導尿カテーテルとは、病気や手術によって一時的であっても排尿が自分でできない状態になった
場合、専用のチューブを通して外に排出しなければなりません。
また、排出した尿を検査することで、その方の体の状態を知ることもできます。
今回は、実際に導尿カテーテルが必要になる、排尿に関するトラブルはどんなものがあるのかや、
導尿カテーテルにはどんな種類があるのか、それぞれの導尿カテーテルの、メリット・デメリット
はどんなものがあるのかなどについて、詳しく解説していきます!
目次
排尿トラブルには、尿の排出がうまくできなかったり、尿をうまく溜められなくなったりなど、
いくつか種類があります。
ここからは、排尿トラブルである、蓄尿障害、尿排出障害にわけて、どんな障害なのかと原因が
あるのかを解説していきます!
蓄尿障害になると、「尿もれ(尿失禁)」が起きたり「頻尿」になります。
尿もれ(尿失禁)には、複数の種類があり、咳・くしゃみ・重いものを持つなど腹圧がかかると
尿がもれてしまう「腹圧性尿失禁」や、急に尿意が押し寄せ尿意切迫感がでてきて尿もれを起こす
「切迫性尿失禁」があります。
また、その両方が存在する場合は「混合性尿失禁」と呼ばれます。
頻尿は、尿の回数が多くなる状態です。大量の水分を取っていない場合は
「日中8回以上、夜間2回以上」で頻尿といえます。
蓄尿障害とは、膀胱に尿を溜めておくことができなくなる障害です。
蓄尿障害の原因は、膀胱排尿筋が過活動になったり、膀胱出口の抵抗が弱くなる。
尿道閉鎖圧が低下するなどの原因があります。
頻尿の他に、尿意切迫感、切迫性尿失禁、日常の生活に支障をきたす場合は治療が必要となります。
尿排出障害が起こる原因は、膀胱にある排尿筋の縮む力が弱くなっていたり、膀胱の出口の抵抗力が
強くなりすぎてしまい生じます。
排出障害には、残尿感と排尿後尿滴下(排尿後に意図せず尿が出る)の症状が見られます。
尿排出障害には、子宮がんの手術により膀胱がしっかりと収縮せず、尿が出せなくなる
「膀胱収縮障害」と、前立腺肥大や尿道狭窄などによる「尿道通過障害」があります。
排尿障害の治療には、生活習慣の改善、行動療法、手術療法があります。
導尿とは、何らかの原因で自力での排尿が難しくなった方に、尿道口からカテーテルを挿入し、
人工的に尿を出すことを導尿といいます。
尿がでない状態が長く続くと、尿路感染や腎機能障害の危険が高まるため、排尿が困難な方にとって
導尿はとても大切な処置の一つといえます。
導尿には、以下の目的があります。
・尿閉の解除、鑑別・・・尿が出なくなってしまう状態を解除する。尿閉が起きているのか、
極端に尿量が少ないだけなのかを見極める目的。
・尿量、残尿測定・・・尿量の測定と、排尿直後に膀胱内にどのくらい尿が残っているのかを測定する
目的。
・水分出納の管理・・・身体に入った水分量に対して、どれくらい水分が外にでているのかを確認し、
身体にいれる水分や輸液量を調節、管理する目的。
・薬剤の注入・・・膀胱内に薬剤を注入する目的、また薬剤を注入するために膀胱内の尿を排出する
事前導尿を行う目的。
ここまで、導尿が必要となる障害の種類や、導尿とはどういったもので、どんな目的があるのか
を解説しました!
ここからは、そんな導尿には具体的などんな導尿の種類があるのかを、解説していきます!
膀胱留置カテーテルとは、バルーンカテーテルとも呼ばれ、持続的に尿を排出させる導尿方法です。
急性尿閉や慢性尿閉、全身管理が必要な方や、全身麻酔が必要な手術を行う方、骨折して動けない
方などが利用します。
膀胱留置カテーテルは、長期間にわたりカテーテルをつけたままにするため、感染症のリスクなど
があり、生活の質の低下を招いてしまいます。
そのため、膀胱留置カテーテルは「短期間の留置以外は、間欠自己導尿など他の治療が難しい
場合のみの適応」が推奨されています。
自己導尿とは、間欠的導尿(清潔間欠自己導尿)とも呼ばれ、一定時間ごとにカテーテルを尿道口に
挿入し、尿を出す方法です。
利用者に意思があり、認知機能や環境に応じて自分で調整ができる方は、利用者自身で行うことが
でき、これを清潔間欠自己導尿と言います。
間欠的導尿は、尿を出す目的や尿量を測定する目的以外にも、薬剤を注入するためにも用いられる
ことのある導尿方法です。
持続的導尿に比べて感染症や機能低下を引き起こしにくい導尿方法でもあります。
先述で、膀胱留置カテーテルと自己導尿についてご紹介しました。
この2種類には、それぞれメリットとデメリットがあります。
ここからは、膀胱留置カテーテルと自己導尿のメリットとデメリットについて、それぞれ分けて
詳しく解説していきます!
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)のメリットは以下の通りです。
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)のデメリットは以下の通りです。
自己導尿のメリットは以下の通りです。
自己導尿のデメリットは以下の通りです。
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)と自己導尿による、メリットとデメリットについて
解説をしました。
ここからは、導尿の際に起こりやすいトラブルについて、膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)と自己導尿についてわけて解説していきます!
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)で、起こりやすいトラブルは以下の通りです。
自己導尿の場合に起こりやすいトラブルは以下の通りです。
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)は、自己導尿とは違い、医師や看護師でないと
挿入することができません。
介護施設に入居する場合は、もしもカテーテルが抜けてしまった場合や、トラブルが起きた際に
すぐに対処できるよう、医師や看護師がすぐに対応できる環境かどうか確かめてから利用することが
望ましいです。
医療体制が整っていない場合は、膀胱留置カテーテルを挿入している方の受け入れができなかったり、断れれることもあります。
医師や看護師が24時間、常駐している施設や協力病院との連携がすぐにできる環境の施設であれば、
膀胱留置カテーテルを挿入している方にとっても安心感が高く、
施設を選ぶ、重要な判断基準にもなってきます。
今回は、導尿カテーテルとは何かについて解説し、その種類やメリットとデメリット、
起こりやすいトラブルについて詳しく解説しました。
膀胱留置カテーテルは、介護者の負担を減らしてくれる物で、自己導尿は膀胱機能の改善が期待
できる可能性があります。
こういったものを利用し、メリットを活かして生活や治療ができることはとても良いことです。
その分、メリットを活かすためにも注意点や知識をしっかりと把握し、
病気や障がいがあっても、その人らしい生活を送れるよう導尿カテーテルについてしっかりと
知識と技術を磨いていきましょう!