高齢になると足がむくみやすくなります、それはなぜでしょう?
高齢者の足・足首のむくみは病気によるもの、薬の服用によるもの、生活習慣やその他の原因
により起こります。
病気のサインの可能性があるため放置すると生命に関わるケースもあり、注意が必要です。
むくみの原因や対処法、予防法やマッサージの方法などについても解説していきます。
目次
むくみは浮腫(ふしゅ)ともいわれ、体内の不要な水分が皮下組織に停滞することです。
血液は心臓のポンプ機能で全身に送られますが、このときに重力の関係で下肢に水分が停滞します。
その不要な水分を心臓に送り返すのがふくらはぎの筋肉ですが、この筋肉が何らかの原因で
機能しなくなると、むくみが起こります。
むくんでいるかどうかを確認するには、すねの骨の内側を10秒程度押します。
押したへこみがなかなか戻らない場合は、むくんでいる状態です。
高齢者の足のむくみは、加齢による心肺機能や筋力の低下による血行不良によるものが
最も多い原因とみられます。
病気によるもの、薬の服用によるもの、生活習慣やその他の原因により起こります。
それでは詳しく解説していきましょう。
臓器(心臓や腎臓、肝臓など)の病気によるむくみは足だけでなく顔や手などにもあらわれます。
両足にむくみが出る病気では、
・ 心不全
・ 腎不全、ネフローゼ症候群
・ 甲状腺機能低下症
・ 肝硬変
・ 低栄養
また、片足にむくみが出る病気もあります。
・ 下肢静脈瘤
・ 深部静脈血栓症(痛みや、発赤、局所の熱感を伴う)
・ 麻痺性浮腫(片麻痺の患側)
・ リンパ浮腫
むくみの悪化があるときには速やかに内科を受診しましょう。
高齢者には複数の薬を服用している方が多くみられます。
むくみの原因の一つに薬剤性浮腫があり、むくみをおこしやすい薬として降圧剤があります。
降圧剤は、手足の血管を拡張させることで血圧を低下させますが、その際に、下肢の血管も
拡張するため、むくみやすくなります。
非ステロイド性抗炎症薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、抗生剤、抗癌剤などがあり、
これらの薬を服用後に、むくみがみられた時は早めにかかりつけ医に相談しましょう。
高齢になると身体を動かす機会が減り、椅子や車椅子に長時間座り続けている時間が
長くなってしまいます。
パーキンソン病、関節障害、麻痺など歩行障害がある方は特にむくみやすい傾向が強くなります。
・ 加齢による筋力低下
・ 長時間同じ姿勢でいる
・ 歩行が十分にできていない
・ 塩分や水分の過剰摂取
・ ストレスや過労
・ 加齢による筋力低下
・ 身体の冷え
など、これらの生活習慣に原因があるため、見直していきましょう。
足のむくみを放置すると命に関わる危険性があり、日常生活に様々な弊害が起きる可能性があります。
・ 病気に繋がる場合がある
・ 歩行に支障がでる
・ 体が冷えやすくなる
気になることがあればかかりつけ医に相談してみましょう。
リンパには体内に侵入してきた菌を対外に排除する役割があるため、むくんでいる状態が続くと、
リンパの流れも悪くなり体調の悪化につながります。
むくんだ足は傷つきやすく、傷から菌が侵入すると炎症が広がりやすく、同じ姿勢などが
長時間続くと血栓(血のかたまり)ができたりします。
足首が動かしにくくなり歩行が不安定になり、つまずくことが多くなったりするため、
転倒して骨折を起こすと、寝たきりの原因にもなるため注意が必要です。
むくみが重症化すると、足が重くなる、足が痛くなる、膝や足首の動きが悪くなり自力で
歩くことが困難になる、などの支障が出ます。
膝や足首は、立ち上がりや歩行のバランスに重要な役割のある関節で、動きが悪くなると
転倒の険性が高くなります。
高齢者にとって、転倒は骨折などを引き起こす原因になるので、むくみは後に寝たきり状態に
繋がってしまうことになります。
本人だけでなく家族のサポートも大切になるでしょう。
高齢者にとって身体の冷えは大きな問題で、心身の動きを悪化させてしまうリスクがあります。
身体の冷えは全身の血流が悪くなって起きます。
血行が悪くなると筋肉もこわばりやすく、身体機能を低下させる原因となるでしょう。
とくに手足の冷えを感じる高齢者が多く、冷えによる血行不良でむくみやすくなります。
そして、その結果、さらに足先の冷えが悪化しやすいという悪循環が起こります。
膝掛けなどを利用して冷えの対策にも気をつけましょう。
生活習慣による足のむくみを予防・対処する方法について解説します。
意識して実行し、健康的な生活を送れるようにしましょう。
・ マッサージを行う
・ 着圧靴下を履く
・ 塩分を控える
・ 足の位置を高くする
・ 十分な睡眠をとる
むくみに効果的なマッサージは、
・足首を上下に動かす、足首を回す、つま先から足首に向けてゆっくりさする
・椅子に座ってアキレス腱を親指と人差し指ではさみ、数十秒ほど優しくもみほぐす
・椅子に座って膝を両手ではさんで、指全体を使って心地よい強さで優しく押して
マッサージする
・足の付け根を親指で指圧する
また、おへその周りに天枢・関元というツボがあるので円を描くようにマッサージするのも
効果的でしょう。
足のむくみは、夜寝ている時間よりも日中起きている時間帯に悪化していきます。
高齢者の慢性下肢浮腫は特に予防が大切で、むくみが起きる前からの対応が必要なため、
日中起きているときに、むくみを予防する着圧ソックスを使用すると良いでしょう。
着圧ソックスはドラッグストアなどで購入することが可能で、市販のものでも十分な効果が
期待できます。
就寝時のむくみを改善するための商品が多いですが、高齢者の場合は日中に使用するのも
おすすめです。
塩分の多い食事はむくみの原因になります。
高齢者は塩味を感じにくく、知らないうちに塩分を多く摂っている場合があります。
むくみを解消するために塩分を体外へ排出してくれる作用のあるカリウムや、血行促進を促す
ビタミンE、不足しがちな蛋白質やビタミンB1など、下記を参考に積極的に摂取しましょう。
・カリウムを多く含む食材は、バナナ・海藻など
・ビタミンEを多く含む食材は、ナッツ類・ツナ缶など
・蛋白質を多く含む食材は、肉類・魚類・乳製品など
・ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉・ごまなど
重力によって足や下半身に血液やリンパ液が停滞しやすくなるため、足を高くすることで
血液やリンパ液の流れを活性化できます。
椅子に座っているときは、クッションを挟む、踏み台や別の椅子なども利用して、
足の位置をお尻と同じくらいの高さに上げる工夫をすると良いでしょう。
就寝時に足を上げて寝ることにより血液の流れが良くなり、むくみ解消に繋がります。
足の高さは枕の高さと同じ程度で、負担をかけない高さにしましょう。
睡眠は副交感神経が優位な状態で、日中よりも血流が良くなるといわれています。
横になって足を心臓よりも高い位置に上げて眠ることで、停滞しがちな血液やリンパの流れを
良くします。
さらに、体の下の方にたまった余分な水分や老廃物をスムーズに流してくれます。
横になって下肢が重力から解放され、十分に睡眠をとることで、足のむくみが取れて改善が
期待できます。
また、就寝時に膝を立てて寝る姿勢は腰への負担が軽減されます。
高齢者の足のむくみは、病気や加齢、服用中の薬の影響、生活習慣など色々な原因が
結び付いて起こります。
特に高齢になると、むくみの原因が加齢による足の筋力低下によることが多く、放置せずに
受診するなど早めの対応が重要です。
むくみには生命に関わる病気が隠れていたり、身体機能に影響する場合がありますが、
症状が悪化するまで気づかないことが多いため、頻繁にチェックすることが大切です。
血流が良くなるマッサージや運動などを取り入れ、早めの予防や対策を習慣にし、
毎日を快適に過ごしましょう。