高齢者の便秘の原因は主に加齢によるもので、身体機能や生活習慣の影響などにより男女共、
便秘になりやすい傾向があります。
便秘は腹痛や嘔吐、自律神経の不調などの症状が起こり、健康状態に悪い影響を及ぼすため、
早めの対処が必要でしょう。
適切な改善策や対処法を実践することで便秘の悩みを減らせます。
毎日の生活を快適にするための改善策を詳しく解説しましょう。
目次
便通の本来の健康な状態は、排便が毎日あることです。
便秘は、便を体外へ充分に出し切れない状態だったり、便の量が少なくて硬く、残便感があるような
状態です。
あるいは、直腸内にある糞便を快適に排出できない状態を言います。
便秘で便が体内に溜まってしまうと、身体に色々な症状が現れ体調不調になる場合があります。
また、その症状は女性に多く見られます。
・ お腹の張り・腹痛
・ 嘔吐・吐き気
・ イライラ
・ 食欲不振・食欲低下・消化不良
・ 自律神経の不調
・ 肌荒れや肩こり
便秘が慢性化すると大腸がんなどのリスクが高まったり、全身に影響が出ることもあります。
また、「便秘そのものが悩みになる」などの精神的な苦痛も起こると考えられるため早めに対処する
必要があるでしょう。
主に以下の原因が考えられます。
・排便に必要な腹筋や肛門括約筋が弱くなる
・直腸の知覚が低下し便意を感じにくくなっている
・水分が充分に取れていない
・食事を食べる量が少ない
・運動量が少ない
・薬の副作用によるものや浣腸や下剤の習慣化により便意を感じにくくなる
便の排出は直腸の収縮力といきむ力のバランスで行われますが、年齢を重ねるに連れて、
日常生活の活動量も低下するため、筋力も低下します。
排便には腹筋が関与しており、腹筋と腸の動きは連動しているため筋力の低下で腸の動きが衰え、
腸の中の便が停滞してしまいます。
また、内服している薬の中には副作用で便秘を生じる種類があります。
排便するときに必要な筋肉である横隔膜や腹筋や肛門括約筋が弱くなってしまい、便を押し出しに
くくします。
高齢になり食事の量が減ってくると、大便の量が少なくなり、ぜん動運動の低下によって便意を
感じにくくなります。
高齢者の便秘で最も多い原因と言われています。
具体的には、加齢や義歯の使用と咀嚼機能の低下などによる食事量の減少や、食物繊維の少ない
食事が多い場合に起こりやすいようです。
食事の量や繊維分の摂取が少なくなると、便の量も減り、腸のぜん動運動も減少するため便秘の
原因になります。
食生活の見直しも重要です。
高齢者は、食欲が減退し、栄養バランスの悪い食事を摂ることが多くなります。
高齢者は、喉が渇きにくく、水分不足になりやすい傾向があり、水分の摂取量が少ないと、
便が硬くなり、スムーズに移動できないため便をやわらかくするために水分をとることが重要です。
特に夏は大量の汗をかいて水分が失われるため、体内の水分量が不足して、便秘が悪化する人が
多いといわれています。
日頃から水分をこまめに取るように心がけましょう。
加齢に伴って、腸の働きが低下し、大便が腸に停滞する時間が長くなるため、便が硬くなり排便
しづらくなります。
人は運動によって腸を動かし刺激を与え、腸のぜん動運動を活性化させています。
そのため、運動量が低下すると排便のときに必要な腹筋や肛門括約筋の働きが低下し弱くなり、
便を押し出しにくくします。
また、必要な筋肉が減少してしまうことがあり、それが便秘につながることもあります。
腸の働きのために適度な運動が大切です。
高齢になると、身体の感覚が鈍くなりやすく、直腸の知覚が低下する傾向があり、便意が起こり
づらくなります。
大腸の中で肛門に近い直腸に便が到達すると便意を感じますが、高齢になると、直腸に到達した便の
存在を感じ取る感覚が低下してしまいます。
そのため、便が肛門の近くまできているのに、便意が感じられず、直腸に便が溜まって便秘に
なってしまうことがあります。
浣腸の使用を習慣化すると、便意を感じにくい状態になってしまうことがあります。
高齢者が便秘になった時の改善策を解説しましょう。
・ 排便する時の姿勢を改善する
・ 腸をマッサージする
・ 食生活を改善する
・ 適度な運動を心がける
・ 水分をしっかりとる
これらを心がけ対処していきましょう。
排便の姿勢は、背筋を伸ばして前傾姿勢(前かがみ)にし、踏み台を設置すると、より便が
出やすくなります。
直腸と肛門がまっすぐになり、肛門へ向かって入れた力が伝わりやすくなり、肛門も緩みます。
猫背によって負担がかかった筋肉が緊張して硬くなり、血管を圧迫することで血流が悪くなって、
内臓の働きを鈍くしたり代謝の低下を招いてしまいます。
排便の際に足が床に着かないのも力が伝わりにくくなりますので注意しましょう。
腸のマッサージとして、「の」の字をイメージしてマッサージする方法がよく知られています。
これは食べ物が腸の中を通っていく順番(上行結腸→横行結腸→下行結腸→S字結腸)に、
お腹をマッサージするもので、効率的かつ合理的な方法になります。
また、利用者の排便時に、力を入れるタイミングに合わせて、手でお腹の左下の辺りを少し
強めの力で押すと、便が出やすくなり、加齢で弱った腹筋をサポートできます。
高齢者の便秘を改善する食生活のポイントとして、腸内環境を整える発酵食品のヨーグルトや
漬物などをメニューに加えたり、便通を促す食物繊維が含まれる食品を取り入れた食事を
考えましょう。
不溶性食物繊維を含む、さつまいも・じゃがいも・ほうれん草など。
水溶性食物繊維を含む、わかめ・こんにゃく・玄米など。
オリゴ糖を含む、きなこ・玉ねぎ・ごぼう・はちみつなど、栄養バランスの良いメニュー や
規則正しい食事を心がけましょう。
軽い運動でも筋肉を動かすことは腸への刺激となり、便秘改善に効果的です。
適度な運動で全身に刺激を与えることが、大腸のぜん動運動の促進につながります。
ウォーキングやラジオ体操は手軽に始められますし、ストレッチなどもおすすめです。
また、腰をひねる運動は、排便のための腸腰筋を鍛えてくれます。
軽い運動と、お腹をマッサージすることで便秘改善が期待できます。
毎日の生活の中に適度な運動をぜひ取り入れましょう。
加齢にともない喉の渇きを感じにくくなってきますので、こまめに水分を摂りましょう。
水分摂取は、脱水予防に大切なだけでなく、便の柔らかさを保つためにも重要です。
効果的な水の飲み方は、起床時にコップ1杯(約200ml)の常温の水を、一気に勢いよく飲んでしまう
ことです。
その目的は便秘対策として、胃に入った水の重さで、その下にある大腸を刺激するためです。
1日に1500mlから2000mlの水分を工夫して摂取しましょう。
高齢者の便秘の原因は加齢によるもので、男女共、便秘になりやすい傾向があります。
便秘は腹痛や嘔吐、自律神経の不調などの症状が起こり、健康状態に悪い影響を及ぼすため、
早めの対処が必要です。
排便する時の姿勢を改善し、腸のマッサージや適度な運動を心がけ、食物繊維が豊富な食事や
発酵食品を取り入れて食生活を改善し、しっかりと水分を摂ることが大切です。
症状が改善されない場合には、病院の医師などに相談するようにしましょう。