利用権方式とは老人ホームへ入居する際の契約方法のひとつです。
法律で定めれられてはいませんが、多くの老人ホームで採用されています。
言葉になじみのない方も多いかもしれませんが、超高齢化社会の日本では老人ホームに入居する方も
増加傾向です。
こちらの記事では利用権方式をはじめ、老人ホームや介護施設の契約方式を詳しく解説します。
目次
利用権方式とは老人ホームへ入居する際、入居一時金を支払うことで入居する権利や
介護サービスを利用する権利を得る契約です。
利用権方式は法律で定めれられてはいませんが、多くの有料老人ホームで採用されています。
以下では、利用権方式と賃貸借方式との違いを詳しく解説します。
賃貸借方式は借地借家法に基づいた契約方式であり、利用権方式と賃貸借方式との違いは4つあります。
利用権方式は初期費用が高額です。
そのため、全額前払い方式、一部前払い方式、月額方式の3種類の支払い方法が選べます。
各支払い方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どの支払い方法にするか悩む方もいる
でしょう。
以下ではそれぞれの支払い方法を詳しく解説します。
全額前払い方式はその名のとおり、入居にかかる費用を一括で支払う方法です。
全額前払い方式の計算は1ヵ月の費用(家賃・食費・管理費・介護費など)の月々の合計金額を
確認し、1ヵ月の費用と想定入居期間分により算出した年数を使い金額を確定。
想定入居期間は、平均寿命から割り出されます。
メリットは想定入居期間を超えても追加料金が発生しないことです。
長生きすればするほどお得な支払い方法でしょう。
デメリットは入居期間中に老人ホームの料金が下がっても、差額返金が受けられないことです。
一部前払い方式は終身に渡って支払う料金の一部を入居一時金として支払い、
残りを毎月の利用料と併せて支払う方法です。
一部前払い方式には返還精度があります。
一般的に入居時の初期償却として20%~30%程度が償却され、その後5~15年で全額を償却するため、償却年数以内に退去した場合は規定の金額が返還されるのがメリットです。
しかし、一部前払い方式は初期費用は抑えられるものの、月の支払額は増えるので注意が
必要でしょう。
一定期間入居していると月々の利用料が割高になってしまうため、入居する年数が長ければ長いほど
割高になってしまうことがデメリットです。
月額払い方式は入居時にまとまった金額を払わず、1ヵ月ごとに利用料金を支払う方法です。
毎月の利用料金に加えて入居一時金に相当する金額を利用料金に上乗せして定額で支払います。
メリットは老人ホームの利用料金が下がれば月額利用料も下がることです。
また、施設待ちなど短期間の利用に適しています。
デメリットは老人ホームの利用料金が上がると月額利用料も上がることです。
前払い方式よりも月額利用料が高めに設定されているため、入居期間が長期になってしまうと
経済的見通しが立ちにくいため注意が必要でしょう。
利用権方式にはメリットもデメリットもあります。
入居一時金を前払いすればその後の負担を減らすことがメリット。
デメリットは入居一時金が高額なためまとまったお金を用意する必要があります。
以下では利用権方式のメリットとデメリットを詳しく解説します。
利用権方式は入居一時金を支払えばその後の負担を減らせることがメリットです。
介護サービス、生活支援サービスなども入居一時金に含まれているため、別途契約する必要は
ありません。
一般的に月額利用料金は管理費、食費、光熱費、公的介護保険自己負担額、紙おむつなどの実費を
合わせた金額ですが、これらも一時入居金に含まれています。
介護サービスや生活支援サービスなどさまざまなサービスを利用したい場合、最終的な費用が
安く済む可能性があることもメリットでしょう。
利用権方式は入居時にまとまった金額を用意しなければいけないのがデメリットです。
初期費用が高額で施設により異なりますが数千万円支払うことも。
また、利用権方式の入居一時金介護サービスや生活支援サービスなどのサービスの利用料金が
含まれているため居住以外のサービスが不要な場合は損をする可能性もあります。
自立して居住のみが目的なら生活相談や安否確認をしてもらえるサービス付き高齢者向け住宅や
シニア向け分譲マンションに居住したほうが費用は抑えられるかもしれません。
利用権方式を取り入れていることが多い介護施設は介護付き有料老人ホーム、住宅型老人ホーム、
健康型有料老人ホームなどです。
施設名をあげてもそれぞれどのような特徴があるか知らない方も多いでしょう。
以下では介護付き有料老人ホーム、住宅型老人ホーム、健康型有料老人ホームの詳細を詳しく
解説します。
介護付き有料老人ホームは365日24時間スタッフが常駐し、食事や介護、生活支援などのサービスが
施設職員により受けられる施設です。
介護サービスは介護保険を利用して食事・入浴・排泄・着替えの介助などのサービスが受けられます。
食事は利用者様の身体機能に合わせて塩分やカロリーが調整され、嚥下機能が低下している場合は
ムース食や刻み食が提供可能です。
生活支援サービスは居室の掃除や行政の手続きなどの支援、入院などで不在の場合の居室の管理も
行います。
さらに、医療ケアも対応。
日中1名以上の看護師が常駐し、検温・血圧チェックや服薬管理などのケアが提供されます。
また、胃ろうやインスリン注射などの医療行為にも対応可能な施設が多いです。
身体機能や認知機能の維持のために集団でリハビリも行われます。
さらに、看取りまで対応している施設も多数あるため最終的な安住地として選択する方も
多いでしょう。
住宅型老人ホームは自立している方や要介護度が低い方を対象とした施設です。
掃除や洗濯、買い物代行などの生活支援サービスが提供され、生活に不安な場合生活相談もできます。
訪問看護やデイサービスなどの介護サービスを受けたい場合は外部の事業所と契約することで
利用可能です。
施設入居前から利用している介護サービスを利用できるので安心感もあります。
また、イベントやレクリエーションが多い施設が多いです。
ものづくりやカラオケ、麻雀、パズルゲームなどをはじめ、日帰り旅行を企画する施設も。
住宅型老人ホームは比較的自由度が高く、充実した老後を送りたい方に適した施設でしょう。
健康型有料老人ホームは介護の必要性がなく、自立した生活を送れる方を対象とした施設です。
掃除や洗濯、食事などの家事を代行してもらえるため、趣味やレクリエーションなどに時間を
使えます。
娯楽設備が充実している施設が多く、プールやジムなど施設によって違うため、入居前に
確認しましょう。
入居者同士のコミュニティやサークル活動も盛んです。
囲碁、コーラス、写真など様々で、老後の生活をアクティブに過ごされています。
原則365日施設職員が常駐しているため、入居者も家族も安心です。
さらに、施設内には生活リズムセンサーが設置され見守りや安否確認のサービスが提供されます。
健康型有料老人ホームはアクティブな老後生活を送りたい方に適した施設でしょう。
こちらの記事では利用権方式をはじめ、老人ホームや介護施設の契約方式を詳しく解説しました。
利用権方式は入居一時金を前払いすればその後の負担を減らすことがメリットで、
入居一時金が高額なためまとまったお金の用意がデメリットでした。
メリットとデメリット、利用権方式を取り入れている各介護施設の特徴をふまえ施設選びの
参考になれば幸いです。