口腔体操とは?パタカラ以外の体操や高齢者向けの早口言葉も紹介!

2024.06.03

口腔体操は、舌や口の周りの筋肉をストレッチしたり動かしたりすることです。
高齢者の口腔機能の低下に伴う摂食・嚥下障害や構音障害を予防することが可能です。

口腔体操は、食べるために行う筋肉トレーニングだけでなく、表情を豊かにしたり、
会話を楽しむことに有効です。
口の周りのストレッチや舌の運動、また、早口言葉などを紹介します。

口腔体操とは?

口腔体操とは、唇や舌、口の周りの筋肉などを意識して動かすことで、スムーズに食事や
会話ができるようにするトレーニングです。

口腔機能を維持・向上するには、顔の表情を豊かにする「顔面体操」、
舌の動きを滑らかにする「舌体操」、だ液の分泌を促す「だ液腺マッサージ」などが効果的です。
口や舌の動きがスムーズになり、だ液も出やすくなります。

おいしく食事をし、楽しく会話ができるよう、口腔体操を行いましょう。

口腔体操の効果や目的・ポイント

口腔体操は、唇、頬、舌、口の周りの筋力をアップさせる効果があります。
口腔機能が高まり、だ液がよく出るようになると、舌がスムーズに動き、
食べ物が飲み込みやすくなり、顔の表情にも活気が見え、会話も楽しめるようになるでしょう。

 口腔機能の低下を防ぐ

口腔機能が低下すると食欲も低下するため、栄養の偏りや栄養が不足するようになります。
その結果、筋量や筋力が減少し、免疫、代謝といった機能も低下し悪循環が生じます。

口腔機能の低下を防ぎ、口腔機能を維持・向上するには、だ液腺マッサージや、
口腔体操が効果的になります。
口腔体操を毎日続けると、口や舌の動きがなめらかになり、だ液も出やすくなります。
口腔機能を向上させ、維持するために口腔体操を取り入れましょう。

 簡単なので導入しやすい

高齢者の介護施設では、自力で歩いている方も、車椅子の方も食事の前には食堂に集まります。
食事前の利用者が集合する時間に、集団で口腔体操を実施するのは大変良い機会です。

口腔体操は椅子に座ってできる体操なので、舌や口の周りの筋肉ストレッチや動かす体操は、
レクリエーションのように皆さんと楽しんで取り組むことができます。
だ液腺マッサージや、口腔体操をして、食事を安心して楽しんでもらいましょう。

高齢者向けの口腔体操を行うタイミングは?

高齢者に向けて口腔体操を実施する一番良いタイミングは、食事の前になります。
口腔体操で取り組む「嚥下体操」や「だ液腺のマッサージ」により、口や頬の筋肉を動かし、
だ液を出しやすくしていきます。

だ液は食塊を形成し、飲み込みやすくする効果があるので、食べ物を食べる前に口腔体操を行うと、
食事の食べ始めでもスムーズに飲み込めるようになります。
もちろん一番大切なことは、毎日継続して取り組むことです。

おすすめの口腔体操

・頬の体操
・舌の体操
・パタカラ体操
・あいうえお体操
・だ液腺マッサージ
・表情筋トレーニング
・口腔体操になる高齢者向けの早口言葉3選
口腔体操、マッサージ、筋肉のトレーニングなど、詳しくご紹介しましょう。

 頬の体操

頬の体操は、口腔内に空気をためたり、すぼめたりする頬の筋肉トレーニングです。
食べ物を咀嚼する時に、舌と頬が協調して働いたり、口を閉じるために口輪筋が働いて
食べこぼしを防げます。
唇、頬、舌、口の周りの筋力をアップすると、だ液がよく出るようになって、
食べ物が飲み込みやすくなります。

運動方法:頬をしっかりと膨らませます。次に頬をへこませて吸いつけます。
目標回数:10回を目安に行いましょう。

 舌の体操

舌の体操は、椅子に座ってできる舌のトレーニングです。
舌を左右に動かす能力は、食塊を正しく嚙める位置に移動させたり、口腔内残渣を少なくするなど
非常に重要な動きがあります。
さらには、発語の舌の動きを保つことができます。

運動方法:舌で下顎の先を触るつもりで伸ばす。舌で鼻のあたまを触るつもりで伸ばす。
舌を左右に伸ばす。口の周りをぐるりと舌を動かす。
目標回数:それぞれ10回を目安に行いましょう。

 パタカラ体操

パタカラ体操は「パ・タ・カ・ラ」の4文字を発音し、口・舌の筋肉を使うことで嚥下機能や
発声機能(構音機能)に効果があります。

運動方法
①単音の発音→「パ」「タ」「カ」「ラ」のように1音ずつ発音する。
②連続の発音→「パパパ…」「タタタ…」「パタカラ、パタカラ…」のように連続して発音する。
③文の発音→「パ・タ・カ・ラ」を含む文を発音する。
例:「パンダの宝物」という一文で、「パンダのたからもの、パンダのたからもの…」のように
発音する。
目標回数:食事の前に各10回程度行いましょう。

 あいうえお体操

この口腔体操は「あ・い・う・え・お」と大きく口や顎、唇、舌を動かす体操で、
「あいうえお体操」と呼ばれるトレーニングです。

発声の運動は、誤嚥の予防や表情が乏しい方の表情筋トレーニングとして効果が期待できます。
また、大きな声を出すと腹圧が高まり、咳き込む力が強くなって、誤嚥の予防ができるように
なるでしょう。

運動方法:遠くに声を届けるようにお腹の底から大きな声を出します。
目標回数:それぞれ5回を目安に行いましょう。

 だ液腺マッサージ

だ液腺マッサージは、顎下腺をマッサージします。
顎の内側、骨の左右にあるやわらかい部分が顎下腺です。
高齢者は、だ液の分泌量が減少しやすくなるので、だ液の分泌を促すために、だ液腺のマッサージを
しましょう。

マッサージ法:顎の骨の内側に両手の指をあて、耳の下から顎の先まで前方に向かって
4~5箇所に分けて押し込むように、ずらしながら順番にマッサージします。
目標回数:5回×1〜2セットを目安に行いましょう。

 表情筋トレーニング

表情筋の中で頬には、食べ物を噛むときに働く咬筋や頬筋、大頬骨筋などがあります。
人との交流が減ったり、病気などの影響により、顔の筋肉を動かす機会が減って、
口の周りの動きや肺活量も低下しやすくなります。
表情筋のトレーニングで、頬の周りの筋肉をストレッチしましょう。

運動方法:頬骨に親指の付け根の手のひら側のふくらみをあてて時計回りにマッサージします。
目標回数:5回×2セットを目安に行いましょう。

口腔体操になる高齢者向けの早口言葉3選

早口言葉」は、口や喉のストレッチができて、滑舌の改善に役立ちます。
よく知られている早口言葉を2~3回程度繰り返しましょう。
舌の動きを意識し、はっきり言葉として発音することがポイントです。

早口言葉①:生麦・生米・生卵(なまむぎ・なまごめ・なまたまご)
早口言葉②:隣の客は・よく柿食う客だ(となりのきゃくは・よくかきくうきゃくだ)
早口言葉③:青巻紙・赤巻紙・黄巻紙(あおまきがみ・あかまきがみ・きまきがみ)

まとめ

口腔体操は、舌や口の周りの筋肉をストレッチしたり動かしたりすることで、
高齢者の口腔機能の低下に伴う摂食・嚥下障害や構音障害を予防することが可能です。

食べるための筋肉トレーニングだけでなく、豊かな表情にしたり、滑舌を良くして会話を
楽しむことにもつながります。

口腔体操のイラストなどをプリントして、食事前に配布し、パタカラ体操やマッサージ、
早口言葉を取り入れ、楽しく安全な食事の時間にしましょう。

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