親子で同居している場合世帯分離は可能?メリット・デメリットも解説!

2024.05.07

「世帯分離ってそもそも何?」
「世帯分離のメリット・デメリットはどんなものがあるの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

世帯分離とは、その名の通り世帯を分離することを指しますが、これにより国民健康保険料や
住民税が軽減される可能性があります。
今回は世帯分離のメリットやデメリットなどを詳しく解説していきます。

そもそも世帯分離とは


世帯分離とは、同居していながらも家族間(主に親と子)の世帯を分けることを指します。

世帯分離を行うと住民票の世帯を分けることになるため、役所の窓口で手続きをする必要が
出てきます。
しかし、介護が必要な家族がいる場合は様々なメリットがあるので「要介護の親と同居している」
「認知症の親との同居を検討中」のような方には検討する価値が大いにあります。

一方で、世帯分離することで生じるデメリットも存在するので、総合的に考えて実際に行うか
どうか判断しましょう。

親子で同居している場合に世帯分離は可能?

親子間での世帯分離とは、現在同居している親子間で住民票の世帯を分けることを指します。
よって、親と同居している場合にも、世帯分離を行うことはできます。

世帯分離の条件である「それぞれが独立した家計を営んでいること」を満たせば、
世帯分離は可能となります。

世帯分離をするための条件は「対象者がそれぞれの世帯で独立した家計を営んでいること」です。
したがって、子と親がそれぞれで生計を立てられているのであれば、世帯を分けることができます。

また「2世帯住宅」「3世帯住宅」という言葉のように、同住所に住んでいてもいくつかに世帯を
分けている方も多く存在します。

世帯分離は、親子で同居しているか、実家暮らしかということとは関係ありません。

同居している親と世帯分離をするメリット

同居する親と世帯分離をした場合のメリットとしては、主に以下の3つがあります。

・後期高齢者医療保険料や介護保険料を下げることができる
・介護保険施設の居住費と食費を軽減できる
・低所得者向け給付金の対象となる
どんなメリットがあるのかをここでしっかり把握しておきましょう。

 介護費用の負担額が下がる可能性がある

世帯分離のメリットとして最初に挙げられるのは、介護保険サービス費の自己負担割合を下げられる
可能性があることです。

介護保険サービスの自己負担割合は、「本人の所得」「世帯の所得」の2つに応じて決められています。
自己負担割合は所得が少ないほど軽くなる仕組みとなっており、最終的に1割~3割の負担のいずれか
が設定されます。

したがって世帯分離を行い世帯ごとの年収が少なくなることで、3割負担の場合であれば2割負担、
2割負担の場合は1割負担などに自己負担割合が下がる可能性があるのです。

 介護保険施設の費用を軽減できる可能性がある

続いては、介護保険施設の居住費と食費が軽減できることです。
というのも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険サービスの一環として
運営されている施設の場合、世帯の所得ごとに居住費や食費が定められている特定入所者介護
サービス費という制度を利用することが出来ます。

所得が低い方から順に多くの介護保険の給付がされていくので、自己負担額も所得の低いから
方順に少なくなっていきます。

言い換えれば、所得や預貯金による4段階ごとに居住費と食費が定められている制度ともいえます。
具体的には所得ごとに以下の4段階に分かれています。

 低所得者向け給付金の対象になることがある

もう1つは、世帯分離によって住民税非課税などの世帯になった場合、市区町村から給付される
低所得者向けの補助金等を受給できることです。

名称は自治体によって異なることがありますが、給付対象となる例としては
「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」「コロナウイルス感染症の影響における
臨時特別給付金」などが挙げられます。

所得状況に応じて行政からさまざまな支援を受けられることは、大きなメリットと言えるでしょう。

同居している親と世帯分離をするデメリット

ここまで、世帯分離のメリットについて解説してきました。
しかし世帯分離には以下のようなデメリットも存在するため、注意が必要です。

・国民健康保険料の負担額が増えることがある
・健康保険の扶養から外れる
・介護サービス費・医療費の合算が出来なくなる
・手続きが煩雑になる

それぞれ解説していくので、損をすることの無いようにしましょう。

 国民健康保険料の負担額が増える場合がある

世帯分離のデメリットの1つ目は国民健康保険料の負担額が増えることがある点です。

というのも世帯分離では、1つの家に居住しながらも住民票における世帯を2つに分けることに
なりますが、国民健康保険料の徴収は世帯主に対して行われるため、世帯分離をするとそれぞれの
世帯が保険料を負担しなくてならないのです。

つまり世帯分離をした結果、それぞれの世帯から国民健康保険料を支払わなくてはならなくなる
ため、世帯分離をする前よりも保険料が高くなったということがあり得るのです。

また、75歳以上もしくは65歳以上で障碍を持つ高齢者が加入する後期高齢者医療保険の保険料が
増える可能性もあることに注意しましょう。

 健康保険の扶養から外れ手当を受け取れなくなる

2つ目は、世帯分離をしたことによって扶養家族から外れることによって新たに健康保険に
加入しなくてはならなくなったり、今まで受け取っていた扶養手当や家族手当を受け取ることが
出来なくなることです。

なぜなら、世帯分離をすると会社員の息子などの扶養に入っていた場合は扶養から抜けることに
なります。
その結果、扶養されていた方は自分で国民健康保険に加入し保険料を払わないといけなくなったり、
あるいは扶養していた息子は会社から扶養手当や家族手当などの支給が受け取れなくなるのです。

 介護保険サービスの合算ができなくなる

世帯分離のデメリットの3つ目は、介護保険サービス費の合算ができなくなることです。

どういうことかというと、同一世帯で多額の介護保険サービスの自己負担額を負担している場合は、
世帯による所得区分ごとに負担の上限額を上回る額が返還される制度があります。

この制度を高額介護サービス費制度と言いますが、世帯分離をすると今まで合算することが
出来ていた介護保険サービスの自己負担額を合算できなくなります。
よって、上限額に届かず返還金がもらえない可能性があるのです。

世帯分離をする前に介護保険サービスの自己負担額を合算して返還してもらっていた金額が、
世帯分離によって合算できなくなり上限額を超えないために返還金がもらえないというデメリット
もあるのです。

 役所での手続きが煩雑になる

世帯分離のデメリットの4つ目は、手続きが煩雑になる点です。
というのも、今まで同一世帯で役所などの手続きがてきていたところを二つの世帯に分けなくては
ならないので手続きが煩雑になります。

例えば親の住民票が必要な場合、親が身体的な問題などで自ら役所に行けないとき、子が代理で
窓口に行くには委任状が必要となります。
必要な都度、親に「委任状」を書いてもらうことになるため、手続きの手間は増えるといえる
でしょう。
以上より、世帯分離のデメリットとして手続きが煩雑になる点が挙げられます。

世帯分離の手続き方法を紹介

世帯分離の手続きには、市区町村の担当窓口に必要な書類を提出することが必要になります。
具体的な手順は以下のようになります。

  1. 世帯分離の手続きに必要な書類をそろえる
  2. 市区町村の窓口に「世帯変更届」を提出する


世帯分離の手続きに必要な書類としては、マイナンバーカード、運転免許証などの顔写真付きの
本人確認書類と国民健康保険証、世帯変更届などです。
また身体的な問題などで親の手続きを子が代理で行う場合は、委任状も必要となるため忘れないよう
にしましょう。

「世帯変更届」は自治体によって名称が異なることがあります。
もしも記入する書類が分からない場合は、職員に世帯分離をしたい旨を伝えれば必要となる書類を教えてくれるでしょう。

世帯分離するかどうか悩んだ時の相談先は?

「メリット・デメリットは分かったけど、結局自分は世帯分離したら経済的に得があるの?」と
疑問をお持ちの方も多いでしょう。
そんな場合は、FPやケアマネージャーに相談してみることがおすすめです。

「世帯分離によって経済的なメリットがあるのかどうか」を確かめることは非常に難しいうえに、
膨大な手間と時間が掛かってしまいます。
したがって「世帯分離で経済的なメリットがあるのかどうか」を知りたい場合は、
プロの手を借りることが大切と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、「世帯分離」とは何かと、メリット・デメリットについて紹介しました。

世帯分離には、介護サービスの自己負担額などを軽減できるといったメリットがある一方で、
国民健康保険料が高くなるなどのデメリットもあります。

世帯分離を検討する際には、ケアマネージャーやFPといったプロと相談するなどして、
本当に経済的なメリットが大きいのかを確認することが大切と言えるでしょう。

 

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