バーセルインデックスとは?使用目的や特徴・評価基準を徹底解説!

2024.03.07

医療の分野では、患者の状態や治療効果を客観的に評価するためにさまざまな指標やツールが
利用されています。
その中で重要な役割を果たすのが「バーセルインデックス」です。

この指標は、患者の身体的機能や活動能力を評価するための有用な手法として広く用いられています。
本記事では、バーセルインデックスの定義やその重要性、そして評価基準などについて解説します。

バーセルインデックスとは

バーセルインデックスは、医療分野において患者の身体的な機能状態を評価するための
指標の一つです。

具体的には、日常生活における身体活動や生活動作の能力を数値化し、
患者のリハビリテーションや治療の進行状況を評価するのに用いられます。

バーセルインデックスは比較的簡単に点数化できるため、広く用いられており、
実際に活用しているセラピストも多いでしょう。
以下に目的や特徴、メリットなどを解説します。

 バーセルインデックスを使用する目的

バーセルインデックスでは、「食事」「移乗」「整容」「トイレ動作」「入浴」「歩行」「階段昇降」「着替え」「排便コントロール」「排尿コントロール」という10項目の日常生活動作の能力を
点数化して評価します。

これは、患者の病状や健康状態を数値化することで、その重症度を客観的に評価するために
使用されます。
患者の状態を明確に把握し、適切な治療方針を立てる上で役立ちます。

バーセルインデックスを用いることで、治療前と治療後の患者の状態を比較することが可能です。

また、臨床研究においても治療の効果や予後の評価に利用されます。
臨床試験においては、治療グループと対照グループとの比較によって、新たな治療法や薬剤の
有効性を検証する際に役立ちます。

 バーセルインデックスの特徴と活躍する場面

バーセル指数は、リハビリテーションの効果を評価するために広く使用されます。

患者の日常生活動作の自立度を定量的に評価することで、治療の進捗状況を把握し、
治療計画を調整するのに役立ちます。
高齢者や障害者のケアプランを立案する際にも、バーセル指数は役立ちます。
患者の日常生活動作の自立度を評価することで、必要な介護レベルや支援の程度を決定するのに
役立てられます。

また、新しい治療法や医療製品の効果を評価する臨床試験においても使用されます。
患者の日常生活動作の自立度の変化を定量的に評価することで、治療の有効性や安全性を
評価するのに役立ちます。

バーセルインデックスのメリット・デメリット

バーゼルインデックスには以下のようなメリットがあります。

  • メリット:
    「シンプルで簡易的なので誰でもすぐに実施可能」「世界共通の評価基準である」
    「一目で自立度がわかる」

  • デメリット:「細かな動作までは把握できない」「変化を捉えにくい」
    「具体的な動作と異なることもある」

    細かい検査は必要なく、簡単に実施可能で、結果もわかりやすいということがメリットと
    なっています。
    反面、他の日常生活検査と比べ大まかにしか評価できないため、より細かな状態把握には
    向かないのがデメリットと言えるでしょう。

バーセルインデックスの評価基準と点数

医療分野におけるバーセルインデックスは、患者の日常生活活動能力を評価するための
一般的な尺度です。

この指標は、身体機能の喪失や障害の程度を測定し、リハビリテーションや介護計画の立案に
役立ちます。
以下では、バーセルインデックスの評価基準と点数について詳しく説明します。

 食事

まずは、食事になります。
患者が自分で食事をする能力を評価します。食事の準備から摂取までの能力が含まれます。

3段階で自立は10点、見守りや介助が必要なら5点、全部において介助が必要なら0点となります。
適当な時間内に自分で食事をとって食べることができる、助具を自分で装着して食事を食べることが
できると判断されれば10点となります。

5点となる一部介助では、食べ物を細かく切ってもらうなどの介助が必要となる、
自助食器など配置して、取りこぼしがないように一部介助が必要となるなどの状態となります。

 移乗

移乗は、車椅子からベッドに移乗するまでを評価の対象とします。

患者の移乗や移動の際のリスクを評価するための指標で、特に高齢者や身体的に弱い患者など、
移乗時にリスクが高まる患者の安全性を確保するために使用されます。

車椅子またはベッドの移乗が全て自分でできるなら15点、移乗動作のいずれかに介助が必要だが、
あとは自分でできるなら10点です。

そしてベッドから起き上がり座っていることはできるが、乗り移りに介助が必要となるなら
一部介助で5点、完全に介助が必要なら0点となります。

 整容

整容動作は、手洗い、洗顔、歯磨き、髭剃り、化粧の準備や動作が自分でできるかを
「自立」か「全介助」かで評価します。

全ての整容動作が自分でできるのであれば5点、整容動作に介助が必要となるのであれば
全介助という事で0点になります。

男性であればひげ剃り、女性で化粧の習慣があれば化粧も評価項目に含まれます。
歯磨き粉を自分で出せない、入れ歯の管理ができないといったようなことがあれば、
介助が必要になるので0点ということになります。

 トイレ動作

トイレ動作は、トイレの出入り、ズボン・下着の上げ下げ、お尻を拭く、流すなどが
自分でできるかを評価します。

全てのトイレ動作が自分でできること、ポータブルトイレや尿器を使用して洗浄なども
できると判断されれば、自立できているとして10点になります。

ズボンのお尻の部分を一部介助する必要があるが、その他は自分でできる、
トイレットペーパーをとってあげる必要があるが、その他は自分でできるなどであれば
部分介助という事で5点です。

そして、完全に介助が必要な場合には0点です。

 入浴

入浴は、浴槽に入る、シャワーを使う、体を洗う、頭を洗うといった動作が自分でできるかを
2段階で評価します。

シャワー浴で入浴できる、自分で浴槽内で入浴できるなど、全ての入浴動作が自分でできるので
あれば自立できているとして5点です。

入浴に介助が必要となるのであれば、どれだけ小さな介助であっても0点となります。

入浴に関しては、浴槽につかる、シャワーを浴びる、髪や体を洗うといったことまですべて
自分でできるかが左右する部分となっています。

 歩行

歩行の評価では、平地の歩行または車椅子の移動ができるかを4段階で評価します。

見守りまたは介助なしに45m以上歩けること、装具、義足、杖、松葉杖、歩行器を使用して
45m以上歩けることに合致していれば15点です。

見守りまたはわずかな介助があれば45m以上歩けるのなら、一部介助として10点になります。

車椅子を自分で操作して45m以上移動ができるか、角を曲がること、方向転換、テーブル
・ベッド・トイレなどを含めた45m以上の移動ができるなら全介助で5点です。

歩行または車椅子での移動に全介助が必要となるなら0点です。

 階段昇降

階段昇降では、階段を安全に昇り降りができるかを3段階で評価します。
なお、昇降を評価するうえでの階段の段数はとくに問われてはいません。

見守りまたは介助なしで安全に階段の昇降ができる、手すりや松葉杖、杖を利用して階段の
昇降ができるなら10点です。

見守りまたはわずかな介助があれば安全に階段の昇降ができるなら一部介助ですので5点です。
階段昇降に全介助が必要となるなら0点です。
自立、手すり、杖などの使用はかまいません。

 着替え

着替えでは、上衣・下衣・下着・靴・装具などを着脱できるかを3段階で評価します。

靴を履いたりファスナーを締めたりなど、すべて自分で行える場合に「自立」10点と評価します。

コルセットなど装具を装着している人が着替えに介助を必要とするが、作業の半分以上は
自分でできるなら5点です。そして、着替えに全介助が必要となるなら0点です。
こちらもやはり、すべて自分で行えるかどうか、半分以上が自分でできるかどうかによって
評価が分かれます。

 排便コントロール

排便コントロールでは、便失禁がないかを3段階で評価します。

失禁なし、浣腸、坐薬の取り扱いも可能ということで、脊髄損傷者などは坐薬や浣腸を
使っても良いので失禁がなく排便コントロールが可能なのであれば10点です。

ときに失禁あり、浣腸、坐薬の取り扱いに介助を要する者も含むという事で、
坐薬や浣腸に介助が必要となる、またはたまに便失禁があるのであれば一部介助という事で5点です。
常に便失禁がある状態の場合には0点です。

 排尿コントロール

排尿コントロールでも、排便コントロールと同じく便意や尿意を感じてから排泄するまでを
1人で管理できているか、つまり失禁がないかを自立:10点、部分介助:5点、
上記以外:0点の3段階で評価します。

失禁がなく排尿コントロールが可能で、脊髄損傷者などは収尿器の着脱や清掃管理が
できているのなら10点です。

たまに尿器やトイレに行くまで間に合わず尿失禁することがある、収尿器の着脱や管理に介助が必要となる場合には5点です。
常に尿失禁がある、全介助が必要となるケースは0点となります。

まとめ

本記事では、バーセルインデックスがどんなものか、評価基準それぞれについて解説してきました。
バーセルインデックスは、世界的に使われている検査方法です。

誰でも簡単にADLを評価できる点が魅力的です。

一方で簡易的な検査項目だからこそ、バーセルインデックスのみで細かく評価するのは
難しいでしょう。
サービスの質向上や科学的介護の実現に向け、ぜひバーセルインデックスについての理解を
深めておきましょう。

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