保険料が低くなるわけではなく、 親と子が、それぞれの世帯で保険料を支払うこと
になるため、同一世帯の時より納付額の合計が上がる可能性もあります。

もう一度、メリットとデメリットを確認してみましょう。

世帯分離の手続き方法をご紹介

「世帯分離」の手続きは、市区町村の役場に本人・世帯主・同一世帯の人、委任状を持った代理人が「世帯変更届」を提出します。

「世帯分離」の手続きで必要な書類は

・本人確認書類(マイナンバーカード・パスポート・運転免許証など)
・世帯変更届
・国民健康保険証
・印鑑
・委任状(代理人による申請の場合)

になります。
手続きに必要な書類などは市区町村によって異なりますので、事前に市区町村の役場などで
確認するようにしましょう。

世帯分離を行う場合の注意点

「世帯分離」には以下のような注意が必要です。

・国民健康保険料の負担額が増えることがある
・健康保険の扶養から外れる
・介護サービス費・医療費の合算ができなくなる
・手続きが煩雑になる
・市営住宅や公営住宅に申し込めない

などのデメリットを把握しておきましょう。
また、「世帯分離」をした後、元に戻したい場合には、元の同一世帯に戻すことは可能です。

ですが、別な住所で生活をしている場合や、「世帯分離」の目的が利益のため、
だと判断された場合に、断られることがあるので注意しましょう。

まとめ

「世帯分離」とは、同じ居住地に住み、生計を共にする家族が、住民票の世帯主を分けることです。
介護費用の自己負担を軽減できたり、社会保険料を軽減できるメリットがあります。

また、扶養家族から外れるため、住民税の金額の変更があったり、手続きに手間がかかる、
などのデメリットも紹介しました。

親から子 へ「世帯分離」をする場合には、デメリットも充分に考えた上で検討をしたほうが
よいでしょう。

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