介護や看護にける全身清拭の目的は?手順や注意点も詳しく説明!

2024.06.06

清拭とは、利用者の全身または一部分をタオルなどで拭いて清潔にすることを言います。
体の汚れをキレイに拭き取り清潔を保つためにあります。

介護現場での清拭は様々な理由で入浴ができない人に対して重要な役割をもちます。
しかし、簡単に身体を拭く行為といっても、どのような手順で、どういった点に注意して
行えばいいのでしょうか?
この記事では、そんな清拭に関して詳しく説明をしていきます!

そもそも清拭とは

清拭とは蒸しタオルなどを利用して、身体を拭く行為を指します。
基本的に清拭には、身体全体を拭く「全身清拭」と
身体の一部分だけを拭く「部分清拭」の2種類があります。

まずは、この全身清拭と部分清拭の違いについてそれぞれ説明していきます!

 全身清拭

全身清拭とは、文字通り全身を拭く清拭の種類です。

洗髪が可能な場合は頭部は清拭をしませんが、病気やケガ、体調によって洗髪ができない場合は、
髪の毛や頭部の清拭を行うこともあります。

洗髪ができない場合は、洗い流す必要がないドライシャンプーなどを利用して洗髪をする
こともあったり、足浴など一部分だけお湯につかりながら、清拭を行うなど、
その人の状態に合わせて色々な清拭の方法があります。

なぜ、清拭が大切なのか清拭を行う目的については後述で詳しく説明していきます。

 部分清拭

全身を拭く全身清拭に対して、部分清拭は身体の一部のみ清拭を行う、清拭のことを指します。
顔、首、手足のみ、上半身のみ、陰部のみというように、分けて行います。
(組み合わせて行うことも良いでしょう)

こちらも、洗髪ができる場合は頭部は行わないことがあったり、ドライシャンプーや髪用の
拭き取りシートなども併用し行う場合もあります。

足浴など部分浴を行い、あとは気になるところや特に汚れているところだけ清拭を行うなど、
部分清拭もやはり、利用者の状態や希望に合わせて様々な方法と工夫がとられています!

全身清拭の目的

清拭には清潔を保つ以外にも以下のように様々な目的があります。

  • ストレス解消や免疫力の向上を図る。
  • 褥瘡(床ずれ)などの異常を早期発見するため。
  • 傷口を清潔にし、感染症を予防する。
  • 清拭時に体を動かすことで、関節が硬くなるのを防ぐ、リハビリ目的。

このように、清拭には身体の清潔を保つため以外にも多くの目的があります。
これらの目的をしっかりと理解することで、より利用者の状態に合わせた清拭を行い、
効果的に清拭を行うことができるでしょう!

全身清拭によって得られる効果

清拭を行うことによって、人の身体は色々な反応を示します。
全身清拭によって得られる効果は以下の通りです。

  • かゆみの解消や爽快感につながる。
  • 血行が良くなることが期待される。
  • リラックス効果があり、ストレス解消につながる。
  • 清拭で身体を拭くことで、体のマッサージにもつながる。
    (腹部マッサージを併用し、便通の改善も期待できる)

このように、清拭には爽快感がありリラックス効果やマッサージによる便通改善まで
幅広い効果が期待できます。

全身清拭の事前準備

ここまでは、清拭とは何かとうい基本知識について説明してきました。
それでは、実際に清拭を行うにあたり一体どんな物品が必要になってくるのでしょうか?
ここからは、清拭を行う前に必要な準備について説明していきます!

 用意するもの

清拭を行う際、あわてないように用意するものについて確認していきましょう。

【用意するもの】
・着替え  ・洗面器  ・バケツ(汚水入れ)  ・50℃〜60℃のお湯  ・タオル(部位ごとに交換するため5〜7枚程度)  ・バスタオル・石鹸、ドライシャンプーなど  
・使い捨て手袋  ・陰部洗浄用のボトル  ・塗布薬や保湿剤(必要に応じて)  ・爪切り  
・ビニールシートまたは新聞紙

清拭中は肌の露出が多いため、準備をしっかりと整え効率よく清拭を行うことが大切です。
また、カーテンやドアなどを利用しプライバシーを確保できる場所で行うという配慮も
大切にしましょう!

全身清拭の手順を説明

必要な物品を忘れずに用意ができ、プライバシーの配慮などの事前準備が整えば、
いよいよ全身清拭を行っていきます。
では、清拭を行うにあたり、どの部位からどのように清拭していくのが良いのでしょうか?
ここからは、清拭の手順について詳しく説明していきます!

 上半身から下半身の順で行う

全身清拭は「上半身から下半身の順で行う」のが基本となります。
具体的な順番は以下の通りとなります。

・顔 → 耳 → 首 → 手 → 腕 → 胸 → 腹 → 背 →
 臀部 → 足 → 陰部 → 肛門

全身清拭を行う際は、衣類をすべて脱いで行うのではなく、清拭する場所だけ脱衣し
保温に努めながら行いましょう。

また、温めたタオルの温度にも気をつけ、かために絞ったタオルで行いましょう。
部位ごとにタオルを折りたたんだり交換し、常にキレイなタオルを利用するよう心がけましょう。

 上半身は全面・背面に分けて拭く

全身清拭を行う場合は、上から下に清拭していくのが一般的で、
上半身は前面と背面にわけて拭いていきましょう。

顔の清拭を行った後は、手から腕の清拭を行い、まずは前面(胸、腹)を清拭しましょう。
上から下、末端から体幹へを意識すると良いでしょう。

顔などデリケートな部分を清拭する際は、柔らかいタオルで傷つけないよう清拭することが
ポイントです。
また、肘や脇など関節部分は汚れが溜まりやすい部分のため、念入りに清拭を行いましょう。
女性であれば乳房の下などにも汚れが溜まりやすいため留意しましょう。

 下半身は足全体・陰部の順に拭く

上半身の清拭を終えると、次は下半身の清拭に移ります。

下半身は足先から足全体、そして陰部に向かって清拭していくのが一般的です。
こちらも末端から身体の中心に向けて清拭していくイメージとなります。

足の指の間、膝裏、そけい部は汚れが溜まりやすい部分なので、念入りに清拭をしましょう。
陰部はデリケートな部分なので、できるだけ本人にしてもらうことが良いでしょう。

また、男性であれば「陰茎→陰嚢→肛門」の順で清拭し、
女性であれば「恥骨から肛門へ一方向に行い、大陰唇・小陰唇」の順で清拭していきましょう。

全身清拭を行う際の注意点

全身清拭は、リラックスや爽快感があり気持ちの良い行為ですが、以下のような注意点もあるため、
注意点を把握した上で実施していきましょう。

  • プライバシーに配慮する。裸になる必要があるためカーテンやドアなど
    プライバシーの確保できる状況で実施しましょう。
  • 体調の確認。実施前に検温や血圧を測定し確認しましょう。
    普段と違う様子やバイタルに気になることがあれば看護師などに確認してから実施しましょう。
  • 皮膚状態の確認。皮膚にただれや傷ができていないか、床ずれができていないかなど
    確認しながら清拭していきましょう。
  • 身体を冷やさないようにする。清拭を行う部位のみ脱衣し、保温に務めながら清拭しましょう。
    お湯が冷めてきたら温かいお湯を再度用意しましょう。
    実施する場所が寒い場所であれば、暖房などを利用し居室を温めてから案内し、
    清拭をしましょう。

まとめ

この記事では、介護や看護における全身清拭の目的と題して、清拭の基本的な知識や、
手順、留意点について詳しく説明をしました。

病気やケガなどを理由に、入浴が出来ない方にとって清拭は大切な行為です。
清潔を保つための目的以外にも、リラックスをしたりマッサージの代わりにもなったりと、
様々なメリットがあります。
また、皮膚のトラブルなどを早期に発見し、早期治療につなげるためにも清拭などを通して

利用者の全身の状態を観察し把握することは、とても大切です。

この記事での手順や注意点についてしっかりと把握し利用者が気持ちの良い生活を
送れる一助になれば幸いです!

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