超高齢化社会の日本は年々介護や支援を受ける高齢者が増えています。
厚生労働省によると、令和3年度の要介護認定者は約690万人。
要介護認定は7段階あり、要介護4要介護認定のなかでも2番目に重い状態ですが、
具体的にイメージできない方もいるのではないでしょうか。
こちらの記事では要介護4の身体の状態や、給付金、自宅介護などを詳しく解説します。
目次
要介護4とは寝たきりのかたも多く、排泄や食事など日常生活のほとんどに介助が必要な状態です。
7段階の要介護認定のなかでも2番目に重いのが要介護4。
以下では要介護度の認定基準や要介護5との違いを詳しく解説します。
要介護度の認定基準は7段階。
7段階がそれぞれどういう状態か説明します。
要支援1:基本的には一人で生活できるが、家事など一部の日常生活動作に見守りや介助が必要。
要支援2:基本的には一人で生活できるが、家事など一部の日常生活動作に見守りや介助が必要で、
要支援1よりも足腰が弱っている状態。
要介護1:歩くときは杖など支えが必要で、入浴やトイレに部分的な介助を要し、家事は一部支援が
必要。
要介護2:立っているときも支えが必要で、入浴やトイレに部分的な介助を要し、家事は全般的に支援、部分的な理解力低下あり。
要介護3:自力で立つことが難しく、トイレなどの日常生活動作はもちろん家事など全般的に
介助や支援が必要で、認知機能が低下し問題行動をとる可能性あり。
要介護4:トイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しく車いす
を使用する方が多い。
要介護5:介助なしでは日常生活を送れず、コミュニケーションも難しい状態。
要介護4と要介護5との大きな違いは要介護認定等基準時間です。
要介護等認定基準時間とは介護にかかる時間。
一次判定では認定調査で把握した高齢者の能力、介助方法、障がいの有無などをコンピューターに
入力して判定をおこないます。
要介護4は90分以上110分未満、要介護5は110分以上です。
一次判定後、介護認定審査会で二次判定がおこなわれ要介護度が認定されます。
また、要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、
立ち上がりや歩くのが難しく車いすを使用する方が多いですが、
要介護5は介助なしでは日常生活を送れず、コミュニケーションも難しいため、
要介護4は要介護5よりは軽い状態です。
要介護4でもらえる給付金は1ヵ月あたり、30万9380円です。
介護サービスの費用は介護報酬といい、単位をもとに計算されます。
基本的に1単位10円。
要介護度やサービスによって異なります。
要介護4での訪問看護は30938単位、4時間以上5時間未満のデイサービス利用で557単位、
ショートステイは1日あたり806単位です。
介護度に関わらず訪問入浴介護は1260単位、訪問リハビリテーションは1回307単位と
定められています。
要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しく
介護者の負担が大きい状態です。
在宅で介護する場合、ケアマネージャーに介護サービスの利用料金を確認し、
サービスを調整しましょう。
要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しいため、
一人暮らしは難しいと言われています。
また、認知機能も低下していることが多く、危険行動をする可能性も高いです。
一人暮らしをした場合、3つのリスクがあります。
①病気や怪我の発見が遅れる可能性あり
介護サービスが入っていても時間が限られるため、すぐに発見できないこともあります。
また、一人で歩けないのに歩いて転んで骨折などの怪我につながることも。
②災害時にすぐに対応できない
避難が必要なレベルの地震が来たとき、一人で逃げることは困難であり、救助も遅れる可能性が高いです。
③孤独感を感じ、老人性うつになる
老人性うつは正式な病名ではなく、65歳以上の高齢者がうつ病を発症したときの呼称。
一人暮らしだと、介護サービスを利用していても一人の時間が長くコミュニケーションをとる
機会が少なくなります。
老人性うつは頭痛や不眠など身体の不調を訴えることが多いため、うつ病と気付かれにくく治療が
遅れやすいです。
要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しいため
介護者の負担が大きいです。
身体的・精神的ストレスが溜まり、自宅介護が無理と感じる人も少なくないでしょう。
以下では自宅介護が無理と感じる原因を詳しく解説します。
自宅介護が無理と感じる原因は、1日中目が離せないことです。
認知症が進行している方は行動が予測できないため、歩けないのに歩いてしまい転んで怪我を
してしまうことがあります。
少し目を離した隙に勝手に動いて転んでしまったというのはよく聞く話です。
要介護4だと病気で在宅酸素療法をしていたり、モニターをつけている方もいます。
状態が不安定だとアラーム音が鳴るので油断できません。
余命が1週間と宣告されている方もいるでしょう。
1週間とはいえ、いつ状態が急変するかは誰にもわかりません。
看取る家族は外出したときに急変したらと思うと、行動に制限をかけてしまう人もいるでしょう。
自宅介護が無理と感じる原因は、介護者の身体的ストレスです。
要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しいため
車いすを使用する方が多いです。
ベッドから車いすへ移動させるのも一苦労で腰などに負担がかかります。
寝たきりであればオムツ交換も必要。
オムツ交換は1日に4回程度で、1~2回は介護サービスで対応しても、それ以外は家族がおこなわ
なければいけません。
オムツ交換は早くても3分はかかりますし、腰などにも負担がかかる重労働です。
要介護4は日常生活動作全般に介助が必要なため、介護者の身体的ストレスははかりしれません。
自宅介護が無理と感じる原因は、介護者の精神的ストレスです。
認知機能が低下していると話が理解できず問題行動を起こしてしまう可能性があるため、
介護者は常に気を張っていなければならないでしょう。
また、周囲に頼れる家族がいないと、自分が頑張らなきゃと一人で抱え込んでしまう介護者もいます。
さらに、介護サービスを複数利用していると人間関係に疲れてしまうこともあるでしょう。
要介護者に合わせた生活をおこなうため、自分の生活リズムも乱されます。
介護者の精神的ストレス要因は多数あり、ストレスが溜まるのは無理もないです。
自宅介護が無理と感じる原因は、介護者の経済的ストレスです。
介護と仕事の両立はとても大変です。
介護休業する際は介護休業給付金の制度もありますが、日雇い労働者など給付金がもらえない方も
います。
要介護4はトイレなど日常生活動作のほぼすべてに介助を要し、立ち上がりや歩くのが難しいため、
複数の介護サービスを利用する方も多いでしょう。
介護サービスの自己負担に加え、普段の生活費。
介護のため、転職や退職したり時短勤務を選んだ場合は、収入の減少などにより経済的ストレスを
かかえる可能性が高いです。
経済的ストレスを抱えた状態での介護は精神的ストレスにつながることもあるので注意しましょう。
介護者の身体的、精神的ストレスが大きい場合は介護施設入居を検討しましょう。
要介護4は在宅介護と介護施設入居が半々。
入居できる施設は特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、
介護医療院などがあります。
自宅での介護が無理と感じたら、まずはケアマネージャーに相談してみましょう。
要介護4で利用できるデイサービスの回数は基本的に制限はありません。
要介護度が高くなるにつれて利用頻度が上がる傾向があり、要介護4だと週4~5回利用される方が
多いです。
ただしデイサービスの空き状況などによって、2ヵ所のデイサービスを掛け持ちするケースもあります。
利用時間に決まりはありませんが、一般的には9~17時までサービスを提供するデイサービスが
多いです。
半日利用も可能なので、ケアマネージャーに相談し、デイサービス利用時間を調整しましょう。
要介護4のデイサービス料金は利用時間によって異なります。
要介護4は1回あたり3~4時間未満で530単位、4~5時間未満で557単位、5~6時間未満で876単位、6~7時間未満で897単位、7~8時間未満で1018単位。
その他に要介護者の身体状況などにより個別機能訓練加算や入浴介助加算、認知症加算など
サービス加算が追加されます。
要介護4でもらえる給付金額の上限は1ヵ月あたり、30万9380円のため、ケアマネージャーに
相談しながらサービスを調整しましょう。
また、要介護4の方の自己負担は1割だと30980円ですが、2割や3割になると自己負担の金額も増える
ので注意が必要です。
こちらの記事では要介護4の身体の状態や、もらえる給付金、自宅介護などを詳しく解説しました。
要介護4の方は排泄や食事など日常生活のほとんどに介助が必要な状態で介護者の
身体的、精神的、経済的ストレスがとても大きいです。
在宅介護されている方は介護サービスを調整し、少しでもストレスが緩和されることを願っています。