barthel indexとは?特徴や評価項目も詳しく紹介

2024.03.14

介護、医療業界で日常生活動作の評価として使用されているbarthel index。
主に理学療法士や作業療法士が使用しているため、なじみがない方も多いかもしれません。

しかし、最近ではADL維持加算をとるための評価項目にbarthel indexに含まれているため、
介護業界に携わる方は目にすることもあるでしょう。
この記事ではbarthel indexの特徴や評価項目などを詳しくご紹介します。

barthel index(バーセルインデックス)とは?

barthel indexとは日常生活動作の評価をおこなう指標です。
アメリカの医師Mahoneyと理学療法士Barthelによって提唱されました。

barthel indexは日本語に訳され、日本でも介護施設や病院など多くの場所で利用されています。

 barthel indexの特徴

barthel indexは10項目の総合点が100点になるよう、4段階で評価します。
評価で4段階でシンプルなので、短時間で評価が行えることも特徴。
点数も5点刻みなので総合点も計算しやすいです。

また、評価結果がわかりやすいため、患者さんや家族にすぐに伝えられます。
さらに、barthel indexは理学療法士や作業療法士の国家試験で「正しいのはどれか」など
評価項目についての問題が出ることが多々あり、認知度が高いです。

barthel indexのメリット・デメリットは?

barthel indexのメリットは短時間に簡単に評価ができ、評価結果もわかりやすいことです。
しかし、大まかな能力しか評価できないため、細かいの能力が把握できないことがデメリット。

以下からbarthel indexのメリット・デメリットを詳しく説明します。

 メリット

barthel indexのメリットは短時間に簡単に評価ができ、評価結果もわかりやすいことです。
評価項目は10項目で、4段階評価のため短時間で評価が可能。

さらに、点数は5点刻みで総合点は100点なので点数が計算も容易です。
日常でできる動作を患者さんや家族も現状把握しやすく、病院や介護施設の職員も共通認識を
持つことができます。

また、barthel indexはアメリカで開発され世界共通の評価方法のため、日本以外の国でも通じること
もメリットです。

 デメリット

barthel indexのデメリットは大まかな能力しか評価できないため、細かい能力が把握できないこと
です。
評価項目で4段階で評価するため、細かい能力が評価できません。

また、動作によっては評価者により評価が変わる可能性もあります。

自立度はわかりやすいものの、細かい能力の評価はFIMやIADL尺度などを組み合わせることが
必要です。

さらに、barthel indexは日常生活でできる動作の評価のため、患者さんが実際にしている動作と
異なることがあります。
リハビリではできても、病室に戻るとできないということも。

そのため、実際の日常生活動作の情報収集や動作観察なども行いましょう。

barthel indexの評価10項目の特徴と採点方法

barthel indexは評価が10項目あり、採点は4段階です。

barthel indexの評価用紙は食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの10項目が記載。

採点方法は4段階ですが、評価項目により採点方法が変わるため、以下で詳しく説明します。

 食事

barthel indexの評価用紙には「食事」の項目があります。
食事の評価は3段階に分かれています。

自立は10点、皿やテーブルから自力で食物とり、妥当な時間で食事を終える。
食事の際、自助具を使用しても自立と評価されます。
部分介助は5点、食物を切り刻むなど、何らかの介助や見守りが必要。
全介助は0点です。
第47回理学療法士国家試験では「barthel indexで正しいのはどれか」の問題が出ており、
barthel indexの重要性がうかがえます。

 移乗

barthel indexの評価用紙には「移乗」の項目があります。
「移乗」は車いすからベッドへの移動の評価です。
評価は4段階に分かれています。

自立は15点、車いすを安全にベッドに近づけ、ブレーキをかける、フットレストを持ち上げる、ベッドに安全に移ってベッドのふちに腰かける、車いすの位置を変える、寝る。
上記動作全てと、逆の動作ができることです。

最小限の介助は10点、車いすを安全にベッドに近づけ、ブレーキをかける、フットレストを
持ち上げる、ベッドに安全に移ってベッドのふちに腰かける、
車いすの位置を変える、寝るのどれか1つ以上が最小限の介助や見守りが必要な状態。

移乗の介助は5点、自力でベッドから起き上がって腰かけられるが、乗り移りに介助を要します。
全介助は0点です。

車いすを使用しない方は自立とし、15点と評価されます。

 整容

barthel indexの評価用紙には「整容」の項目があります。
評価は2段階。

自立は5点で、手と顔を洗う、整髪する、歯を磨く、髭を剃る、女性は化粧が条件です。

髭剃りは道具は何でもよいですが、引き出しの出し入れも含めて道具の操作・管理が介助なしで
できないと自立ではありません。

女性は髪を編むなど、時間のかかる髪型にする必要はありません。
全介助は0点です。

理学療法士の国家試験ではbarthel indexで正しいのはどれかの問題で、整容の自立は何点か問われる問題があります。
整容は自立で5点なので、注意が必要です。

 トイレ動作

barthel indexの評価用紙には「トイレ動作」の項目があります。
評価は3段階。

自立は10点、トイレの出入り、ボタンやファスナーの着脱と汚れないための準備、
トイレットペーパーの使用です。
トイレの出入りは腰かけや離れを含み、手すりは使用できます。
また、トイレの代わりにポータブルトイレや尿器を使う場合は清浄管理が条件です。

部分介助は5点、バランス不安定、衣服操作、トイレットペーパーの使用に介助を要します。
全介助は0点です。

 入浴

barthel indexの評価用紙には「入浴」の項目があります。
評価は2段階。

自立は5点、浴槽に入る、シャワーを使う、スポンジで洗うが介助なしですべてできることです。
やり方はどのような方法でもかまいません。
全介助は0点です。

理学療法士の国家試験ではbarthel indexで自立の場合、5点となる項目はどれかの問題で、
整容の自立は何点か問われる問題があります。
整容は自立で5点なので正答ですが、項目によって自立は15点、10点、5点と異なるので
注意が必要です。

 歩行

barthel indexの評価用紙には「歩行」の項目があります。
評価は4段階。

自立は15点、介助や見守りなしに45メートル以上歩くことです。
歩行時に義肢、装具、杖、車輪がない歩行器を使用してもかまいません。
装具を使用する際は、ロック操作と着脱が可能なことが条件となります。
部分介助は10点、介助や見守りをして45メートル以上歩くことです。

車いす使用は5点、歩くことができないが、自力で車いすの操作ができ、45メートル以上移動できることが条件となります。
全介助は0点です。

 階段昇降

barthel indexの評価用紙には「階段昇降」の項目があります。
評価は3段階。

自立は10点、介助や見守りなしに安全に階段昇降ができます。
階段昇降時、手すりや杖を使用してもかまいません。
部分介助は5点、手すりや杖を使用しても階段昇降に介助や見守りが必要です。
全介助は0点です。

理学療法士の国家試験ではbarthel indexで正しいのはどれかの問題で、階段昇降の部分介助の点数を
答える問題があります。
正答は10点ですが、項目によって5点、10点と異なるため注意が必要です。

 着替え

barthel indexの評価用紙には「着替え」の項目があります。
評価は3段階です。

自立は10点、普段着ている衣類、靴、装具の着脱ができます。
着替え時、こまかい着方は評価せず、実用的であればどのようなやり方でもかまいません。
部分介助は5点、普段着ている衣類、靴、装具の着脱を介助するが、着替えの半分以上は自分で
おこなえ、妥当な時間に終了できます。
全介助は0点です。

理学療法士の国家試験ではbarthel indexで正しいのはどれかの問題で、着替えの部分介助の点数を
答える問題があります。
正答は5点ですが、項目によって5点、10点と異なるため注意が必要です。

 排便コントロール

barthel indexの評価用紙には「排便コントロール」の項目があります。
評価は3段階。

自立は10点、排便の自制が可能で失敗がありません。
部分介助は5点、時々失敗があり、浣腸や座薬の使用に介助を要します。
全介助は0点です。
理学療法士の国家試験ではbarthel indexで正しいのはどれかの問題で、排便コントロールの部分介助
の点数を答える問題があります。

正答は5点ですが、項目によって5点、10点と異なるため注意が必要です。

 排尿コントロール

barthel indexの評価用紙には「排尿コントロール」の項目があります。
評価は3段階。

自立は10点、昼夜ともに排尿自制が可能で、集尿バッグの装着、清掃管理ができます。
部分介助は5点、トイレに行くことや尿器の準備が間に合わず、時々失敗があり、集尿バッグの装着、
清掃管理に介助が必要です。
全介助は0点です。

理学療法士の国家試験ではbarthel indexで正しいのはどれかの問題で、排尿コントロールの自立の
点数を答える問題があります。
正答は10点ですが、項目によって15点、10点、5点と異なるため注意が必要です。

まとめ

この記事ではbarthel indexの特徴や評価項目などを詳しくご紹介しました。

barthel indexは短時間に簡単に評価でき、評価結果もわかりやすく患者さんや家族と
共有しやすいことがわかりました。

ADL維持加算をとるためには欠かせない評価のため、barthel indexの理解に少しでもお役に立てたら
幸いです。

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