生活が苦しいと夫婦間で世帯分離を考える人もいるでしょう。
年金で生計を立てている方は特に悩まれているかもしれません。
世帯分離とはその名のとおり世帯を分けることです。
しかし、民法では夫婦は同居し互いに協力して扶助する義務があると定められており、
原則として世帯分離はできません。
こちらの記事では夫婦間で世帯分離が認められる条件や注意点、手順を詳しく解説します。
目次
世帯分離とは同じ家に住む家族でありながら世帯を分けることです。
世帯を分けることで、1世帯あたりの年収が下がり、国民健康保険料が安くなることがあります。
世帯分離の例として、同じ家に住むのは父親・母親・息子・息子配偶者・息子の子どもの5人。
世帯分離すると、①父親(世帯主)・母親、②息子(世帯主)・息子配偶者・息子の子ども、
と2世帯に分けられます。
上記のように世帯主ごとに住民票を分けることが可能です。
一般的には要介護者が同居している場合に世帯分離を考える方が多いでしょう。
ただし、世帯分離は手続きに時間がかかり、健康保険組合が利用できなくなるなどのデメリットも
あるため注意が必要です。
夫婦間での世帯分離は可能かと考えたことがある方もいるかもしれません。
夫婦であっても生計関係をともにしていなかったり、事実上の別居関係で別々の生計であることが
認められれば世帯分離が可能です。
以下では夫婦間での世帯分離が認められる条件などを詳しく解説します。
夫婦間で世帯分離が認められる場合は夫婦間で生計をともにしていないという事実関係が
認められたときです。
夫婦間で世帯分離が認められる条件を2つ提示します。
高すぎる保育料や保険料に悩み、世帯分離を考える方もいるでしょう。
民法では夫婦は同居し、互いに協力し、扶助する義務があると定められており、
原則として世帯分離はできません。
民法上、夫婦の一方が扶助を必要としたとき、他方は自分と同等の生活を送れるように
サポートすることが義務付けられています。
離婚が前提で別居しており、完全に生計を別にしていることが認められれば世帯分離は可能です。
しかし、離婚をすることに相互が合意をしていても、生計をともにしていたら世帯分離は
認められません。
生計をともにしている状態では世帯分離は認められないため、世帯分離を考えている方は
夫婦間で話し合い、生計を完全に別にしてから役所に相談しましょう。
夫婦間での世帯分離のメリットは住民税の軽減などです。
前提として、民法では夫婦は同居し、互いに協力し、扶助する義務があると定められており、
原則として世帯分離はできません。
世帯分離が認められるためには、別居等で生計をともにしていないことが条件です。
夫婦のどちらかが介護施設に入所している場合、世帯分離のメリットを感じられることが
多いでしょう。
年金で生計を立ていて生活が苦しい場合、施設に入所した方の住所を介護施設に移すことにより、
住民税や介護保険料などの軽減が可能です。
また、住民税や介護保険料などの軽減があっても生活が苦しい場合は生活保護も申請できるので、
各自治体の役所に相談しましょう。
夫婦間で世帯分離する際に注意点があります。
世帯分離すると、国民健康保険料が増える可能性や医療費の合算ができず、
所得税や健康保険の扶養から外れることも。
以下では夫婦間で世帯分離する際の注意点を詳しく解説します。
夫婦間で世帯分離すると国民健康保険料が増える可能性があります。
国民健康保険料は世帯主が納めなければいけません。
国民健康保険料の計算には平等割があり低所得・高所得関係なく全世帯平等に負担します。
世帯分離すると、一世帯ごとの保険料は安くなっても、平等割により国民健康料が増える可能性が
あるので注意が必要です。
ただし、国民健康保険から後期高齢者医療制度へ移行した方がいる世帯は特定世帯として
減免措置を受けることが可能であるため、役所に相談してみましょう。
夫婦間で世帯分離すると医療費の合算ができなくなります。
要介護者がいる世帯にとって世帯分離すると介護費や医療費の軽減されるのがメリットです。
高額介護サービスの負担額の上限は区分により異なりますが月額14万100円が上限となっています。
高所得者の方は世帯分離を検討してもいいかもしれません。
しかし、2人以上要介護者がいる場合は世帯分離をすることで損をする可能性もあります。
世帯分離をした場合としない場合でシミュレーションし、自分だと難しい場合はケアマネージャーや
ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
夫婦間で世帯分離すると所得税や健康保険の扶養からは外れる可能性があるため注意が必要です。
世帯分離をしていても扶養控除を受けるには条件があります。
①単身赴任しているが週末は一緒に過ごしている。
②別居していても生活費や教育費などを送金。
また、世帯分離をすると扶養手当や家族手当がもらえなくなる可能性もあります。
家族手当は自治体や各企業によって異なるため確認が必要です。
扶養手当や家族手当の支給額と世帯分離することで軽減される保険料等をシミュレーションし、
世帯分離を検討しましょう。
夫婦間で世帯分離をすると、役所での煩雑さが増えます。
世帯分離の手続きができるのは本人か世帯主。
代理人がおこなう場合は委任状と代理人の身分が確認できる運転免許証などが必要です。
手続きに必要なものは本人確認のための運転免許証やマイナンバーカードなどの書類と印鑑。
印鑑は不要なこともありますが念のため持参しましょう。
国民健康保険に加入している方は保険証も忘れずに。
次に役所の窓口で世帯変更届を記載し、提出します。
窓口で世帯の生計などについて聞かれることがあるため、時間に余裕をもって手続きにいきましょう。
手続きの際は世帯分離することで費用負担が多くならないか、確認を忘れずに。
夫婦間で世帯分離をする手順を詳しく説明します。
①夫婦間で生計を完全に分ける。
離婚に相互が合意をしていたとしても、生計をともにしていたら世帯分離は認められません。
生計をともにしている場合は生計を完全に分けることからはじめましょう。
民法では同居している夫婦は原則世帯分離が認められないため注意が必要です。
②役所の窓口に世帯変更届を提出する。
世帯分離の手続きができるのは本人か世帯主。
印鑑は不要なこともありますが、念のため持参しましょう。
国民健康保険に加入している方は保険証も忘れずに。
手続きに必要なものは本人確認のための運転免許証やマイナンバーカードなどの書類と印鑑。
役所の窓口で世帯変更届を記載し、提出したら手続き完了です。
役所の窓口で世帯変更届を記載し、提出したら手続きは終了です。
こちらの記事では夫婦間で世帯分離が認められる条件や注意点、手順を詳しく解説しました。
民法では原則同居夫婦の世帯分離はできませんが、夫婦のどちらかが介護施設に入所していたり、
事実上別居状態であり、生計をともにしていないと世帯分離は可能です。
ただし、国民健康保険料が増える可能性や医療費の合算ができなくなるデメリットもあります。
世帯分離を考えられている方は世帯分離をする前にこちらの記事の注意点や手順を読んでいただき、
手続きをしていただけたら幸いです。