医療用語でバルーンと言われるバルーンカテーテルとは?

2024.07.01

高齢、障害、疾病を理由に人の体は、自分で排尿ができなくなったり、
意図せず排尿してしまったりなど、膀胱に障害が起きることがあります。

そんな時に、排尿の手助けをしてくれるのが、医療用語でバルーンと呼ばれる
バルーンカテーテルです。
医療や福祉の関係者であれば、バルーンカテーテルを利用している人と関わったことがある人も
少なくないでしょう。

この記事ではそんなバルーンカテーテルについて、解説していきます!

排尿トラブルの主な原因2つ

バルーンカテーテルを利用する方の多くは、排尿障害と呼ばれる障害がある方
排尿に必要な機能や膀胱に障害が起こることで意図せず排尿があったり、
自分で排尿ができなくなったりします。

まずはバルーンカテーテルを利用する理由となる、排尿障害について解説していきましょう!

 尿排出障害

尿排出障害とは、疾病などを理由に「排尿が困難」になる障害です。
排出障害には「膀胱収縮障害」と「尿道通過障害」の2つに大きく分けられます。

  • 「膀胱収縮障害」は神経の病気やヘルニアにより、膀胱の神経や筋肉の異常により、
    膀胱が収縮できないため、たまった尿を排出しにくくなる障害です。
  • 「尿道通過障害」は前立腺肥大や前立腺がんにより、膀胱の出入り口が塞がれてしまう、
    または妨げになることで排尿が出にくくなる障害です。

 畜尿障害

蓄尿障害とは、排出障害の出にくくなるとは反対で膀胱に排尿が「溜めにくくなる」障害です。
膀胱の筋肉が過活動を起こしたり、尿道を閉じる圧が弱ることで、排尿が膀胱に溜めにくくなり
頻尿になったり、尿が漏れてしまう尿失禁が起こるようになる障害です。
尿失禁には以下のような種類があります。

・切迫性尿失禁 急激に尿意が押し寄せ我慢できず、失禁してしまう。
・腹圧性尿失禁 尿道の抵抗が低下しており、お腹に力を入れる行動をとった際に失禁してしまう。
・混合型尿失禁 切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の混合型の尿失禁。
・機能性尿失禁 上記のような尿路機能に障害がないにもかかわらず、失禁してしまう状態。
・溢流性尿失禁 (いつりゅうせいにょうしっきん)排尿後であっても、残尿感が多量にあり常に
少量の尿が漏れ出てしまう尿失禁。

バルーンカテーテル(尿道留置カテーテル)とは

バルーンカテーテルとは、膀胱留置カテーテルとも呼ばれます。
カテーテル呼ばれる管を、尿道から膀胱まで通して、入れっぱなしにすることで尿が
カテーテルを通して蓄尿袋に排出される器具です。

バルーンカテーテルを留置したまま、入浴することも可能で、小型でズボンに隠して
目立たないようにすることができるものもあります。
素材や種類によっても異なりますが、バルーンカテーテルは大体2〜4週間に1度、
入れ替えする必要があります。

バルーンカテーテルを留置する方法以外にも、外部から尿を排出する方法として
自己導尿というものもあります。
自己導尿はバルーンカテーテルのようにカテーテルを入れっぱなしにするのではなく、
日に5〜6回ほどカテーテルを尿道から入れ、尿を排出する方法です。

バルーンカテーテルのメリット・デメリットを解説

排尿障害が起きると、バルーンカテーテルや自己導尿という方法で、尿を排出する必要があります。
バルーンカテーテルを利用することで、尿を排出する以外のメリットはあるのでしょうか?
また、反対にバルーンカテーテルを利用することでどんなデメリットがあるのでしょうか?

バルーンカテーテルのメリットとデメリットにわけて見ていきましょう!

 メリット

バルーンカテーテルのメリットは以下の通りです。

  • カテーテルを入れっぱなしにするため、失禁によるおむつの回数や更衣、複数回の導尿など、
    介護をする側にとって負担が減る。
  • 尿失禁による皮膚へのダメージがほとんどないため、失禁による皮膚のトラブルや
    褥瘡(床ずれ)への影響がほぼなくなる。
  • バルーンカテーテルを通し尿を貯める蓄尿袋には排尿量がわかるよう目盛りがついているため、
    1日の排尿量をしっかりと確認する必要がある場合は、確実に計測ができる。

 デメリット

バルーンカテーテルによるデメリットは以下の通りです。

  • 他のケア方法に比べて、トラブルが起こりやすい。
  • カテーテルを入れっぱなしにしているため、生活する時に気にすることが増えたり、
    衣類で隠しにくいなど外観上の制限がかかってきてしまう。
  • 自分でカテーテルの入れ替えができないため、病院受診の手間などが増える。
  • カテーテルが入れっぱなしなので、陰部に違和感や痛みを感じる場合がある。
  • 蓄尿袋が膀胱より下にないと、流れが悪くなったり逆流する原因となることがあるため、
    常に配慮が必要になる。

バルーンカテーテルで起こりやすいトラブルは?

バルーンカテーテルを利用することで、起こりやすいトラブルは以下のようなものがあります。

  • 痛みや痒み。
  • カテーテルを伝って最近が体内に入り感染症のリスクがある。
  • 尿道裂傷など、カテーテルがこすれて傷ができたり潰瘍ができるリスクがある。
  • カテーテルの抜去(ひっかかり抜けたり、認知症があると自分で抜いてしまうことがある)
  • カテーテルの詰まり(尿が濁りうまく流れなくなってしまうなど)
  • カテーテルのサイズが合わないと尿もれを起こす。

バルーンカテーテルの場合の介護施設での受け入れ態勢は?

バルーンカテーテルは、もしもカテーテルが抜けてしまった場合、個人で対処することは難しく
医師や看護師でないと挿入ができません。
そのため、看護師が日中もしくは24時間常駐している施設の方が安心して利用できます。
看護師が24時間常駐している施設は以下の通りです。
・介護老人保健施設
・介護医療院

また、看護師が常駐していないが、すぐに連絡できる体制が整っていることの多い施設は
以下の通りです。
・特別養護老人ホーム
・養護老人ホーム
・介護付き有料老人ホーム(特定施設)

まとめ

この記事では、バルーンカテーテルとは何か?という基本的な知識から、
バルーンカテーテルのメリットやデメリット、起こりやすいトラブルなどについて
解説しました。

膀胱や尿道による障害により、自分で排尿ができなくなったり、失禁するようになったりなど、
高齢や疾病によって誰にでも起こる可能性がある障害です。

バルーンカテーテルを利用している方に対して、適切な対応や説明ができることは、
利用者の安心感やスタッフのスキルアップにも繋がります。
この記事が、排尿障害などに悩む方や福祉、医療スタッフの一助になれば幸いです!

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