平均的な看取り期間は?行われるケアやターミナルケアとの違いも紹介!

2024.06.06

看取りケア(看取り介護)とは、医師の指示に従い、医師から余命宣告を受けている方の
病気などによる苦痛を軽減させながら、
本人らしく穏やかな最期を迎えることを支援するケアのことです。

平均的な看取り期間というものはなく、病気の種類、年齢などにより、
数ヶ月から数年と人それぞれ違います。
看取りケアの意味や内容、ターミナルケアとの違いなどについて詳しく紹介しましょう。

そもそも看取りの意味とは

延命治療は無理に行わず、本人の希望を考慮し、人間の尊厳を保ちながら、
亡くなるまでの過程を見守り、支援することが「看取り」です

看取りは、病人を看病するという意味の言葉でしたが、現在では、
人生の最期の看病を指すようになっています。

 ターミナルケアとの違い

看取り介護とターミナルケア(終末期医療)との違いは、医療行為をするかどうかという点です。

ターミナルケアは「終末期医療」や「終末期看護」と訳されるように、
点滴や酸素吸入などの医療的なケアや、終末期に医師や看護師が中心となって痛みや不快な症状を
最小限に抑える治療と看護をしていきます。

「看取り介護」は、医療行為は行なわず、食事や排せつの介助、褥瘡の予防など、
日常生活のケアが中心になります。

介護における看取り期間とは

看取り介護とは、医師から余命宣告を受けている方などを看護・介護することです。
平均的な看取り期間というものは無いため、年単位や、月単位の期間になる場合があります。
期間別にどのようなケアをするのか解説しましょう。

 看取り安定期

「看取り安定期」は、心身の状態が比較的良好で、本人の気持ちも落ち着いている状況
なりますが、自己判断の可能な方ならば余命宣告を医師から受けている場合もあるかもしれません。

この場合、落ち着いてみえるかもしれませんが、本人には死を受け入れることに対する
葛藤があるでしょう。

本人も介護者も残された余命について落ち着いて考えることのできる期間ですが、
穏やかに過ごすことができるような配慮が必要になります。

 看取り不安定期

「看取りの不安定期」は、身体の不調が少しずつ出てきて、思うように生活を送ることが
できないと本人も感じる時期です。
病気によっては強い痛みを伴う場合もあり、薬を使用することで緩和ケアを行いながら、
できるだけ平穏な生活が送れるように配慮したり、必要な介護を行ったりすることが
大変重要になります。

本人は身体の不調から精神的に不安定になることもありますので、介護する側も現場で
気を使うことが多くなる期間です。

 看取り介護後期

「看取り介護後期」は、病状の進行と共に、自力ではできない事が生じたりベッドで
寝たきりになるなど、介護が必要になった時期です。

今まで自分でできていた事ができなくなり、場合によっては、排泄なども自力では行うことができず、ポータブルトイレを使用したり、おむつで対応することになってきます。
夜間も介護が必要になることがあるので、介護をする人がいつもそばにいないと生活ができない
状況になっていきます。

 看取り期間に平均はあるのか

看取り期間に平均は無く、医師が「これ以上の回復は見込めず、安定期に戻ることはない」
と判断する時期までは、心身の安定や不安定を繰り返します。
本人と介護をする方の精神的な負担が大きいため、無理をせず助言を受けることも大切です。

末期癌の場合、全ての面で介護が必要となるのは最期の約2ヶ月であるため、
在宅医療によって症状が緩和しており、
家族が約3ヶ月の短期間の介護に対応できれば、自宅での看取りは可能でしょう。

看取り介護で行われること

看取りは、最期を迎えるときまで、本人の人生観や価値観を尊重し、
肉体や精神の苦痛を緩和させながら、日常生活のケアをします。
下記のケアを具体的に解説します。

・精神的ケア
・身体的ケア
・家族のケア

 精神的ケア

「精神的ケア」で大切なことは、プライバシーを尊重し、快適な居住空間を整え、
生活の質を向上させて、精神の安定を心がけましょう。

可能な限り側にいて孤独にさせないようコミュニケーションやスキンシップを行うことが重要です。
具体的なケアのポイントは下記のようになります。

  • 生活の質を維持するサポート
  • 適切な回数のコミュニケーション
  • 適度なスキンシップ
  • プライバシーの尊重
  • 安心できる居住環境の整備

 身体的ケア

「身体的ケア」は、生活環境を整備して、身体的にも安穏でいられるようにケアが行われます。
体位変換などを通して身体的な苦痛を取り除くケアや、身体的な変化にも
早く気付けるようにしましょう。
具体的なケアのポイントは下記のようになります。

  • 照明や室温などの環境整備
  • 入浴支援
  • 褥瘡ケア
  • 口腔ケア
  • 排泄ケア
  • 栄養・水分補給の支援
  • 体位変換・身体的苦痛の緩和
  • バイタルサインのチェック
  • 定期的な居室巡回

 家族のケア

看取り介護で「家族のケア」は、本人と同様に配慮や支援も重要となります。
精神的にも身体的にも不安定になる家族も多く、家族の不安に寄り添い、
希望を持てるよう適切なケアをする必要があります。
家族のケアは感情に配慮しながら行いましょう。
具体的なケアのポイントは下記のようになります。

  • 家族の身体的・精神的苦痛への配慮
  • 家族の希望への対応
  • 専門職種・専門機関に相談できる環境の整備
  • グリーフケア(喪失体験の支援)

看取り期間をすごす場所は?

看取り期間を過ごす場所として、自宅、病院、特養などの介護施設があります。
実際に看取りが行われている場所では、どのように看取りが行われているのか、
それぞれの特徴や違いについてみていきましょう。

 自宅

自宅での看取りは、本人が最も心地よく尊厳を保てる場所で、
家族や友人との時間を有意義に過ごせます。
自宅で看取りを行う場合は、家族だけでなくケアマネージャーやヘルパー・医師看護師などとの
連携や協力が必須となります。
自宅での看取りを希望する方は多いですが、実際にはかなり難しいようです。
難しい理由を下記に挙げてみます。

  • 在宅医療の体制が十分に整備されていない
  • 本人が家族に負担をかけたくないと感じる場合も多い
  • 頼れる家族がいない

 病院

病院での看取りは、終末期医療を中心に本人の苦痛を緩和するための措置が行われます。
医師の指示に従いながら医療行為が行われ、本人の家族にも医師から治療に関する説明が行われます。
自宅や介護施設では対応できないレベルの高い医療を受けられる点が大きな特徴です。

病院での看取りでは、家族が過ごしやすい環境の整備や、精神的なサポートも行われます。
本人や家族の意思を医師や看護師に事前に伝えておくことが重要でしょう。

 特養などの介護施設

介護施設での看取りは、医療での回復が難しく在宅介護も困難な場合に選択されることが多く、
特別養護老人ホームなどでは、増加傾向にあり、高齢者施設での看取りは増えていくと考えられます。

看取り介護で重要な、生活の質を保ちながら必要なケアが提供され、専門の介護職員が
24時間サポートしてくれます。

高額な費用がかかる、受入れ人数に限りがある、などの難点はありますが、
家族の介護負担は大幅に軽減されるでしょう。

まとめ

看取りケアにおいて、平均的な看取り期間というものはありません。
病気の種類や年齢などにより、数ヶ月から数年と人それぞれ違います。

看取りケアは、余命宣告を受けている方に、人としての尊厳を維持しながら、
本人らしく穏やかな最期を迎えられるよう支援するケアです。
看取りへの理解を深め、本人や家族の希望に適した環境やサポートを選びましょう。

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