小規模多機能型居宅介護はずっと泊まりで利用可能?30日ルールも解説!

2024.05.01

小規模多機能型居宅介護は、中重度の要介護者が今までの自宅での生活を引続きできるよう
サポートする施設です

小規模多機能型居宅介護の特性として、一ヶ所の事業所と契約すれば、
通い・訪問・宿泊を組み合わせて、状況に応じて利用できるという点です。

小規模多機能型居宅介護は、「ずっと泊まりでも利用することが可能か」
「30日ルール」とは何か、メリットとデメリットについても詳しく解説しましょう。

小規模多機能型居宅介護とは

小規模多機能型居宅介護は、中重度(要介護3は中程度、要介護4以上は重度)での介護が必要な要介護の高齢者に対して、可能な限り今までの自宅での生活を引続きできるよう、利用者の状況に応じて、
3つのサービスを提供する施設になります。

・通い(高齢者本人が施設へ通う)
・訪問(スタッフが自宅に訪問し介護する)
・宿泊(短期に施設に宿泊する)

日常生活における支援や機能訓練のサービスを実施し、全てひとつの事業所で利用が可能です。

小規模多機能型居宅介護で受けられるサービスを紹介

小規模多機能型居宅介護で受けられるサービスは状況に応じて組み合わせが可能で、
24時間365日の制限なくサービスを利用できます。
このサービス内容について、具体的に解説していきましょう。

・通い
・訪問
・宿泊

 通い

「通い」は、通所介護・デイサービスがあり、利用者が施設に通い、日帰りでサービスを利用
できます。

利用者の自宅から事業所までの送迎から、日帰りで短時間の利用ができ、入浴やリハビリなどの
一部のみの利用も可能です。
以下はサービス内容の主なものになります。

・食事や入浴、排せつなどの介助(介護サービス)
・生活機能向上のための機能訓練
・口腔機能向上サービス機能訓練
・レクリエーション
・リハビリテーション

 訪問

「訪問」は訪問介護になり、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、
食事、入浴、排泄、服薬などの介護サービスを提供します。

事業所の訪問介護員は通いや宿泊などで担当した顔見知りのスタッフが訪問するため、安心して
サービスを受けられるでしょう。
短時間の利用も可能です。
以下はサービス内容の主なものになります。

・買い物や掃除などの生活支援
・食事や入浴、排せつなどの介助(介護サービス)
・生活機能向上のための機能訓練

 宿泊(ショートステイ)

「宿泊」はショートステイで施設への短期入所になります。利用者は施設に短期で泊まり、
サービスを受けます。

1泊だけでなく、数日間の連続した宿泊も可能になっています。
宿泊中は、通いで利用できるサービスと同様に介助、口腔ケア、服薬介助などのサービスを
受けられます。
また、定員に空きがある限り急な宿泊にも対応してもらえます。
以下はサービス内容の主なものになります。

・食事や入浴、排せつなどの介助(介護サービス)
・就寝時の見守り
・おむつ交換

小規模多機能型居宅介護はずっと泊まりで利用可能?

小規模多機能型居宅介護は、ずっと泊まりで利用することは可能です。

ですが、長期の入居は想定していないため、長期間ずっと入居したい場合は、
グループホーム、老人ホームなど、入居が可能な介護施設を検討する方が良いでしょう。

 ずっと泊まりで利用するための条件

小規模多機能型居宅介護は「在宅介護支援」を目的とした施設のため、一時的な宿泊の利用を
提供しています。

長期間の泊まりでの利用は考慮されていないため、長期間滞在を希望の場合は、
施設の運営推進会議で検討され、承認が必要となります。

やむを得ない理由があり、承認された場合には、ずっと泊まりで利用することが認められることも
ありますが、小規模多機能型居宅介護は基本的に、ずっと泊まるということは難しいようです。

 ずっと泊まりで利用する場合の料金

小規模多機能型居宅介護の料金は月額の定額制になっています。
自己負担料金の目安として、基本料金に加えて食費は1回につき約300円〜800円、
宿泊費は1泊約2,000円〜5,000円に設定されている場合が多いようです。

長期間の利用の場合、月額の基本料金に食費、宿泊費、おむつ代などを別途負担する必要があり、
ずっと泊まりで利用すると負担が大きくなるでしょう。
また地域や施設、サービスなどによって、食費や宿泊費などの料金は変わるようです。

小規模多機能型居宅介護の30日ルールとは

小規模多機能型居宅介護には「30日ルール」という宿泊サービス利用中に訪問診療を受診することに
関する規則が定められています。

「30日ルール」は退院した直後にも適用されていましたが、令和2年度の診療報酬改定により
ルールに一部見直しがありました。

 小規模多機能型居宅介護の30日ルール

小規模多機能型居宅介護の「30日ルール」は宿泊サービス利用中に訪問診療を受診することに
関する規則で、
「宿泊サービスの利用中に訪問診療を受けられますが、宿泊サービスの利用を開始する前の
30日以内に、自宅で訪問診療を受ける必要がある」というルールになります。

令和2年度以前には、退院した直後に小規模多機能型居宅の介護サービスを利用しなくてはならない
場合にも「30日ルール」が適用されていました。

 病院退院直後は30日ルールの適用はない

令和2年度診療報酬改定でルールの一部見直しがありました。

見直しされた内容としては、「医療機関の退院日からサービスを利用開始した場合に、
サービス利用開始前30日以内に自宅で訪問診療を受けていない場合でも、
宿泊サービス利用時に訪問診療を受けられるようにする」というものです。

病院退院後に施設を利用する場合の手間と負担が軽減されました。
退院後ではない利用者については、「30日ルール」の対象になります。

小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリット

状況に応じた介護サービスを利用できる小規模多機能型居宅介護ですが、
メリットばかりではなく、デメリットになる場合もあります。

メリットとデメリットがあることを考え、状況に合わせた利用を検討しましょう。

 メリット

小規模多機能型居宅介護のメリットについてみてみましょう。

定員に空きがある限り、制限なく24時間365日サービスを利用できます。
利用料は、1ヶ月の定額制で、それぞれの状況に合わせた利用が可能です。

支払う金額が決まっていれば、安心して介護サービスを利用できますね。
介護サービスは、個別に利用者や家族の状況に寄り添って選択され、
通い・訪問・宿泊のサービスが1つの事業所でまとめて利用できます。

 デメリット

併用可能なサービスは限られているため、複数の事業所からサービスを受けたい場合は
デメリットになるでしょう。

1日あたりの定員数があるため、定員数に達していた場合は希望どおりのサービスを利用できない
場合もあります。

月額定額制という点は、多くのサービスを必要としていない人など、頻繁に利用しない場合は、
費用が高くなるように感じてしまうこともあるでしょう。
サービスをまとめる必要があるため、すでに利用しているデイサービスなどは解約しなければ
なりません。

まとめ

小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・宿泊の3つのサービスをまとめて利用できる非常に
便利な事業所です。

ずっと泊まりで利用することは可能ですが、一時的な宿泊の利用を提供しているため、
やむを得ない理由がない限り承認されにくいようです。

宿泊中に訪問診療を希望する場合「30日ルール」の規制が適応されるため注意が必要になります。
利用する際のメリットとデメリットも充分検討すべきでしょう。

お役立ちコラム一覧へ戻る