要介護度とは何か?8段階の区分と状態目安・受けられるサービスも解説

2024.06.06

介護が必要になった高齢者において、どのくらい介護が必要なのかを示した指標が
「要介護度」といわれるものです。

「自立」と「要支援」「要介護」という大きな区分があり、その中でも軽度から高度まで、
いくつかの段階があります。
この記事では、そんな要介護度の基本的な知識と、受けられるサービスについて解説していきます!

要介護度とは?

まずは、要介護度とは何かという基本的な知識から解説していきます。
要介護度には「要支援」と「要介護」の2種類から成り立っています。
まずは、要支援と要介護とは何か、そしてどう違うのかについて見ていきましょう!

 要支援と要介護の違い

要支援と要介護の違いは、大きく分けて3つあります。
それは「利用できるサービスの種類」「介護保険サービスの申請方法」「本人の状況」の3つです。

まず、「要支援」の人が利用できるサービスは「介護予防サービス」となります。
要支援の認定を受けたらこの介護予防サービスを介護保険適用で利用できるようになります。
介護予防サービスを利用するには、介護予防サービスの計画(介護予防ケアプラン)が
必要になってきます。
この、介護予防サービスの計画を作成してもらうには「地域包括支援センター」に
作成を依頼する必要があります。

続いて「要介護」の人が利用できるサービスは「介護サービス」を利用できるようになります。
これは食事・入浴・排泄など生活上のケアを行ってくれるサービスとなります。
こちらも「介護サービス計画(ケアプラン)」が必要になってきます。
要介護の場合、介護サービス計画の作成は「ケアマネージャーがいる居宅介護支援事業所」
に依頼する必要があります。

  • 要介護の場合は、介護サービスが利用でき、ケアプランはケアマネージャーのいる
    居宅介護支援事業所に依頼する。
  • 要支援の場合は、介護予防サービスが利用でき、ケアプランは
    地域包括支援センターに依頼する。

という違いがあるというわけです。

8段階の区分と状態の目安を解説

要支援と要介護の違いについて解説をしました。
要介護度は「要支援」と「要介護」の大きく分けて2つから成り立っており、
要支援であれば「要支援1と要支援2」に分けられ、要介護は「要介護1〜5」に細分化されています。

それぞれ数字が大きい方がより介護が必要である状態となっています。
ここからは、要支援1・2、要介護1〜5について、それぞれ具体的な状態と
目安について見ていきましょう。

 要支援1

「要支援1」の状態とは、要介護度の中で最も軽く「自立した状態に近い」状態です。
介護がないと生活できないというわけではないが、立ち上がりの動作や家事をするにあたって、
部分的に見守りやサポートが必要な状態が要支援1の状態です。
認知症も発症していない人もしくは極軽度である方が多いです。

要支援1の認定を受けた場合、現状の心身状態の維持または改善を目指して、
介護予防サービスを利用しましょう。
食事の栄養バランスに気をつけ、規則正しい生活を送ることが大切とされています。

 要支援2

要支援2は、要支援1に比べると日常生活のサポートに必要な手間が少しかかってきた状態です。
介護までは必要ないが、一定の社会的支援を必要とする状態と言えます。

生活習慣の改善や心身状態の悪化を防ぐための運動など、こちらも要支援1と同じく
「介護予防」への取り組みが必要と言えるでしょう。
食事・排泄・入浴といった日常生活を送る上で欠かせない動作に介助が必要な場合は、
要介護1となりますが、要支援2ではそこまでのサポートは必要ありません。

生活のサポートは必要であるが、介護が不要な状態であれば要支援2と
認定されることが多いです。

 要介護1

ここからは、「要介護」という区分になります。
要介護1は、食事など身の回りのことは、大体自分でできるが、部分的に「介護」を
必要とする状態
です。

要支援2と比べると日常生活における、複雑な動作ができなくなってきていることが多く、
心身機能の低下も多く見られます。
認知力の低下も進んでおり、要支援2よりも理解力も低下してきている状態と言えるでしょう。
要支援2の状態に加えて、認知力、理解力の低下が合わさってくると要介護1になってくる
ことが多いと言えます。

 要介護2

要介護2とは、日常生活を送る上で見守りや介助を必要とし、家事に加えて食事や入浴、
排泄などの動作でも支援が欠かせない状態です。

認知力と理解力の低下も顕著になってきはじめ、お金の管理などが自分でできなくなる
ケースも増えてきます。
要介護1より、身の回りのことを自力で行うことが困難で、介護が必要になってくる
時間と量が増えてきます。
これは、身体機能の維持ができなくなってきていることから、立ち上がりや歩行でも
危険を伴いはじめ付き添いや介護が必要になってくる状態であるためです。
サポートがあれば、自力でできることも多くあり、これらを維持するためのサービスを利用し、
要介護度が上がらないよう務めていく必要があります。

 要介護3

要介護3とは、立ち上がりや歩行などの動作を自力で行うことが困難で、
日常生活の「ほぼ全てに介護を必要とする」状態です。

食事・排泄も自分ではできないことが多く、認知症の症状が見られることがほとんどです。
要介護3では、「日常生活のほぼ全てに介護が必要」なため昼夜問わず介護が必要になり、
家族の負担もより多くなってくるでしょう。

要介護2であれば、部分的なサポートで自力でできることも多くありますが、
要介護3からは介護がないと日常生活が困難となってくる。という差があります。

 要介護4

要介護4とは、日常生活を一人で送ることが難しく、自力で座っていることも出来ない状態です。

認知機能の低下も見られ要介護4になると周囲の人との意思疎通も困難になってくるため、
介護者の精神的な負担も増加します。
老人ホームなどの施設サービスへの入居も前向きに検討していく必要がある状態と言えます。

最重度の要介護5との差は、一部自分でできることがまだある。という点と、
簡単な意思疎通はまだ行えることが多いという点がその差としてあげられます。

 要介護5

要介護5とは、要介護度の区分の中で最も重度の区分となります。
1日のほとんどを寝たきりで過ごし、寝返りすることでさえ介護が必要な状態です。

要介護4でも日常生活のほぼ全てに介護が欠かせませんが、要介護5はさらに
心身機能が衰え介護に必要な時間も長くなってきます。

食事についても、飲み込む力や噛む力が衰え、頻繁に誤嚥性肺炎を起こす人も少なくありません。
口からの食事が困難になり、経管栄養や胃ろうを増設し、チューブを胃腸につなぐ
手術をしている方などもおられます。

各介護度にあった介護サービスは?

ここまで、要介護度の基本的な知識と、各区分の状態と目安について説明してきました。
それでは、実際に要介護認定を受けた利用者は、どんな介護サービスが利用できるのでしょうか?

  • 「在宅介護で利用できるサービス」
  • 「施設に入居して利用できるサービス」
  • 「福祉用具関係のサービス」

の3つにわけて見ていきましょう!

 在宅介護で利用できるサービス

在宅介護で利用できるサービスは以下の通りです。

  • 【訪問系】
    ・訪問介護  ・訪問入浴介護  ・訪問看護  ・訪問リハビリテーション
    ・居宅療養管理指導  ・夜間対応型訪問介護  ・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
  • 【通所系】
    ・通所介護(デイサービス) ・通所リハビリ(デイケア) ・訪問看護  
    ・短期入所生活介護(特養のショートステイ) ・短期入所療養介護(老健のショートステイ)
  • 【複合系(訪問と通所を組み合わせたもの)】
    ・小規模多機能型居宅介護  ・看護小規模多機能型居宅介護

 施設に入居して利用できるサービス

施設介護で利用できるサービスは以下の通りです。

  • 【介護保険施設】
    ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・介護医療院
    介護保険施設とは、介護保険サービスで利用可能な公的施設です。
    いずれの施設も要介護3以上でないと入居はできないので注意しましょう。
  • 【地域密着型サービス】
    ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ・地域密着型介護老人福祉施設
    地域に即した介護を提供しているのが特色です。
    介護度によって利用できるサービスに違いはあるが、要支援でも利用できます。
  • 【特定施設】
    ・特定施設入居者生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護
    特定施設とは、24時間体制で介護、看護を受けることができる施設です。
    民間では介護付き高齢者有料老人ホームが該当し、比較的要介護度の高い方が
    入居できる施設です。
    定額で介護を受けられるメリットがある一方で、介護が必要ない方の場合は
    費用負担が大きくなる点に注意が必要です。

 福祉用具

介護保険適用で福祉用具をレンタルすることもできます。
※要介護度によってレンタルできる福祉用具が違うため注意が必要。

  • 【要支援1〜要介護1】
    ・手すり ・スロープ ・歩行器 ・自動排泄処理装置
  • 【要介護2〜要介護5】
    ・手すり ・スロープ ・歩行器 ・自動排泄処理装置 ・車いす 
    ・特殊寝台 ・床ずれ防止用具 ・体位変換器 ・認知症老人徘徊感知機器
    ・移乗用リフト(吊り具を除く)

※16疾病の診断を受けている方は、要介護2以上と同様の福祉用具をレンタルできます。

また、レンタルだけでなく、介護保険適用で福祉用具を購入することもできます。
杖やポータブルトイレなども介護保険適用で購入でき、それ以外にも様々なものが購入できるため、
気になる方は購入を検討するのも良いでしょう。

要介護認定からサービスを利用するまでの流れを紹介

ここまで、要介護認定を受けてサービスを利用するための方法や、
サービスの種類について紹介しました。
それでは、要介護認定をもらい、介護サービスを利用するまでの流れを見てみましょう。

  1. 申請 市役所や地域包括支援センターで申請を行う。
  2. 認定調査 訪問調査→主治医の意見書→コンピューター判定→介護認定審査会の順で審査する。
  3. 結果通知 申請から結果がくるまで約30日、遅れる場合も30日以内に遅れる旨が通知される。

    ※もしも、結果に納得出来ない場合は、再審請求ができます。
    それでも納得出来ない場合は都道府県に設置されている介護保険審査会に不服申立てができます。

まとめ

この記事では、要介護度とは何か?という基本的な知識から、要介護度別の状態と目安について、
利用できる介護サービスについて幅広く解説をしました。

高齢になり、身体が思うように動かず助けが必要になることは、恥ずかしさや申し訳ないと
思う方もおられるかもしれません。しかし、日本にはこの記事で紹介したような、
介護が必要な度合いを判定するシステムや、介護が必要になった人でも自分らしく生活できるための
サービスが充実しています。

介護が必要になることは誰にでも起こり得ることですので、この記事を参考にその人に
あった介護サービスを利用し、自分らしい生活を楽しみましょう!

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