介護認定審査会とは?流れや介護保険審査会との違いも紹介!

2024.04.01

高齢者疾病により、介護が必要になった場合「介護認定」を受ける必要があります。

介護認定を受けることで、どの程度介護が必要なのか区分を分けをし、その区分によって利用できる
介護保険サービスを選ぶことができ、介護の身体的、精神的、経済的な負担を減らすことができます。

その要介護認定では、「介護認定審査会」というものが開かれ、その審査会が認定に重要な役割を
担っています。

今回はそんな「介護認定審査会」について目的や流れポイントをご紹介します。
要介護認定を受ける時の参考にもなりますので、是非ご覧ください!

介護認定審査会とは

「介護認定審査会」とは、市町村が設置する審査会で「要支援認定、要介護認定を判定する機関」
のことです。

介護サービスを利用するには、「介護認定」を受ける必要があります。
介護認定で判定された「要支援・要介護度」によって、
受けられる「サービス」「給付金」「負担額の上限」などが変わります。

介護を受ける人によっては、この介護認定がとても重要になります。
ここからは、その介護認定を申請した際、認定を審査するために
開かれる、介護認定審査会の目的や構成員について説明していきます!

 介護認定審査会の目的

要介護認定の結果は、介護を受ける人のサービスを決定することになるため、とても重要かつ
「公正・公平」に審査や判定がされなければなりません。

そのため、介護認定の審査は「一次判定と二次判定」の二段階構成になっています。

「介護認定審査会」はこの2つのうち「二次判定を行う機関」となります。
機械的に行われる一次判定とは違い、二次判定で行われる介護認定審査会は
「複数の専門家による、専門的な知見から正確な判定をする」ことを目的としています。

 介護認定審査会の構成メンバー

介護認定審査会の構成メンバーは「保健・医療・福祉の学識有識者」からなります。

委員は、各市町村長が任命します。関係団体から推薦された方を任命することが多い傾向にあります。
任命後は、特別職の地方公務員となります。(非常勤)

任期は2年で、再任も可能です。メンバーの人数は5人を標準とし、各市町村の条例で
定められています。
保健・医療・福祉の学識有識者に該当する職種は以下のような職になります。

◯ 保健:保健師や看護師など
◯ 医療:医師、歯科医師、薬剤師など
◯ 福祉:社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員など

 介護認定審査会の会議

会長は委員の中からの互選によって選ばれます。

会長が招集する「介護認定審査会は原則非公開」で行われ、委員には「守秘義務」が課せられます。
また、公正・公平な判定を行うため「個人の特定ができる情報」は削除されます。

審査の結果は「出席した委員の過半数により決定」し、「同数の場合は会長の意見で決まり」ます。

そのため、会長や過半数の委員が欠席した場合は、会議が成立せず、各分野の委員が欠席している場合も「開催しないことが望ましい」とされています。

会議では必要に応じて、審査対象者の家族や介護者、主治医、調査員などの話を聞くこともあります。
また、審査対象者が入院や入所している施設に所属する方が、委員のメンバーにいた場合、
意見を述べることはできますが、判定に加わることはできません。

要介護認定の流れ

介護認定審査会について紹介しましたが、ここからは「要介護認定の流れ」について説明して
いきます。

介護保険サービスを利用するためには、この要介護認定を受ける必要があります。
まずは、「市町村の窓口に要介護認定の申請」をします。
「市町村から主治医意見書の作成の依頼」と、「市町村の職員が自宅を訪問し聞き取りを行う
訪問調査」が行われます。
ここからは「一次判定」「二次判定」と進み「結果の通知」と進みます。

ここからは、この一次判定から結果の通知までをピックアップして説明していきます。

 一次判定

一次判定では、客観的で公平な判断が行われるように「コンピューター」で判定を行います。
厚生労働省が作成した「要介護認定ソフト(全国共通)」を利用し、申請者の
「要介護認定要介護認定等基準時間」を分析します。
算出される要介護認定等基準時間が長くなるほど、要介護度が重たいと判定されます。

※要介護認定等基準時間とは「どのくらい介護に時間を要するか」の時間で、介護を要する
時間が長いほど重い区分となります。
 区分は、非該当、要支援1・2、要介護1〜5、があります。
介護を要する状態で要支援1が最も軽く、要介護5が最も重い区分
となります。

 二次判定

二次判定では、一次判定の結果と主治医意見書の内容をもとに「介護認定審査会」で要支援、
要介護の認定を判定します。
介護認定審査会は、保健・医療・福祉の学識有識者5名ほどのメンバーで構成されます。
二次判定のチェック事項に使われるものは以下の通りです。

・訪問調査で記入した「調査票の特記事項」
・主治医意見書(かかりつけ医からの意見書)
・状態像の例(要介護度別に示された心身状態のモデル、これを一次判定の要介護度と称号します)

 結果の通知

結果の通知は「申請日から30日以内に利用者へ通知する」という決まりになっています。

認定通知が遅れる場合は、利用者あてに「見込期間と遅れる理由が通知」されます。
認定結果は「非該当(自立)」「「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかで判定され、
「要介護度が明記された結果通知書」と「被保険者証」が利用者に届きます。

認定が「非該当(自立)」と判定されて介護保険サービスを受けられない人や、
想定よりも要介護度が低く判定される場合もあるかもしれません。
その場合は、認定結果に対する不服申立てをすることができます。

都道府県に設置されている「介護保険審査会」に結果通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に
申し立てを行ってください。(地域によって異なる場合があります)

介護認定審査会と介護保険審査会の違いは?

ここまで、要介護認定の判定を行う「介護認定審査会」についてご紹介しました。

「介護認定に不服がある場合、不服申し立てを行う」ことができ都道府県に設置した
「介護保険審査会」に申し立てができると先に述べましたが、
介護保険審査会とは具体的に何なのか、介護認定審査会と比較しながら見ていきましょう。

 役割の違い

介護認定審査会と介護保険審査会の「役割の違い」について紹介していきます。

介護認定審査会の役割は「介護保険サービスを利用しようとしている方に対して、
介護に必要な度合いを審査、判定する機関」です。

一方、介護保険審査会の役割は、保険者である市区町村が行った介護保険における
「保険給付」および「要介護認定」などに関わる行政処分に対する
「不服申立て(審査請求)の審理、裁決」を行う「第三者機関」として各都道府県に設置され
ています。
なお、介護保険審査会は地方自治法上の付属機関となります。

 構成メンバー・任期の違い

介護認定審査会とは、介護保険審査会の「構成メンバーと任期」の違いは以下の通りです。

介護認定審査会:医療・保健・福祉の学識有識者から5名程度で構成されます。
任期は2年で再任が可能です。
介護保険審査会:①被保険者を代表する委員3名、市町村を代表する委員3名、公益を代表する
委員数名。任期は3年です。

※ ①について、保険者の役員または職員でない被保険者であること。第二号被保険者のみで
構成されないこと。
※ ②について、なるべく各市町村の長、広域連合の長など保険者の代表をもってこれに充てること。
※ 厚生労働省 介護保険審査会委員の選任等について より。
※ 地域によって詳細は異なる場合があります。

介護認定審査会で重視されるポイントとは?

介護認定審査会で重視されるポイントについてご紹介します。

・一次判定の修正と確定:調査上のミスはなかったか、調査員が判断に迷った部分はないか、
同じ選択でも幅のある介助量の場合どう判断するか。

・介護の手間にかかる審査判定:一次判定のソフトでは推し量れない部分を委員の専門性・経験に
基づき合議にて判断する。

・頻度について:例えば徘徊について、1日1回徘徊があるのか、毎日徘徊があるのか、
同じ「徘徊がある」にしても頻度によって違うことがある。

・要支援2と要介護1について:要支援2と要介護1の要介護認定等基準時間は同じだが、
認知症の有無や直近で悪化する可能性があるかなどで
 要支援2と要介護1の区分に差がでる場合がある。

その他、添付された意見や特記事項などを精査し、委員の専門性や経験によって合議されます。

まとめ

今回は、介護認定審査会についてご紹介しました。
介護認定審査会とは何か、その目的や構成されるメンバー、要介護認定そのものの流れについても
解説しました。

また、介護認定審査会と、介護保険審査会の違いについてもご紹介しました。
介護が必要な方にとって、介護認定の判定は受けられるサービスや給付金、負担上限などが決まると
言っても過言ではありません。

しっかりと、介護認定や審査会でのポイントについて把握し、その方にあった介護サービスを
利用しその方らしい人生を送りましょう!

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