特養老人ホームとは?費用や条件・有料老人ホームとの違いも解説!

2024.06.06

日本には、介護サービスを提供する事業所がたくさんあります。
事業所の種類によって特徴があり、介護が必要になった際に、その人の状態に合わせた
サービスが提供できる施設を選ぶことは、利用者にとってもその家族にとっても大切なことです。

今回はたくさんある福祉事業所の中から、「特別養護老人ホーム」について解説していきます!

特別養護老人ホーム(特養老人ホーム)とは

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、
「常に介護が必要とし、在宅での生活が困難な高齢者」に対して、生活全般の介護を提供する
施設です。

「特養」と略して呼ばれることが多く、入浴・排泄・食事などの介護、日常生活のお世話、
機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行います。

そんな、特別養護老人ホームの入居条件や費用はどの程度なのでしょうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう!

 入居条件

特別養護老人ホームに入居するには、原則「要介護3以上」の認定を受けている必要があります。
しかし、以下のような条件を満たす場合は「要介護1、2」でも入居できる
場合があります。

【特例の条件】

  • 認知症で日常生活に支障を来すような症状・行動が見られ、意思疎通の困難が頻繁にあり
    在宅生活が困難な状態にあること。
  • 知的障害、精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状、行動が見られ、
    意思疎通の困難が頻繁にあり在宅生活が困難な状態にあること。
  • 家族などによる深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全と安心の確保が困難な状態で、
    在宅生活が困難な状態にあること。
  • 単身世帯、同居家族が高齢または病弱等により、家族等からの支援が期待できず、
    地域での介護サービス等の供給が不十分であり在宅生活が困難な状態にあること。

 費用

特別養護老人ホームの利用者の費用負担は、原則として
「保険給付の対象となるサービスにかかった費用の1割」※です。

要介護度によっても費用は異なり、施設の設備や職員の体制、施設で行う処置に
応じて介護サービス加算も発生します。

それに加えて、「居住費、食費、日常生活費などは自己負担」※として必要となります。
施設によっては、これらのほかにも加算が加わる場合があります。

※保険給付の対象となるサービスとは、施設サービス費とサービス加算を足したものを指します。
※所得によっては2〜3割負担となる場合もあります。
※居住費は、個室、多床室、によって金額が変わる場合があります。

 受けられるサービス

特別養護老人ホームで受けられるサービスは多岐にわたります。
一般的に特養で受けられるサービスの例は以下の通りです。

  • 【栄養バランスの整った食事の提供】
    栄養士が考えたメニューをもとに、入居者の栄養バランスや健康状態、利用者の嗜好、
    食べやすい大きさに調理し、よりよい食事が提供してもらえます。
  • 【週2回以上の入浴】
    特別養護老人ホームの利用者には、週2回の入浴機会が設けられていることが一般的です。
    施設によっては、機械浴が設置されているところも多く、椅子のままや寝たまま入浴が
    できるのも特徴の1つです。
  • 【安心、安全な排泄介助】
    要介護度が高くなるにつれて、一人で排泄するのは難しくなります。
    職員が定期的にトイレに案内してくれたり、トイレの利用が難しい場合は
    ベッド上のおむつ交換など、ができるよう体制を整えているため安心して生活ができます。
  • 【委託業者による清掃と洗濯】
    施設の共有スペースは、委託業者による清掃が行われるため、基本的には自分で
    掃除することなく過ごすことができます。
    洗濯も施設にまかせることができるため安心です。
    (外部クリーニングなどを利用する場合を除く)

特別養護老人ホームの3つの種類

特別養護老人ホームにはいくつか種類があります。
「地域密着型特養」「地域サポート型特養」「広域型特養」の3種類です。
種類によって、定員数やサービス、契約などに特徴があります。
ここからは、それぞれの特養の種類別に説明をしていきます!

 広域型特別養護老人ホーム

広域型特別養護老人ホームの特徴は、後述する他の特別養護老人ホームと違って
「入所要件に居住地の制限」がありません。

つまり、施設がある土地と現在住んでいる土地が異なる場合でも申し込みができる
ということになります。
一般的に「特養」と略して呼ばれる特別養護老人ホームは、
この広域型特別養護老人ホームを指します。
医師、看護師、介護支援専門員、機能訓練指導員などの配置は、他の特養のタイプと
同じように必ず配置されています。

 地域密着型特別養護老人ホーム

地域密着型特養は、定員が29人以下の特別養護老人ホームです。
原則として施設がある市区町村に住んでいる要介護3以上の方のみが利用できる施設です。
要介護1〜2の方は特例を除き利用はできないので注意が必要です。

地域密着型特別養護老人ホームは、2006年の介護保険法改正により設置され、
「可能な限り自立した生活を送れるよう」少人数制をとっています。

特徴として「家庭的で明るい雰囲気である」とういことと入居者の居住地を限定しているため
「家族や地域との結びつきを重視」していることがあげられます。
地域密着型特別養護老人ホームには、施設の規模や人員配置基準などが異なる
「サテライト型」と「単独型」の2種類があります。

 地域サポート型特別養護老人ホーム

地域サポート型特別養護老人ホームとは、在宅介護で生活を送る地域の高齢者が、
できる限り長く在宅で自立した生活を送られるように、
生活援助員が「24時間・年中無休で見守りや援助を行う特養」です。

在宅介護者の介護に関する悩みを相談することもできるため、精神的にも心強い味方と
なってくれるのも特徴のひとつです。
地域サポート型特別養護老人ホームによるサポートを受けたい場合は、
あらかじめ施設との契約が必要です。

見守りについては、施設によって対象の地域が決まっていることがあるため、
現在の住まいが対象地域に入っているかどうかを事前に確認する必要があります。

特別養護老人ホームのメリット・デメリットは?

ここまで、特別養護老人ホームの基本的な説明と、種類について説明をしました。
しかし、特養以外のサービスや施設もたくさんある中、やはり知っておきたいのは
メリットとデメリットだと思います。
ここからは、特別養護老人ホームのメリットとデメリットについてまとめ、紹介していきます!

 メリット

特別養護老人ホームのメリットは以下の通りです。

  • 【費用が安い】
    特別養護老人ホームは入居一時金が不要なため、初期費用の負担を抑えられます。
    また、施設サービスの利用金額の半額相当が医療費控除の対象となります。
    費用は所得に応じて1割〜3割の負担で利用できますし、地域によっては
    利用者負担限度額軽減制度を使える場合もあり、費用が安く済みます。
  • 【終身で入所できる】
    特別養護老人ホームは原則として終身で入所できます。
    長期入居を前提につくられているので、入居期間に期限がありません。
    さらに、特別養護老人ホームでは終末期のケアも行う体制が整えられていることが多く、
    看取り介護を行うこともできるため、安心です。
  • 【24時間体制で介護が提供できる】
    特別養護老人ホームは、厚生労働省の配置基準において、介護スタッフが24時間常駐しています。
    安全、安心の介護技術と知識を持ったプロが24時間いるということは
    大きなメリットの1つでしょう。また、介護に適した設備も充実しており、
    家族では対応が難しいケースでも安心して任せられます。

 デメリット

特別養護老人ホームのデメリットは以下の通りです。

  • 【入居まで時間がかかる】
    特別養護老人ホームは安い費用で利用できるという点から、入居希望者が多い傾向にあります。
    待機者が多ければ、入所するまでに長期間待機する必要があります。
    地域や施設によって異なりますが、待機期間が数年かかることもあり、
    特別養護老人ホームにおける課題ともされています。
  • 【医療体制が整っていない場合がある】
    特別養護老人ホームでは、介護スタッフは24時間常駐していますが、
    看護師の24時間配置は義務づけられていません、そのため、夜間の痰吸引など医療的ケアが
    必要な場合は、充分な体制が整っていないと感じる人もおられるかもしれません。
    医療依存度の高い方は特養で受け入れできない場合にも備えて別の施設の利用も、
    検討しておく必要があるでしょう。

特別養護老人ホームと有料老人ホームとの違いは?

特別養護老人ホームと似た形態の施設で有料老人ホームがあります。
どちらも、高齢者のための介護施設ですが、どういった違いがあるのでしょうか?

  • 運営の違い:特別養護老人ホーム「公的施設」 有料老人ホーム「民間施設」
  • 対象者:特別養護老人ホーム「原則要介護3以上」 有料老人ホーム「自立〜要介護5」
  • 費用:特別養護老人ホーム「入居金なし、月額8万〜15万円程度」
    有料老人ホーム「入居金0〜数千万円、月額15〜40万円程度」
  • 居室:特別養護老人ホーム「個室、多床室あり」 有料老人ホーム「個室が主流」
  • サービス:特別養護老人ホーム「生活支援と介護サービスが中心」
    有料老人ホーム「レクリエーションやイベントも充実している」

まとめ

この記事では、特別養護老人ホームの基本的知識と特徴、メリットやデメリットについて
説明しました。
また、似た業種の有料老人ホームとも見比べて特別養護老人ホームについて紹介しました。

要介護度が高くなると、24時間何かしらの介護やサポートが必要になってきます。
特別養護老人ホームは、比較的安い費用で終身介護が利用できるため、
介護が必要な人にとって安全と安心を兼ね備えた施設の1つと言えます。

しっかりと特別養護老人ホームについて理解し、その人にあった施設選びをしていきましょう!

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