高齢、障害、疾病を理由に人の体は、自分で排尿ができなくなったり、
意図せず排尿してしまったりなど、膀胱に障害が起きることがあります。
そんな時に、排尿の手助けをしてくれるのが、医療用語でバルーンと呼ばれる
バルーンカテーテルです。
医療や福祉の関係者であれば、バルーンカテーテルを利用している人と関わったことがある人も
少なくないでしょう。
この記事ではそんなバルーンカテーテルについて、解説していきます!
目次
バルーンカテーテルを利用する方の多くは、排尿障害と呼ばれる障害がある方で
排尿に必要な機能や膀胱に障害が起こることで意図せず排尿があったり、
自分で排尿ができなくなったりします。
まずはバルーンカテーテルを利用する理由となる、排尿障害について解説していきましょう!
尿排出障害とは、疾病などを理由に「排尿が困難」になる障害です。
排出障害には「膀胱収縮障害」と「尿道通過障害」の2つに大きく分けられます。
蓄尿障害とは、排出障害の出にくくなるとは反対で膀胱に排尿が「溜めにくくなる」障害です。
膀胱の筋肉が過活動を起こしたり、尿道を閉じる圧が弱ることで、排尿が膀胱に溜めにくくなり
頻尿になったり、尿が漏れてしまう尿失禁が起こるようになる障害です。
尿失禁には以下のような種類があります。
・切迫性尿失禁 急激に尿意が押し寄せ我慢できず、失禁してしまう。
・腹圧性尿失禁 尿道の抵抗が低下しており、お腹に力を入れる行動をとった際に失禁してしまう。
・混合型尿失禁 切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の混合型の尿失禁。
・機能性尿失禁 上記のような尿路機能に障害がないにもかかわらず、失禁してしまう状態。
・溢流性尿失禁 (いつりゅうせいにょうしっきん)排尿後であっても、残尿感が多量にあり常に
少量の尿が漏れ出てしまう尿失禁。
バルーンカテーテルとは、膀胱留置カテーテルとも呼ばれます。
カテーテル呼ばれる管を、尿道から膀胱まで通して、入れっぱなしにすることで尿が
カテーテルを通して蓄尿袋に排出される器具です。
バルーンカテーテルを留置したまま、入浴することも可能で、小型でズボンに隠して
目立たないようにすることができるものもあります。
素材や種類によっても異なりますが、バルーンカテーテルは大体2〜4週間に1度、
入れ替えする必要があります。
バルーンカテーテルを留置する方法以外にも、外部から尿を排出する方法として
自己導尿というものもあります。
自己導尿はバルーンカテーテルのようにカテーテルを入れっぱなしにするのではなく、
日に5〜6回ほどカテーテルを尿道から入れ、尿を排出する方法です。
排尿障害が起きると、バルーンカテーテルや自己導尿という方法で、尿を排出する必要があります。
バルーンカテーテルを利用することで、尿を排出する以外のメリットはあるのでしょうか?
また、反対にバルーンカテーテルを利用することでどんなデメリットがあるのでしょうか?
バルーンカテーテルのメリットとデメリットにわけて見ていきましょう!
バルーンカテーテルのメリットは以下の通りです。
バルーンカテーテルによるデメリットは以下の通りです。
バルーンカテーテルを利用することで、起こりやすいトラブルは以下のようなものがあります。
バルーンカテーテルは、もしもカテーテルが抜けてしまった場合、個人で対処することは難しく
医師や看護師でないと挿入ができません。
そのため、看護師が日中もしくは24時間常駐している施設の方が安心して利用できます。
看護師が24時間常駐している施設は以下の通りです。
・介護老人保健施設
・介護医療院
また、看護師が常駐していないが、すぐに連絡できる体制が整っていることの多い施設は
以下の通りです。
・特別養護老人ホーム
・養護老人ホーム
・介護付き有料老人ホーム(特定施設)
この記事では、バルーンカテーテルとは何か?という基本的な知識から、
バルーンカテーテルのメリットやデメリット、起こりやすいトラブルなどについて
解説しました。
膀胱や尿道による障害により、自分で排尿ができなくなったり、失禁するようになったりなど、
高齢や疾病によって誰にでも起こる可能性がある障害です。
バルーンカテーテルを利用している方に対して、適切な対応や説明ができることは、
利用者の安心感やスタッフのスキルアップにも繋がります。
この記事が、排尿障害などに悩む方や福祉、医療スタッフの一助になれば幸いです!