利用権方式とは、介護施設や老人ホーム、特に有料老人ホームへの入居を検討している場合には
知っておきたい契約方式のひとつです。
利用権方式と賃貸借方式の違い、利用権方式の支払い方法、メリット・デメリット、
利用権方式の介護施設と賃貸借方式の介護施設など、
終身契約にあたる利用権方式について詳しく解説していきましょう。
目次
利用権方式とは、居室や共用部を終身で利用できる権利と、食事や介護など生活に必要なサービスを
受ける権利とを合わせ持つ契約方式です。
利用権方式は、入居一時金を支払っておくことで、老人ホームへ居住する権利や生活支援などの
各種サービスを利用する権利を得られます。
一度、利用権方式で契約してしまえば、終身まで入居の権利や、その居室の利用権が
自分のものとなります。
所有権ではないため、不動産とは違い相続の対象にはなりません。
老人ホームや介護施設への入居を検討する際に知っておきたい、利用権方式という
契約形態があります。
有料老人ホームの契約形態には、居住部分と介護や生活支援等のサービス部分の利用契約が
ひとつとなった「利用権方式」、一般の賃貸住宅と同じ「建物賃貸借契約」、
生涯住み続けられる「終身建物賃貸借契約」の3つの契約方式があります。
「利用権方式」と「賃貸借方式」との違いや支払い方法などを詳しくみていきましょう。
賃貸借方式には、建物賃貸借方式と終身建物賃貸借方式があります。
利用権方式の料金の支払い方法は「前払い方式」と「後払い方式」があります。
「前払い方式」には、全額前払い方式と一部前払い方式があります。
前払い方式の全額前払い方式は、契約の時点で、先に想定入居期間分にかかる家賃等の費用を、
一度に支払う方法で、その後の支払いは月々の使用料のみになります。
前払いのお金には家賃や管理費、介護費、食費などが含まれます。
初期費用の負担はかかりますが、その後の金銭的な負担が少ないというメリットがあります。
前払い方式ならば、想定されている入居期間を超えた場合でも、追加で家賃などの費用が
発生することはありません。
月払い方式は、入居一時金が不要で、その分を月額利用料として毎月支払う形式です。
入居時に家賃の前払いは行わず、本来の家賃などを毎月の月額利用料として支払います。
月額利用料には、家賃、管理費、介護費、食費、使用料などが含まれます。
初期負担が少ないため、入居時の金銭的な負担は低いですが、月額利用料が前払い方式より
高くなる場合があります。
入居期間が長くなるほど支払う金額が多くなり割高になるデメリットもあります。
「一部前払い方式」は、家賃の一部を入居前に支払い、残りの額を月額利用料として支払う形式です。
「全額前払い方式」に比べて入居時の初期費用の負担は低くなります。
また、「月払い方式」では、毎月の支払額が高くなりますが、「一部前払い方式」は
家賃の一部の一定額を入居前に支払っているため、月々の負担も抑えられるのがメリットです。
「全額前払い方式」の次に、この支払方法が多く取り入れられている傾向があるようです。
利用権方式は特に多く採用されている介護施設の種類について解説しましょう。
有料老人ホームでは「終身建物賃借方式」が非常に少なく、「利用権方式」が多いようです。
介護付き有料老人ホームの契約形態には
健康型有料老人ホームは、自立していて元気な高齢者を対象とした老人ホームです。
食事や家事などの生活支援サービスが提供されますが、介護サービスは提供されません。
生活をサポートしてくれるため、一人暮らしに不安がある方や、家事を任せて充実した生活を
送りたい方などにおすすめの施設です。
また、老後をアクティブに過ごしたい方にはイベントやサークル活動、
趣味を楽しめる施設でもありますが、
入居中に要介護認定を受けた場合は退去になります。
住宅型老人ホームは、自立されている方から要支援・要介護の方まで、
幅広い方を対象とした老人ホームです。
食事、洗濯、清掃などの生活支援サービスやが付いた高齢者施設で、レクリエーションなども
提供されます。
ホームのスタッフが介護サービスを提供しない点が介護付き有料老人ホームとの違いになります。
そのため、介護が必要な場合は、外部の介護事業所(居宅介護支援事業所)と契約し、
訪問介護や通所介護などを受ける必要があります。
メリットは
デメリットは
利用権方式は、居住部分の利用料と介護サービスや生活支援サービスなどの利用料が
ひとつになった契約方式で、多くの老人ホームで採用されています。
終身にかけて居住部分とサービスを利用する権利を得られますが、
入居者が亡くなった時点で契約が終了し、利用権の相続はできません。
老人ホームや介護施設には他にもいろいろな権利形態があり、施設によって利用権を得る方法や
支払い方法、メリットやデメリットがあるため、
施設の入居検討時は契約方式についても充分に調べておきましょう。