世帯分離は、家族が一緒に暮らす家庭から、別々の世帯として生活することを指します。
この選択は、税金や社会保障など様々な面で影響を与えることがあります。
そこで今回の生地では、世帯分離の扶養からの影響について考察し、そのメリットとデメリット
について解説します。
これから世帯分離をしようと思っている方や、扶養に関するあれこれが気になっている方は
是非参考にしてみてください。
目次
「扶養」とは、一定の条件を満たす者を支援することを指します。
これは、経済的な援助や心理的なサポートなど様々な形で表れます。
扶養の対象は、子供や高齢者、障害者、または経済的に自立できない他者など多岐にわたります。
まずは、さまざまな形態の扶養とその意義について探っていきます。
税法上の扶養とは、家計を支える納税者の配偶者・子ども・親などが、(納税者)の所得から
一定金額の控除を受けられる制度です。
控除を受けられる、いわゆる被扶養者は所得税や住民税が免除されます。
被扶養者でなければ、当然、所得税などの納税義務が生じます。
扶養の状況は、所得税の扶養控除に関わってきます。
扶養控除とは、扶養親族の数に応じて一定の金額が所得から控除される制度のことです。
扶養に入っている場合、所得税の控除には配偶者以外の親族が対象となる「扶養控除」と、
配偶者が対象となる「配偶者控除」「配偶者特別控除」があります。
健康保険の扶養とは、収入がなく生計を立てられない家族や親族に代わって健康保険に
加入する制度です。
扶養する側を「扶養者」、扶養される側の家族や親族を「被扶養者」と呼びます。
被保険者と同一生計で年間収入が一定以下の親族は被扶養者として健康保険に加入することが
可能です。
被扶養者は保険料の負担なく、被保険者と同様、3割負担で医療機関を受診することができます。
認定対象者の年間収入が130万円未満、被保険者の年間収入の2分の1未満であることと言ったような
条件があります。
「世帯分離」とは、家族や同居者が別々の住居で暮らすことを指す言葉です。
通常、同じ敷地内に複数の住居が建っている場合や、同じ建物内の別々の部屋を利用している
場合に使用されます。
例えば、子供が成人し独立した生活を始める際に、親や家族とは別の住居を持つことが考えられます。
また、夫婦が離婚した後も同じ敷地内に住んでいた場合、それぞれが別の住居に移ることも
世帯分離と呼ばれることがあります。
家族や同居者の関係が変化したり、個々の生活スタイルやニーズが変化した際に、世帯分離が
検討されることがあります。
世帯分離は家族や個々のメンバーがそれぞれ独立して生活する形態であり、その利点と欠点は
多岐にわたる部分もあります。
経済的自立や個人の自己実現を促進する一方で、家族の支えが薄れる可能性もあります。
ここからは、世帯分離のメリットとデメリットについて探求していきます。
世帯分離の主なメリットは、介護費用の軽減です。
世帯分離をすると、親が単独世帯となり、親の所得のみが介護費用負担額の算定材料となります。
一般的に65歳以上になると現役時代よりも所得が減るので、介護費用の負担が軽減される可能性が
高いのです。
世帯分離をすると、住民税非課税世帯となるので、これを目的に行われる場合が多いです。
特に高齢者が世帯分離をする理由は、世帯分離をすることで介護保険の自己負担額を下げることが
できるからです。
介護費用や住民税などに関するメリットがある一方で、デメリットもあります。
例えば、世帯分離すると、各世帯で国民健康保険料を納めるため、結果的に保険料が高くなる
ケースがあります。
世帯分離によって、子供は親の扶養から外れます。
そのため、親は子供に対して扶養手当や家族手当などの給付金を受け取れなくなるのです。
また、親の代わりに子供が行政手続きなどを行う場合、都度委任状が必要になります。
その他、介護サービス費・医療費の合算が出来なくなるといった点も考えられます。
世帯分離により扶養から外れると、生活や税金にどのような影響があるのでしょうか?
世帯分離の意味や手続き、外れた後の変化について詳しく解説します。
新たな生活スタイルに伴うメリットやデメリット、税金や社会保険の取り扱いなど、
押さえておくべきポイントをご紹介します。
まず、所得税の扶養から外れた場合についてです。
国税庁によれば、所得税の扶養親族に該当する人の範囲には「納税者と生計を一にしていること」
という要件があります。
一方で、住民票の考え方では「世帯とは、居住と生計をともにする社会生活上の単位である」となっています。
所得税の扶養から外れた場合、70歳以上の親の場合は老人扶養親族として48万円
(同居の場合は58万円)の所得税控除をうけられなくなります。
そのため、70歳以上で同居の親が扶養から外れると、子供の所得にかかる所得税率が10%の場合は
年に5万8000円、20%の場合は11万6000円多く所得税を納めることになります。
世帯分離によって、扶養内だった家族が扶養から外れる可能性があります。
社会保険上の扶養から外れた場合、75歳未満の親を扶養している場合は親の国民健康保険料の支払い
が必要になります。
というのも、健康保険では扶養家族の人数に関係なく、給与額(標準報酬月額)に応じて保険料が
決まっているからです。
また、扶養手当や家族手当をもらっている場合も同様に手当てを受け取れなくなる可能性があります。
世帯分離によって国民健康保険料が変更となるタイミングは、「申請日以降で最も近い4月1日」です。
世帯分離は家族関係や経済状況の変化に伴い、重要な手続きです。
世帯分離の手続き方法を詳しく解説します。
家族の変化により生じる様々な法的手続きや手続きの流れ、必要書類などについて理解を深める
ことで、スムーズな手続きの実行が可能になります。
世帯分離の主なメリットは、経済的なものです。
・介護保険サービス費の自己負担割合・自己負担額の上限を下げられる
・介護保険施設の居住費と食費が軽減できる
・低所得者向け給付金を受け取ることができる
世帯分離の本来の目的は住民税の軽減です。
世帯ごとに年の所得を計算するため、世帯分離を行うことで世帯の所得額が減ると住民税が減ること
があります。
更に、世帯分離を行って前年の世帯所得を下げられれば、その分負担額も軽減されます。
ただし、世帯分離によってすべての世帯が負担額を減らせるわけでない点には注意が必要です。
世帯分離の手続きには、次のような書類が必要です。
・住民異動届書
・運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの本人確認書類
・国民健康保険証(加入している場合)
・委任状(届けを行う方が代理人の場合)
・夫婦間の世帯分離の場合は家計が別であることの疎明資料(源泉徴収票、課税証明書等)
世帯分離の手続きは、本人または世帯主が行うことができます。
世帯主には、分離した互いの世帯の世帯主も含まれます。
代理人が手続きを行う場合は、委任状と委任者の本人確認書類のコピーが必要です。
世帯分離の手続きとして、市区町村の担当窓口で「世帯変更届」を提出します。
本人・世帯主・同世帯の人、委任状を持った代理人が「世帯変更届」を提出します。
窓口では口頭で世帯の生計や生活について確認される場合があります。
役所で住民票などの必要書類を取得して、所定の書類に必要事項をすべて記入します。
ご家族が高齢により手続きが難しい場合は、代わりに手続きを行うために委任状の用意も必要です。
また、世帯分離の手続きは、世帯の合併や分離があった日から14日以内に行う必要があります。
本記事では、世帯分離のメリットやデメリット、手続き方法を解説しました。
世帯分離のメリットは、財産管理や税金の効率化、家族関係の明確化といったように様々あります。
しかし、手続きが煩雑であったり場合によっては分離する前とは別の費用が発生するといった事も
想定されます。
介護の観点で言えば、状況によりますが、基本は介護度が高い方ほど世帯分離をした方が
いいでしょう。
是非とも参考にしてみてください。