導尿カテーテルとは?種類や目的・手順も詳しく紹介!

2024.04.01

導尿カテーテルをつけている方を病院や介護施設などで見かけた経験がある人は少なくないでしょう。
実際に使用している方は羞恥心を感じ、外見上は隠している方も多いかもしれません。

導尿カテーテルは自力で排尿できない方が導尿カテーテルを挿入して尿を体の外へ出す処置です。
こちらの記事では導尿カテーテルの種類や目的、手順などを詳しく解説します。

そもそも導尿とは?

導尿は何らかの原因で自力で排尿できない場合、導尿カテーテルを挿入して尿を体の外へ出すこと
です。

膀胱内にカテーテルを留置し、持続的に尿を排出する持続的導尿と、
自身か介助者がカテーテルを挿入して尿を排出する自己導尿があります。
以下では、導尿の目的を詳しく解説します。

 導尿の目的

導尿は何らかの原因で自力で排尿できない場合、カテーテルを挿入して尿を体の外へ出すことです。
導尿の目的を3例あげます。

①尿閉
神経因性膀胱など膀胱に尿は貯まってはいるが排尿しようと思っても出てこない状態の方は、
導尿し尿を体の外に出します。
男性の方は前立腺肥大症の進行で尿閉することもあるので注意が必要です。

②妊娠中で分娩直前
女性の方は分娩直前だと膀胱が圧迫されて尿が出ないこともあるため、その際は導尿し尿を体の
外へ出します。

③陰茎や尿道の損傷
陰茎や尿道の損傷で痛みが強い場合は導尿して尿を体の外へ出します。

導尿の種類

導尿の種類は持続的導尿と間欠的導尿の2種類に分けられます。
持続的導尿は膀胱内にカテーテルを留置し持続的に尿を排出させ、間欠的導尿は一定時間ごとに
尿道にカテーテルを挿入して尿を排出させる方法です。
以下では、持続的導尿と間欠的導尿の詳細を詳しく解説します。

 持続的導尿

持続的導尿は膀胱内にカテーテルを留置し、持続的に尿を排泄させる方法です。
尿はカテーテルを通り、畜尿袋にたまります。

畜尿袋は小型のものもありズボンの下に隠して外見上わからないように外出が可能です。
また、バルーンカテーテルを挿入したまま入浴もできます。

バルーンカテーテルは4週間ごとの交換が基本ですが、汚れがひどい場合は閉塞してしまうことが
あるため、適宜膀胱洗浄や交換が必要です。
また、カテーテルを膀胱に留置しておくので違和感や不快感を感じやすいのがデメリットでしょう。

 間欠的導尿

間欠的導尿は一定時間ごとに尿道にカテーテルを挿入して尿を排泄させる方法です。
排尿障害があっても間欠的導尿をおこなうことで得られるメリットが多くあります。

①行動に制限がないため、海水浴や温泉へ行ける
②定期的な膀胱の伸縮により排尿機能が回復する可能性あり
③持続的導尿より尿路感染や萎縮膀胱などの合併症が少ない
④定期的に膀胱を空にするため、腎機能を維持できる

上記4つのメリットに加えて、導尿の時以外は体内にカテーテルがないため生活の質も
維持されやすいです。

カテーテルの種類と太さを紹介

導尿カテーテルは膀胱留置用のカテーテルと自己導尿用のカテーテルの2種類。
太さは患者さんに会わせて選択しますが、太すぎると挿入時の痛みや違和感が強く出てしまう
可能性があります。
以下ではカテーテルの種類と太さを詳しく解説します。

 バルーンカテーテル(膀胱留置用カテーテル)

バルーンカテーテルの種類は3種類。

①フォーリー型 3way
一般的に使われているカテーテルで太さは14~18Frが適切とされています。
Frはカテーテルの外径を表す単位で3F=1ミリメートルで、小児の適切なサイズは8~12Frです。


②フォーリー型 3way
血尿で膀胱洗浄が必要な場合に使用されます。


③チーマン型
男性患者で尿道狭窄などがある場合に使用されます。

カテーテルの材質はラテックス製とシリコン製があり、ラテックスアレルギーがある方は
オールシリコンのカテーテルを挿入しましょう。

 自己導尿用カテーテル

自己導尿用カテーテルは再利用型と使い捨て型の2種類があります。


①再利用型
洗浄や1日1回の消毒液の交換などの手間はありますが、外出時も1本のカテーテルの持参で済むのが
特徴です。
在宅自己導尿指導管理料は再利用型の場合1800点となります。

②使い捨て型
洗浄などの手間がかからないため便利ですが、外出時は導尿の回数分のカテーテルを持参します。
また、使用済みのカテーテルを廃棄する場所がない場合は持ち帰らなければなりません。
使い捨て型は在宅自己導尿指導管理料の1800点に加え、特殊カテーテル加算の支払いが必要です。
太さは医師が処方したサイズのカテーテルを使用しましょう。

使用方法・手順を紹介

導尿カテーテルはどのように使用するのでしょうか。
バルーンカテーテルの挿入は病院や介護施設などで看護師がおこなう医療行為です。

自己導尿は自身や介助者がおこなえますが手技を覚える必要があります。
以下では導尿カテーテルの使用方法や手順を詳しく解説します。

 バルーンカテーテル(膀胱留置用カテーテル)

バルーンカテーテルの使用方法は男女で異なります。
女性はまず陰部の消毒を行い、カテーテル先端から6センチメートル部分に潤滑剤を塗り尿道の走行に
沿いやや下向きに挿入。
尿が排出されたら、さらに2センチメートル奥まで入れてバルーンを膨らませて抜けないことを
確認したら終了です。

男性は陰茎を把持し尿道口を広げて消毒後、カテーテル先端から6センチメートル部分に潤滑剤を塗り
体に対し垂直にした陰茎に15センチメートル程度挿入。
その後陰茎を60度に変え5センチメートル挿入し、尿が排出されたらさらに2センチメートル奥まで
入れてバルーンを膨らませて抜けないことを確認します。
抜けないことを確認したら再び1~2センチメートル挿入し、終了です。

男性の陰茎の長さは18~20センチメートルあるため、カテーテルは20センチメートルほど
挿入するため痛みが出ないようゆっくり挿入しましょう。

 自己導尿用カテーテル

自己導尿用カテーテルは自身か介助者がカテーテルを挿入します。
手順

①両手は石鹸を使ってしっかり洗う
②尿道口と周囲を消毒
③カテーテルを尿道口へゆっくり挿入し、カテーテルから尿が出始めるまで挿入
④下腹部を軽く圧迫して、カテーテルから膀胱内の尿を排出
⑤④をおこなう際、併せてカテーテルを深く入れたり浅く入れたりしながら膀胱内の尿を
残さず排出。

女性は尿道口の位置が自分で行う場合はわかりづらいため、慣れるまでは鏡を見ながら
使用しましょう。

注意点・ポイントは?

導尿カテーテルを使用する際には注意点やポイントがあります。

バルーンカテーテルの場合、移動時にカテーテルが抜けてしまう事故が起きやすいので注意が
必要です。
自己導尿では尿のため過ぎや飲み物に気をつけなければいけません。
以下ではバルーンカテーテルと自己導尿の注意点やポイントを詳しく解説します。

 バルーンカテーテル(膀胱留置用カテーテル)の注意点

バルーンカテーテル使用中の注意点は

①チューブが曲がったり折れていないかを確認
特に車椅子で移動される方は注意が必要です。


②畜尿バッグは膀胱より低い位置に保つ
膀胱より上になると尿が逆流し、スムーズな導尿が困難になります。


③畜尿バッグは床につけない
床につけると蓄尿バッグの逆流防止弁の汚染されるため、尿路感染症が発生する危険性があります。


④畜尿バッグは最低でも12時間ごとに空にする
尿量が多い場合は回数を増やしましょう。


⑤摂取した水分量と排尿量を把握
医師から水分制限を指示されていなければ、水分はこまめにとりましょう。
水分補給が不足すると尿量が減り、尿の混濁やカテーテルの閉塞につながります。

 自己導尿の注意点

自己導尿の注意点は4つです。


①カテーテルケースの消毒薬は医師が処方したものを使用
②利尿効果のあるコーヒーやお茶、アルコールなどを摂取した時は早めの導尿を心がける
③カテーテルの交換は1ヵ月が目安で、汚れが目立ったり折れやすくなった時は交換
④膀胱内に400ミリリットル以上尿をため込まない


自己導尿用カテーテルは病院で処方されますが、旅行などでカテーテルが必要になった場合は
薬局で市販されているカテーテルを購入しましょう。
オンラインショップなどでも購入可能です。

まとめ

こちらの記事では導尿カテーテルの種類や目的、手順などを詳しく解説しました。

導尿カテーテルは持続的に尿を排出させるバルーンカテーテルと、一定時間ごとに尿道にカテーテル
を挿入して尿を排出させる自己導尿用カテーテルがあります。

導尿カテーテルを使用されている方や介助者は注意点やポイントを意識していただき、
なるべく負担が少なくなることを願っています。

お役立ちコラム一覧へ戻る