ロコモティブシンドロームとは?原因やチェック項目・予防方法も紹介!

2024.06.06

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、体を動かすための
組織・器官に障害が生じることで、歩行などの機能が低下した状態のことです。

加齢により、骨・筋肉・関節の働きが低下して、要介護や寝たきりのリスクが高くなります。
自立した生活を送り続けるためにも、予防することが大切です。
原因やチェック項目・予防方法をわかりやすく解説しましょう。

ロコモティブシンドロームとは何か

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、加齢に伴う筋力の低下や脊椎の病気、
骨粗しょう症などによって、運動器に障害が起こる状態を言います。

身体を動かすための骨・関節・筋肉・神経などの運動器に障害が起こると、
立つ・歩く・座るといった移動機能が低下します。
そのため、身体を思うように動かせなくなり、日常生活に支障が生じ、
高齢者の転倒を招く原因となり「要介護」や「寝たきり」などにつながります。

ロコモティブシンドロームの原因は?

ロコモティブシンドロームには、以下のような原因が考えられます。

  • 加齢に伴う筋力の低下→筋肉の萎縮
  • バランス能力の低下→視覚と三半規管と筋力の3つの要素が連携
  • 間接・骨の病気→骨粗しょう症、変形性ひざ関節症

 加齢に伴う筋力の低下

加齢による筋肉の変化は、筋肉の線維そのものの変化より、筋線維(筋肉を構成する細長い細胞)数
が減少し、さらに筋線維が萎縮してしまうことにより、筋肉量が低下することです。

筋肉の萎縮は下半身に起こりやすく、高齢者の転倒の危険を引き起こす原因となります。
ロコモティブシンドロームは、運動器の病気や運動器の能力の衰え、運動器の痛みなど、
これらの要因がつながったり、合わさったりすることで起こると考えられます。

 バランス能力の低下

バランス能力の低下は、加齢や運動不足のほか、脳の障害によっても生じます。
バランス感覚の維持には、視覚と三半規管と筋力という3つの要素が関わりあっています。

視覚が衰えると明暗を感じにくくなり、物の形や色がぼやけて見えるため対象物との
距離感をつかみにくくなります。

また、高齢者は加齢とともに老眼や白内障などで視力が低下し、三半規管が衰え、
ふらつきやめまいが起こり、バランス感覚が保てなくなります。

 間接・骨の病気

以下のような骨や関節、神経に関連する病気が原因となり、運動器に障害が出ると考えられます。

  • 変形性膝関節症→膝の関節にある軟骨がすり減り、膝の骨に変形や関節炎が起こる
  • 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)→骨密度の低下によって骨がもろくなってしまう
  • 変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)→脊椎の変形により神経が圧迫され足のしびれや
    痛みなどが起こる
  • その他「関節リウマチ」や「椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)」など

ロコモティブシンドロームを招く代表的な病気は?

脳血管疾患による後遺症で運動器の障害が起こることや、認知症の発症リスクもあります。
ロコモティブシンドロームを招く代表的な運動器疾患は以下のような病気です。

  • 骨粗しょう症
  • 変形性関節症・変形性脊椎症
  • サルコペニア

 骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨が弱くなり、骨折しやすくなる状態です。
発症初期は症状がないことがほとんどで、自覚できるのは、腰や背中が痛い、
背中が曲がってきた、などです。

加齢やエストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、何らかの病気によって、
骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少する場合があります。
骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。

 変形性関節症・変形性脊椎症

変形性関節症とは、関節の間にある軟骨が擦り減って滑らかに動かなくなり、
関節の骨などが摩擦で炎症を起こし、水がたまるなどの症状で、骨に棘のような
突起ができ関節が変形していきます。

変形性脊椎症とは、椎間板がつぶれて狭くなり、椎間関節も変形します。
脊椎の変形により神経が圧迫され、足のしびれや痛みなどの症状が見られ、
腰痛、臀部痛、大腿前面の痛み、下肢のしびれ、坐骨神経痛、脊柱管狭窄(きょうさく)症の症状などが起こります。

 サルコペニア

高齢期にみられる骨格筋量の低下と筋力または身体機能の低下のことで、
骨格筋量の低下は20代半ば頃から始まり、生きている間は進行します。

サルコペニアの主な要因は加齢によるものですが、運動不足や疾患、栄養不良は危険要素です。
代表的な症状には、転びやすくなり頻繁につまずく、歩くスピードが遅くなり、
青信号の間に横断歩道を渡りきれない。
ペットボトルのキャップが開けにくい、手すりにつかまらないと階段を上がれない、などです。

ロコモティブシンドロームになっていないかのチェック項目

ロコモティブシンドロームになっていないかの7つのチェック項目です。

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたり滑ったりする
  3. 階段を上るのに手すりが必要である
  4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  5. 15分くらい続けて歩けない
  6. 2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である
  7. 家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である
    ※日本臨床整形外科学会 (2009/10/15 改訂)

ロコモティブシンドロームを予防するためには

ロコモティブシンドロームを予防するには、若い時から栄養バランスの良い食生活を心がけ、
毎日の生活の中に適度な運動習慣を持ち、健康維持を図り、骨と筋肉を強くすることが大切で、
生活習慣病の予防にもつながります。

 バランスの良い食生活

ロコモティブシンドロームを予防する食生活は

  • 毎食、主食、主菜、副菜を揃えた献立にし、牛乳・乳製品、果物を毎日適量食べる
  • 骨や筋肉の素となる良質なタンパク質、筋肉の合成を促すビタミンBは鶏のささみ
    ・赤身の肉・魚を食べる
  • 骨のためにカルシウムや、カルシウムの吸収を促進するビタミンDを、
    椎茸やしめじなどのきのこ類からも食べる

    タンパク質とカルシウムを十分に含む栄養バランスのとれた食事をすることが重要です。

 まとめ適度な運動習慣

ロコモを予防するのに大事なことは、足腰の筋力維持のための適切な運動を習慣的に行うことです。

例えば「スクワット」は、下半身の筋力を鍛え、続けていくことで、
立ったり座ったりのような日常生活動作を安定して行えるようになります。

「ウォーキング」や「簡単な体操」、また「日常的な家事」など、楽しみながら
長く続けられる運動を習慣にすることも大切です。
運動は、痛みの状態などに配慮しつつ、無理なく継続して行いましょう。

まとめ

ロコモティブシンドロームとは、加齢により、骨・筋肉・関節の働きが低下し、
身体を動かすための組織・器官に障害が起きて、要介護や寝たきりのリスクが高くなる状態
のことです。

ロコモティブシンドロームを予防するには、若い時から栄養バランスの良い食生活を心がけ、
毎日の生活の中に適度な運動習慣を持ちましょう。
自立した生活を送り続けるために予防対策が重要です。

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