介護におけるオムツ交換の手順は?必要なものやポイントを解説!

2024.03.07

自宅介護で負担の大きいケアのひとつはオムツ交換です。

体の大きい大人のオムツ交換をすることははじめて経験する方も多く、うまく交換できないと
悩む方もいるでしょう。

また、オムツ交換される患者さんも羞恥心があり、自尊心に配慮して短時間でオムツ交換を
終えなければいけません。
介護者も患者さんもなるべく精神的負担が少なくなるように。

ここではオムツ交換に必要な物品の紹介に始まり、詳しい手順やうまく交換するコツについて
解説していきます。

オムツ交換に必要な物品の準備

オムツ交換に必要な物品は以下の10品です。

①オムツ
②尿取りパッド
③使い捨て手袋
④使い捨てエプロン
⑤ケアシーツ
⑥ビニール袋
⑦おしりふき
⑧陰部洗浄用ボトル
⑨陰部洗浄に使うお湯と石鹸
⑩陰部清拭用タオル
⑪マスク

オムツと尿取りパッドはほぼセットで、オムツが大きく汚れていなければ尿取りパッドを
交換するのみです。

使い捨て手袋とエプロンは排泄物に触れるため、排泄物で手や服が汚れないよう手袋と
エプロンをつけましょう。

ケアシーツはオムツ交換時に患者さんのお尻の下に敷くことで、シーツを汚さずにオムツ交換を
行うことができます。

ビニール袋は汚れたオムツや尿取りパッドを入れましょう。
コストはかかりますが、匂い対策のためオムツ専用のビニール袋を利用することもお勧めです。

おしりふきは陰部洗浄を行う前に排泄物をある程度取り除いたり、陰部洗浄後のふきあげに
使用します。
陰部洗浄用のボトルは専用の物でなくても、ペットボトルや100円均一で買えるソースボトルなどで
代用可能です。
陰部洗浄につかうお湯はぬるま湯にしましょう。

石鹸は肌にあえば一般的なボディソープでも大丈夫ですが、なるべく刺激の少ない石鹸をしっかり
泡立てて使ってください。

オムツ交換の手順

オムツ交換の時はまず必要な物品を手元に準備しましょう。
オムツ交換は患者さんにとって自尊心を傷つけられ、精神的負担が大きいケアです。

手袋・マスク・エプロンをつけたら、オムツ交換を始める前に必ず声掛けをしてください。
以下ではオムツ交換をスムーズに行う手順やポイントについて解説します。

 手袋・マスク・エプロンを付け患者さんに同意を得る

オムツを着用する方は身体機能の低下や環境、病気などで自立した排泄ができなくなった方です。
オムツの使用にあたっては痒みや蒸れなどの肌トラブル、感染症など身体的リスクもあります。
さらに、「恥ずかしい」、「情けない」など自尊心を傷つけられる精神的負担も。

排泄のケアは患者さんにとって心身共に負担があるケアのため、なるべく短時間で終わらせることが
重要です。

手袋、マスク、エプロンを付けたら、まずは患者さんにオムツ交換を始めることの同意を得ましょう。
同意を得たらケアを始めますが、動作ごとに適宜声掛けをし、患者さんを尊重しながらケア
してください。

 オムツを外し、陰部の汚れふき取りオムツを捨てる

オムツ交換でまずはじめにすることはオムツを外し、陰部の汚れをふき取りオムツを捨てることです。
使用済みのオムツをすぐに捨てるためにビニール袋を広げてそばにおいておきましょう。
この時、新しいオムツも用意します。

オムツをしっかり開いてギャザーを立て、尿取りパッドを使う場合はギャザーの中にパッドを入れて
おきましょう。
準備が整ったらオムツを開きます。

タオルで陰部の汚れをふき取り、清潔にしてからオムツを捨ててください。

 オムツを腰の下に差し込み広げる

2番目に体を横向きに寝かせて、オムツを腰の下に差し込み広げます。
新しいオムツは交換前に事前に準備しそばに置いておきます。

オムツはしっかりと開きギャザーを立て、尿取りパッドを使う場合はギャザーの中に
パッドを入れておきましょう。手袋は新しいものに交換を。

患者さんの体を横向きに寝かせて、お尻周りに汚れがないか確認後、オムツのギャザーを立て、
オムツの中心が背骨にくるように腰の下に差し込み、体に沿わせるように広げてください。
この時、衣類も直しましょう。

 身体を仰向けにし、オムツを引き出す

3番目に身体を仰向けにし、オムツを引き出します。
オムツのギャザーがしっかり立っていることを確認し、横向きの姿勢から身体をゆっくりと仰向けに
します。
衣類をしっかりと直し、横向きの姿勢からゆっくりと仰向けにします。
仰向けになると改めて患者さんの顔と向き合うため声かけを。

患者さんの羞恥心に配慮し、オムツは丁寧に引き出し、真ん中に片手をあて優しく押さえましょう。
尿取りパッドを使う場合は一気に引っ張ると皮膚を擦って傷つけやすいので、少しずつずらしながら
股ぐりにフィットさせてください。

 オムツを股ぐりに沿わせる

4番目にオムツを股ぐりに沿わせます。
陰部はとてもデリケートな部分で、触られることに抵抗がある場所です。

改めて声かけし、患者さんの羞恥心に配慮しながらオムツの真ん中に片手をあて優しく
押さえましょう。
吸水ポイントが陰部の位置になるよう調整し、オムツのギャザーを外側に立ててください。
その後、股ぐりに沿わせるように広げていきます。

尿取りパッドを使う場合は一気に引っ張ると皮膚を擦って傷つけやすいので、少しずつずらしながら
股ぐりにフィットさせましょう。

 オムツの中心と身体の中心を合わせる

5番目にオムツの中心と身体の中心を合わせます。
股ぐりに沿わせて広げたオムツの中心と身体の中心が合っているか確認します。
オムツの上の端がおへその上にあたるのが目安です。
パッドを使う場合、尿動口をふさぐようにあてます。

女性の場合はパッドの真ん中を折って山型にして、尿動口に合わせることで隙間漏れを防止すること
が可能です。
男性の場合は陰茎の先を下に向けて左右から包むように巻く三角巻きで隙間漏れを防止しましょう。

 オムツの前側左右を腰の下に差し込む

6番目にオムツの前側左右を腰の下に差し込みます。
オムツを差し込む前には必ず声かけを。

差し込みは左右どちらからでも問題ありませんが、股ぐりがきつ過ぎても患者さんは辛いですし、
緩いと隙間漏れの原因になってしまいます。
最終調整はテープを貼る時に行いますが、差し込んだ時にきつさを確認しましょう。
そして、オムツのギャザーが外側に立っていることも併せて確認してください。

オムツのギャザーが立っていないと隙間漏れの原因になってしまうため注意が必要です。

 オムツのテープを貼る

7番目にオムツのテープを貼ります。
オムツのテープは平行に貼ると下にズレやすくなってしまいます。

テープを貼る時は下側のテープを斜め上向きに、上側のテープを斜め下向きにクロスするような
イメージで貼ってください。
クロスするようなイメージで貼ることでオムツがお腹まわりにフィットして、下にズレにくくなり
ます。
お腹まわりや足まわりはきつ過ぎず、指が1本入るくらいにしましょう。

足回りのギャザーがしっかり立っていることも確認してください。

 衣類の汚れなどを確認し部屋の換気をする

8番目に衣類の汚れなどを確認し、部屋の換気をします。
衣類が汚れていたら、衣類を取り換えましょう。

ケアシーツの下のシーツまで汚れてしまった場合はシーツも。
おむつ交換の後は元の状態に戻すことを心がけましょう。

おむつ交換は排泄物の匂いが残りやすく、患者様の尊厳を傷つける可能性があるため、
部屋の換気は5~15分行ってください。
換気が終わったら窓を閉めることも忘れずに。

洗いにくいカーテンやマットレスには定期的に消臭スプレーをかけておくことも匂い対策に
効果的です。
おむつ交換で使った物品や汚染されたオムツは必ず持ち帰りましょう。

オムツのつけ方のポイントは?

オムツのつけ方のポイントは大きく分けて2つあります。

  • オムツの中心と身体の中心を合わせること。
  • テープは平行に貼らずにクロスするイメージで貼ること。

    以下では、オムツのつけ方の2大ポイントについて詳しく解説します。

 オムツの中心と身体の中心を合わせる

オムツのつけ方のポイントはオムツの中心と身体の中心を合わせることです。
股ぐりに沿わせて広げたオムツの中心と身体の中心が合っているか確認します。
オムツの上の端がおへその上にあたるのが目安です。

陰部はデリケートな部分のため、患者さんの羞恥心に配慮し、優しく押さえましょう。
パッドを使う場合、尿動口をふさぐようにあてます。

女性の場合はパッドの真ん中を折って山型にして、尿動口に合わせることで隙間漏れを防止する
ことが可能です。
“男性の場合は陰茎の先を下に向けて左右から包むように巻く三角巻きで隙間漏れを防止しましょう。 

 テープは平行にはらないようにする

オムツのつけ方のポイントはテープを平行に貼らないようにすることです。
オムツのテープは平行に貼ると下にズレやすくなってしまいます。

“テープを貼る時は下側のテープを斜め上向きに、上側のテープを斜め下向きにクロスするような
イメージで貼ってください。 
クロスするようなイメージで貼ることでオムツがお腹まわりにフィットして、下にズレにくく
なります。
お腹まわりや足まわりはきつ過ぎず、指が1本入るくらいにしましょう。

足回りのギャザーがしっかり立っていることも確認してください。 

 手際よく清潔さを保ち短時間で終わらせる

おむつ交換は手際よく清潔さを保ち、短時間で終わらせましょう。
おむつ交換は介護者にとっても患者さんにとっても心身の負担が大きいケアです。
一人当たりのおむつ交換時間は3~5分で、手際よく短時間で終わらせましょう。
ただし、清潔さはしっかり保つようにしてください。
急いでいて衣類などに汚染物がついてしまったりしたら、本末転倒です。
オムツのつけ方のポイントをしっかり押さえ短時間でのおむつ交換技術を身につけましょう。

まとめ

こちらの記事ではオムツ交換に必要な物品の紹介に始まり、詳しい手順やうまく交換するコツに
ついて解説しました。

おむつ交換は介護者にとっても患者さんにとっても心身の負担の大きいケアで、患者さんの自尊心を
尊重しながらケアを行う必要があります。

オムツのつけ方のポイントを把握し、なるべく短時間でオムツ交換を行うことで介護者の負担が
少しでも軽くなれば幸いです。

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