高齢化が進んだ日本において、70歳を過ぎた人でも健康に過ごしている人が多くなりました。
しかしいつかは親の介護をする日がやってきます。
親の介護をどうすればよいのかわからず、ひとりで悩んでしまうこともいるでしょう。
そこで今回は親の介護で知っておきたいことや、介護ができない時の解決策などを中心に
紹介していきます。
目次
親の扶養義務は法律によって定められています。
ここでは親の扶養義務の対象やその内容についてみていきましょう。
親の扶養義務の対象者は民法877条第1項に定められています。
民法には直系血族及び兄弟姉妹はお互いにに扶養する義務があるとの記載があり。
ここでいう直系血族とは祖父母、父母、子ども、孫などが該当します。
特別な事情のみ三親等内の親族が扶養義務を負う可能性もあり。
そのため子どもの配偶者である嫁・姑の関係の場合は扶養義務がありません。
親の扶養義務があるのは親の兄弟姉妹や子ども、孫などでありますが、実際は親の兄弟姉妹は
高齢である可能性が高く、子どもが扶養しているのが実情です。
扶養義務の内容は主に2つあります。
・身上の面倒を見る扶養
・経済的な支援をする扶養
身上の面倒を見る扶養とは同居しての介護や介護施設の選択などが該当します。
経済的な支援をする扶養は介護費用の援助です。
扶養義務は原則として経済的な支援をする扶養を行えばよいことになっています。
同居しながらの扶養であれば身上の面倒を見る扶養を行えばよいです。
しかし扶養する側にも生活があるため、収入に合わせた支援を行いましょう。
親の介護を放棄すると法律により刑罰の対象になる場合があります。
ここでは介護を放棄した場合に受けるであろう刑罰について解説します。
扶養義務を守らずに親の介護を放棄した場合「保護責任者遺棄罪」に該当する場合あり。
これに該当すると3ヶ月以上5年以下の懲役が科せられる可能性があります。
さらに介護放棄が原因で親が亡くなったりけがをしてしまった場合「保護責任者遺棄致死罪」
や「保護責任者遺棄致傷罪」に該当します。
「保護責任者遺棄致死罪」では3年以上20年以下の懲役。
「保護責任者遺棄致傷罪」では3ヶ月以上15年以下の懲役が科せられるため、注意が必要です。
親の介護をしたくてもできないやそもそも介護自体をしたくない人も少なくありません。
ここでは介護ができないなどの主な理由4つをみていきましょう。
まずあげられるのが、親との関係そのものが良好でないことです。
例として親から虐待されてきたことが原因で親子間の関係がよくないケースがあげられます。
その他にも以前は何も言われていなかったのに、親の介護が必要になってから「親の介護は子どもが
やって当たり前」と必要以上に迫られた場合です。
親が必要以上にプレッシャーを与えることで、介護すること自体に苦痛を感じてしまいます。
こうなってしまうと介護をしたくても介護できないと考えてしまい、結果として介護をしたくない
という結論に至ってしまいます。
次にあげられるのが経済的な理由です。
自分たちで介護をすることができない場合、多くの人が施設を利用するでしょう。
しかしその分施設利用料などで経済的な負担が増します。
施設利用料を親の資産から出せれば問題はないのですが、親に資産がない場合もあります。
そうなると負担するのは自分たちとなりますが、経済状況は人によって様々です。
介護費用の捻出に苦労する人もいるでしょう。
このように経済的に苦しい人は親の介護をしたくてもできないといわざるを得ません。
3つ目にあげられるのが介護する側の精神的な負担です。
介護を分担して行えるのであればまだよいのですが、ひとりで親の介護を行うには精神的な
負担が多くかかります。
介護を頑張りすぎることで自分に余裕がなくなり、ストレスを抱えていくことに。
ストレス発散できればよいのですが、日々介護に追われていると発散できません。
その結果抱え続けたストレスによって精神的な病を抱えることになります。
精神的病を抱えたままでは介護はできません。
精神的な負担を抱えることで、介護ができなくなるケースも少なくありません。
最後にあげられるのが時間的な負担です。
親の介護をするには多くの時間を必要とします。
場合によっては自分の仕事を辞めて介護をすることにも。
仕事を辞めることで時間の確保はできますが、それと引き換えに経済的な不安を抱える場合も
あります。
また介護に多くの時間を取られるため、自分の時間の確保が難しくなります。
一人の時間を確保できないことで、精神的にも不安を抱える場合も。
このため時間の確保が難しく介護ができない場合もあります。
親の介護が自分ではできず困ったことがある人も少なくありません。
しかし安心してください。親の介護ができない時の解決策はあります。
ここでは主な解決策を3つ紹介します。
親の介護ができない時は介護施設や訪問サービスを利用しましょう。
在宅での介護の場合、仕事を辞めなくてはいけないケースが出てきます。
そんな時は訪問サービスや介護施設の利用を検討。
訪問サービスや介護施設を利用するためには利用料などの費用を負担することになります。
しかし、健康保険や介護保険などを利用することで費用負担の軽減が可能です。
費用負担に利用できる制度は積極的に活用しつつ、サービスを利用しましょう。
費用面で介護が難しいときは、親の生活保護を検討しましょう。
次の条件に当てはまれば生活保護を受給できます。
・資産を持っていない人
・働くことができない人
・ほかに利用できる公的制度がない人
・親族からの支援を受けられない人
この条件を満たすことで生活保護が受けられます。
生活保護受給が決まったら、受給額内で利用できる施設を探しましょう。
介護は自分一人だけで行うものではありません。
兄弟や親族がいるのであれば、彼らと分担できないか相談しましょう。
特に兄弟姉妹は平等に介護を行う義務があります。
兄弟姉妹とローテーションで介護を順番に行うのは大事です。
また兄弟姉妹が介護を拒否するのであれば、金銭的な支援を行うよう相談しましょう。
介護の問題は親がなくなり相続が発生したときに、大きなもめごととなります。
兄弟姉妹ときちんと相談し、親の介護を平等に行う等努めましょう。
扶養義務があることから親の介護はしっかりと行わなくてはいけません。
場合によっては罪に問われますが親に生活保護を受給させるなど、介護ができない時の
対処法もあります。
また利用できるサービスを活用し、介護の負担を減らすことも大切です。
この記事を参考に自分に合った介護方法を見つけましょう。