清拭(せいしき)とは?手順や目的・留意点も詳しく紹介!

2024.04.12

清拭とは、利用者の全身または一部を濡れたタオル等で拭く介助のことを指します。
様々な理由で入浴ができない利用者に対して、皮膚についた汚れ、汗、皮脂などを拭き取り清潔を
保つ役割があり、とても重要な介助です。

介護を行う場面では、たびたび行われる清拭ですが、どう拭けばいいの?どこから拭いていくの?
など悩む方も多いでしょう。
この記事では、そんな清拭の手順や目的、留意点についても詳しく解説していきます!
清拭の目的や手順をしっかりと理解し利用者さんに爽快になってもらいましょう!

そもそも清拭とは?

清拭の読み方は「せいしき」です。
蒸したタオルやお湯につけたタオルを利用し体を拭く行為のことを清拭と呼びます。

主にケガや病気などで入浴ができない方に対して、行われ入浴の変わりに清潔を保つために
行われることが多いです。

種類は「全身清拭」と「部分清拭」の2つに分けられ、足や手などだけ入浴する「部分浴」と
合わせて行われることもあります。
ここからは、清拭の目的と効果について説明していきます!

 清拭の目的

清拭には、身体の汚れを落とし、皮膚を清潔に保つのが大きな目的の1つですが、それ以外にも
様々な目的があります。

・ストレス解消や免疫力の向上を図る(さっぱりとすることでストレス解消になり、汚れや菌を
落とすことで免疫力の向上に繋がります)
・床ずれ(褥瘡)などの異常を早期発見する(清拭で身体を拭く際に、身体の状態確認も合わせて
行い異常を早期発見する機会になります)
・傷口を清潔に保つことで感染症を防ぐ(傷口が汚染するとそこから感染を起こすことがあるため、
傷がある場合は清潔にしましょう)

上記のように様々な目的や役割があり、これらの目的をしっかりと把握することで、より効果的な
清拭を行えるでしょう。

 期待できる効果

清拭は身体を拭いて綺麗にするだけというイメージがありますが、清拭を行うことで実は様々な
効果を得られる期待ができます。

・かゆみ解消や爽快感に繋がる。
(汚れを落とすことで痒みが減る。皮脂や汗を落とすことで爽快感が得られる)
・血行促進が期待できる。
(身体が温まる、身体を擦る、動かすことで血行促進が促される)
・リラックス効果が期待できる。
(身体が温まる、清潔になることでストレスが解消されリラックスできる)
・便秘の予防が期待できる。
(清拭の時に、腹部のマッサージを兼ねて行うことで、便が出やすくなる)

清拭をする際に必要な物は?

清拭を行うためには、以下のような物品が必要です。
しっかりと準備物を把握し実施時に「忘れ物をした!」とならないように注意しましょう。

・着替え(おむつを着用している方は新しいおむつも)
・洗面器
・バケツ(汚れた水を絞る用)
・熱めのお湯(50〜60度)
・バスタオル
・清拭部位ごとの替えタオル(多めに用意する)
・石鹸
・使い捨て手袋
・陰部洗浄用のボトル
・塗布する薬や保湿剤、爪切り(必要に応じて)
・防水シート、新聞紙(床が濡れるのを防止するため)

清拭の方法を紹介

ここまで、清拭とは何かについての説明や、清拭の目的や効果、必要な準備物について
ご紹介しました。
ここからは、清拭の具体的な方法について、事前準備と手順にわけて紹介していきます!
スムーズな清拭を実施できるよう、しっかりと把握しましょう!

 清拭の事前準備

前述の準備物をわすれないように用意しましょう。
清拭中は肌を露出しますし、お湯の温度も下がってしまうので準備物が揃っているかは、
事前に準備物を確認しておきましょう。

また、タオルは部位ごとに交換することでより清潔に清拭を行えます。
タオルは多めに5〜7枚ほど準備しておきましょう。

清拭を行う場所の床や寝具が水で濡れてしまわないように、防水シートや新聞紙などを事前に敷いて
から、利用者を案内しましょう。
清拭中は肌が露出するため、プライバシーの確保に気を配りましょう。
カーテンやパーテーション、ドアの閉め忘れに注意し、ほかの方に見えないように配慮が必要です。

室温の管理も重要です。清拭をする前に室内を温めておきましょう。
清拭に使うお湯の温度も清拭中に冷めてしまうことを考え「熱めのお湯」を用意します。

利用者自身の事前準備も必要で、体調不良や熱がないかなどを確認し、トイレは事前に済ませておく
ことで落ち着いて清拭することができます。

 清拭の手順

全身清拭の場合、基本的には身体の上から下にむかって清拭を進めていきます。
具体的な手順は以下の通りです。
①顔 ②耳 ③首 ④手→腕 ⑤胸 ⑥お腹 ⑦背中 ⑧おしり ⑨足 ⑩陰部 ⑪肛門

【注意点】
衣類を全て脱いで行うと、身体が冷えてしまうため、清拭を行う部分だけ服を脱いで順番に
清拭していきます。
タオルを濡らす場合は、温度を確認し、硬めにしぼりましょう。
水分量が多いと清拭後に身体が冷える要因になります。
清拭が終わった部位は、乾いたタオルで水分を拭き取り、身体が冷えないよう別のタオルなどで
覆って保温に努めます。
清拭を進める都度、利用者に言葉をかけ、コミュニケーションをとりながら体調の確認もしましょう。

部位ごとの清拭の留意点

ここからは、部位ごとに清拭時の留意点について紹介していきます。
留意点を把握せずに清拭を行うことは、汚れが残ってしまったり、肌を傷つける原因になります。
スムーズかつ丁寧な清拭ができるよう、しっかりと留意点について学んでいきましょう!

 顔

顔の清拭は未使用のタオルを利用します。
顔の皮膚はデリケートなので柔らかいタオルを利用することをオススメします。
目元から拭きはじめ、鼻、口、額、頬、と清拭していきます。一度拭くごとに面を変えるなどし、
毎回綺麗な面で拭くのが良いです。

目元は目頭から目尻にむけて優しく拭き、目ヤニがある場合は無理にこすり取ろうとせず、
ふやかしてから拭き取ります。
鼻は口に向かって拭き、額は生え際に向かって拭き取ります。
外側に向けて拭くと覚えておきましょう。

頬の清拭が終わった後は、耳、顎、首、の清拭も行います。特に耳は耳の裏や中も汚れが
溜まりやすいので、しっかり拭き取りましょう。

 手指・腕

顔や首の清拭の次は、腕や手の清拭に移ります。腕部の清拭は心臓から遠い、指先から行います。
手首を軽く支え、手首から脇に向かって拭いていきます。
手指の間や肘の内側、脇の下などは汚れやすいため、念入りに拭いていきます。
血行促進のためにも、血流を意識して清拭すると効果的です。

肌の弱い方や乾燥肌の方などは、保湿剤、処方されている軟膏などがあれば塗布しましょう。
爪が伸びていないかなども合わせて確認しておきましょう。

 胸部・腹部

続いて、胸とお腹を清拭していきます。
鎖骨に沿って清拭した後、片方の胸ずつ「円を描くように」優しく清拭しましょう。

腹部はおへそをを中心に「の」の字を描くように優しく円状に拭いていきます。「の」の字を描く
理由として「大腸運動」を促します。
このとき腹部を温めることと、腸の動きを意識すると便秘予防に効果的です。

わき腹は上から下に向かって縦に拭いていきます。
身体を冷やさないように、清拭している場所以外の部分はタオルなどで覆って保温に努めましょう。

 足

胸部、腹部の次は足の清拭です。
足の清拭は、寝転んだ状態で膝を立てて足首から太ももに向かって行います。
その後、膝裏、足の指、足の裏の順に清拭していきます。足の清拭をしている時、上半身が裸の
状態にならないように、タオルで覆うなどの配慮を忘れないようにします。
清拭の際に部分浴として「足浴」も合わせて行う場合もあります。

足浴は、座った状態で足元にビニールシートを敷き、足浴用のバケツに38℃〜42℃のお湯を半分ほど
入れます。
洗う用のタオルに石鹸やボディソープなどをつけて足の裏、足の甲、指の間を丁寧に洗います。
きれいなお湯に入れ替え、石鹸などを落とした後、足を軽くマッサージしながら5分〜10分ほどつけて
温めます。

 背部

続いて、背部の清拭の方法をご紹介します。
寝た状態で背部の清拭を行う場合は、うつ伏せではなく横向きで行います。
うつ伏せでは呼吸が苦しくなるためオススメしません。
背部は、背骨から外側に向かって清拭していきます。肋骨や肩甲骨まわりは骨にそって優しく清拭していきます。

背中の清拭を行う際も、他の部位が冷めてしまわないようタオルで覆って保温に努めましょう。
保湿剤や軟膏の処方がある方は、皮膚の状態を確認しながら塗布していきましょう。

 臀部

臀部を清拭する場合は、右臀部と左臀部、片方ずつ清拭していきます。
円を描くように清拭していきます。この時、優しく撫でるように清拭していきましょう。

また、臀部や仙骨部は床ずれ(褥瘡)のできやすい場所です。
皮膚状態にも注意し、確認しながら清拭をします。
床ずれ(褥瘡)の注意点ですが、皮むけていたり、穴があいている状態などをイメージする方が
多いですが、実は「皮膚が赤くなっており、しばらくしても皮膚の色が戻らない」状態も床ずれに含まれます。
これは皮膚が壊死しはじめているサインなので、赤くなった皮膚が時間が経っても戻らない場合は、
床ずれが始まっていると考え、早期対応に努めましょう。

まとめ

この記事では、清拭とはなにか、手順や目的、留意点についても詳しく解説をしました!
清拭は身体を拭くだけの行為ではなく、ストレス発散や、血行促進など様々な効果もあります。

様々な理由で入浴が困難になった方、にとって清拭はとても重要になる介助の一つです。
しっかりと、目的や手順を把握し、より爽快に気持ちの良い清拭を提供していきましょう!

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