世帯分離をすると国民健康保険はどうなる?Q&Aで解説!手続方法も

2024.04.01

「世帯分離」をすると国民健康保険の納付額は安くなる世帯と、高くなる世帯があります。
それは、前年の所得と被保険者の人数で納付額が計算されるためです。

「世帯分離」をした場合、前年の親世帯の所得を減少させることができれば、安くなる可能性が
あります。

また、世帯が別になるので、2世帯分の納付額を支払うため、高くなる可能性があります。
「世帯分離」のメリットやデメリット、また、手続きについて質問形式で詳しく解説します。

世帯分離とは?

「世帯分離」とは、同じ住所に住んでいる親と子が、親世帯と子世帯に住民票を分けることです。
住民票の世帯主を、親から子に変更するような場合など、市区町村役場で「世帯分離」の手続きを

します。

 介護費用が安くなる可能性がある

「世帯分離」を行い、親世帯の収入で、介護保険料が計算され、親の世帯収入が減少すると、
自己負担が安くなる可能性があります。

介護費用については、「高額介護サービス費」の負担限度が下がり、結果的に自己負担が安くなり、
公的な介護施設を利用している場合の食費と部屋代が安くなる可能性があります。
介護保険料は、「世帯分離」をした翌年度から適用されますので注意しましょう。

 介護費用や高額療養費の合算ができなくなる

「世帯分離」を行うと介護費用や高額療養費の自己負担額を合算できなくなります。
世帯ごとに1世帯分の負担額を支払うため、高くなる場合があります。

要介護者が複数いる世帯では「世帯分離」をすることで自己負担額が高くなってしまうケースが
あるので注意が必要です。

複数の要介護者がいる場合には「世帯分離」をした場合と、しない場合の、
自己負担額や利用できる制度などを市区町村の担当窓口などに相談しましょう。

 家族手当をもらえない

家族手当はもらえないのでしょうか?

今まで会社から扶養手当を支給されていた場合、「世帯分離」によって扶養から外れ、
家族手当や扶養手当の対象外になってしまい、手当が支給されない場合があります。

また、「世帯分離」で、子の世帯が会社の健康保険組合に親を扶養家族として加入させている場合、
親世帯が子供の会社の健康保険組合を利用できなくなることがあります。
デメリットにもなる場合もあるので、よく検討したほうがよいでしょう。

世帯分離に関するQ&A

Q.世帯分離をすると国民健康保険が安くなる?高くなる?
Q.無職でも世帯分離はできる?
Q.世帯分離をした方がいい人とは?
Q.世帯分離をしたあと元に戻せる?
Q.世帯分離の手続き方法は?

 Q.世帯分離をすると国民健康保険が安くなる?高くなる?

A. 結論は、安くなる世帯と、高くなる世帯があります。
その違いは前年の所得と被保険者の人数で納付額が計算されるためです。

「世帯分離」で世帯を分けた場合に、前年の親世帯の所得を減少させることができれば、
国民健康保険料の負担額を安くすることが可能になります。
逆に「世帯分離」により世帯が別になると、それぞれの世帯主が、
別々に国民健康保険料を納付しなければならないため、高くなる可能性があります。

 Q.無職でも世帯分離はできる?

A.「世帯分離」は、無職や独身の場合でも親子世帯を分ける手続きは可能です。

国民保険料が高くなったり、家族手当や扶養手当の対象から外れ、手当が受けられなくなる
デメリットもありますが、健康保険料が安くなるといったメリットもあります。

また、ニートの方の場合は、「世帯分離」をすることで、国民健康保険料が7割軽減できる可能性が
あります。
これは、国民健康保険の納付額が世帯全体の所得で計算されているためです。

 Q.世帯分離をした方がいい人とは?

A.「世帯分離」の本来の目的は所得が少ない世帯の所得税を抑えて、経済的な負担を減らすことです。

子供が社会人となり、収入を得て自分の生活をしていれば、「世帯分離」は可能です。
世帯によって、一定の条件が揃った場合に「世帯分離」を行うケースが多く、
親と子の世帯分離は主に親が要介護状態になった場合に検討するのがタイミングのようです。

また、介護サービスの負担額は本人の所得額と世帯の所得額によって決まります。

 Q.世帯分離をしたあと元に戻せる?

A.「世帯分離」をした後に元の世帯に戻すことは可能です。
これを「世帯合併」といい、同じ住所に親と子が一緒に住んでいることが必要です。

「世帯変更届」と同様に、いくつかの書類の準備が必要になります。
別な住所で生活をしている場合や、『「世帯分離」の目的は利益のためだった。』と判断された場合に、「世帯合併」を断られることがあります。
この世帯合併については、「世帯分離」のように簡単というわけではありません。

 Q.世帯分離の手続き方法は?

A.「世帯分離」の手続きは、市区町村役場へ本人・世帯主・委任状を持った代理人が「世帯変更届」
を提出します。
手続きに必要な書類は以下のようになります。

・世帯変更届
・国民健康保険証
・本人確認書類(マイナンバーカード・パスポート・運転免許証など)
・印鑑
・委任状(代理人による申請の場合)

手続きに必要な書類などは市区町村によって異なる場合がありますので、事前に市区町村役場などで
確認しましょう。

まとめ

「世帯分離」とは、住民票を親世帯と子世帯に分けることです。
「世帯分離」をすると、国民健康保険や介護保険の納付額が安くなる世帯と、高くなる世帯が
あります。
その違いは、親と子の各世帯の前年の所得と被保険者の人数で納付額が計算されるためです。

「世帯分離」によって、国民健康保険料や介護保険が安くなるといったメリットもありますが、
家族手当や扶養手当の対象から外れてしまうデメリットもあります。

「世帯分離」は、無職やニートの場合でも親子世帯を分ける手続きは可能です。
「世帯分離」の手続きは、市区町村役場へ本人・世帯主・委任状を持った代理人が「世帯変更届」を
提出します。
親と子の「世帯分離」は主に親が要介護状態になった場合に検討するのがよいでしょう。

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