特養と老健の違いとは?サービス内容や費用の違いも解説!

2024.07.01

特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)はともに介護施設です。
同じ介護施設であるため、受けられるサービスも同じなのではと思う人もいるでしょう。
しかし、同じ介護施設であるものの特養と老健では施設の目的など違うところが多いです。

では、どこが違うのでしょうか。
今回は特養と老健の目的やサービス内容の違いなどについて紹介していきます。
そのため自分の家族の目的にあった施設を選べるようしていきましょう。

特養と老健の目的の違い

特養と老健は施設の目的に違いがあります。
本来の名称が特養は特別養護老人ホーム、老健は介護老人保健施設であるため同じものでは、

と感じてしまう人も多いでしょう。
しかし、目指している目的が異なるため、両者は同じとは言えません。
ここではそれぞれの目的について詳しく見ていきます。

 特養の目的

特養の大きな目的は、長期間に渡り生活する場所であり終身での利用ができる点です。
受け入れている高齢者にも特徴があり、要介護度3以上かつ65歳以上であることを条件としています。
終身での利用が可能であり、生活支援やリハビリなどを受けることができる施設です。

また、入居にかかる費用も安いことで人気が集中する施設でもあります。
そのため入居の待機者が多いことでも有名です。
待機者は短い時でも1~2カ月は待機することになるため、入居したいのであれば早めに

動かれたほうが良いでしょう。
身の回りの介護を受けながら終の住処となるのが特養の特徴です。

 老健の目的

老健の大きな目的は利用者の在宅復帰を目指していることです。
要介護度1以上の人が入居でき、医療ケアやリハビリを受けながら在宅復帰を目指します。

老人福祉施設ではあるものの、その位置づけは在宅復帰施設であり介護士や看護師など
多職種で構成されているチームケアを受けられます。
医師や看護師も配置されているため、介護度が高い人く医療ケアを必要としている人も、
リハビリを受けながら自宅復帰できるまで生活可能。

入居期間も長期間ではなく、3カ月ごとに入居継続を判断されます。
医療ケアなどを受けながら在宅復帰を目指すのが老健です。

特養と老健の入居条件の違い

特養と老健は目的の違いから、入居条件にも違いがみられます。
特に入居できる要介護度に違いがみられます。
その他にも目的の違いから異なる点が多いです。
ここでは特養と老健の入居条件の違いについて詳しく見ていきましょう。

 特養の入居条件

特養は原則として要介護度3以上の認定を受けている人の受け入れを行っています。
入居年齢を設けており、基本的には65歳以上を対象としていますが、
特定16疾病を患っている場合は40~64歳の入居の受け入れも行っています。

その一方で自宅が介護環境に適していない場合など緊急性が高い人の受け入れが
優先される場合が多いため、入居までに年単位で待機する人も少なくありません。

入居希望する施設の待機期間を知りたいときは、自治体のホームページもしくは
直接施設に問い合わせてみるのが良いでしょう。

また認知症に人に関しては暴力などが原因で受け入れを拒否されてしまう場合があります。
認知症の家族の入居を検討している場合は、症状などをあらかじめ施設に伝え
入居できるかを確認することをおすすめします。
待機期間がある場合が多いですが、要介護度3以上の人であれば、特養に入居可能です

 老健の入居条件

老健の入居条件は要介護度1以上の人です。
しかし例外もあり特定16疾病にかかった人に関しては40~64歳から受け入れを行っています。

老健は在宅復帰を目指す場所であるため、リハビリによる機能回復を行いたい人向けの施設です。
老健は特養と異なり入居後3カ月ごとに、自宅での生活が可能かが検討されます。

また在宅復帰を目指す施設であるため、本人の容態の重さによっては入居前面談で
入居を断られる場合があります。
あくまで老健は在宅復帰を目指す場所であるため、要介護度1から受け入れ可能です。

特養と老健の医師・看護師の配置やサービス内容の違い

特養では基本的に日常生活の介助から機能訓練などを行います。
老健では医学的な管理を受けながらリハビリ重視の訓練が行われます。

このように両者は提供するサービスに違いがみられ、家族の状況に合わせた施設選びが重要です。
ここでは両者のサービス内容の違いについてみていきます。

 特養のサービス内容

特養のサービス内容は、日常生活の支援であることから、日々の生活支援と
介護サービスを中心に利用者に提供しています。

特養では法令により提供するサービスに規定があるため、どこの特養に入居しても
大体同じサービスを受けることができます。
特に特養ではリハビリは日常生活の動作、食事や排せつなどを少しでも自分でできるようになる
のが目的です。

施設により方針は様々ですが、本格的なリハビリを行う施設から楽しむことに重きを置いた
リハビリの提供がされています。
そのためどのようなリハビリを受けられるかは、施設に問い合わせてみることや、
見学をすることで確認するのが良いでしょう。

特養では日常生活の支援をすることがメインであることを知ったうえで、
申し込みをするのがよいです。

 老健のサービス内容

老健では在宅復帰を目標に掲げているため、リハビリ設備と医療ケアが充実しています。
施設内には1名以上の医師が常勤しているため、実践的なリハビリのほかに医師や看護師による
医療ケアを受けることができます。

衣料や看護体制が整っているため、介護内容が施設サービス費に加算されやすいため
特養より費用がかかる場合が多いです。

老健は早く利用者が在宅復帰できることも目標に掲げているため、少なくとも週に2回の
ペースでのリハビリを受けることが可能。
リハビリ内容は自力での歩行訓練など多岐に渡ります。

老健ではリハビリなど在宅復帰をメインとしたサービスが提供されます、

特養と老健の設備や居室の違い

特養と老健も生活に必要な設備は整っています。
設備関しては特養や老健に関係なく、それぞれの施設の方針により異なります。
しかし老健は特養と比較した場合、リハビリ施設を重視しているといえるため、
そこが両者の異なる大きな点です。

ここではそれぞれの施設の設備などについてみていきましょう。

 特養の設備や居室

特養を老健で共通している設備や居室にはあまり差がみられません。
トイレや浴室、食堂はどちらにも共通して完備されています。
その他にも診療とリハビリ設備も完備。

設備がどれだけ充実しているかは特養と老健で差があるというよりかは、施設ごとの
方針による差が大きいです。
居室も特養と老健で共通しており、全部で4種類あります。

  • 従来型個室:一つの部屋を一人で使用できる
  • 多床室:一つの部屋に複数のベッドが配置されているため、数名での共同生活になる
  • ユニット型個室:一部屋につき一人で生活し、数部屋ごとに簡易キッチンやダイニング、
    浴室やトイレが設置されている
  • ユニット型多床室:多床室を分割して個室形式に作られた部屋

    施設により部屋の様式が異なるため、どんな部屋なのか一度見学に訪れた方がよいでしょう。

 老健の設備や居室

老健も特養と同様に、トイレや浴室、食堂が完備されています。

その他にも診療やリハビリも完備されているほか、医療スタッフの数でいえば、
老健の方が多くそれに合わせて設備を整えています。
居室も特養と共通して4種類。

  • 従来型個室:一つの部屋を一人で使用できる
  • 多床室:一つの部屋に複数のベッドが配置されているため、数名での共同生活になる
  • ユニット型個室:一部屋につき一人で生活し、数部屋ごとに簡易キッチンやダイニング、
    浴室やトイレが設置されている
  • ユニット型多床室:多床室を分割して個室形式に作られた部屋

    特養との大きな違いはリハビリ施設の充実具合です。
    しかしこちらも施設により設備の充実差は異なるため、一度見学し確認しておいた方が
    よいでしょう。

特養と老健の費用の違い

特養と老健も毎月の費用を構成している内訳は、基本的に共通しています。
施設サービス費・居住費・食費・日常生活費が該当します。

内訳は共通ではあるものの、毎月かかる費用はそれぞれで異なるため、
どのくらい費用に差があるか見ていきましょう。

 特養の費用

特養は公的施設であることから、入居一時金はかかりません。
そのため月額利用料がかかりますが、介護保険を利用することで所得に応じて
1~3割に抑えることができます。

特養の費用相場は月額10~14.4万円。
しかしこの他にも個人的な日常生活費も必要となります。
また医療費に関しては特養では毎月の施設サービス費のほかに別途支払いが必要です。
医療費は医療保険を使用して支払うため、毎月どれくらいかかるのか把握しておいた方が
よいでしょう。

 老健の費用

老健も公的施設であるため入居一時金はかかりません。
特養と同様に月額利用料を支払うことになりますが、こちらも介護保険を利用することで
所得に応じて1~3割に抑えることが可能。

老健の月額支払額の相場は8.8~15.1万円と、特養と比べると最低額と最高額に差があるほか、
特養よりもやや高めであることがわかります。

老健で日常的に行われる医療ケアはすべて施設サービス費に含まれるため、別途準備する
必要はありません。
ただしあくまでも既定の範囲内であれば、です。
既定の範囲とは採血や尿検査、投薬と注射です。

老健の方が費用は高いですが、その分医療ケアも料金に含まれているため、
規定内であれば医療費を心配する必要はありません。

特養への入居が向いている人

特養の入居条件は要介護度3以上、65歳以上であることであるため入居条件を満たしていないと
入居できませんが、大きなメリットも存在しています。

・とにかく費用を抑えたい人
・介護に慣れたスタッフによるケアを受けたい人
・看取りまでの終身利用を検討している人

特養では入居一時金や初期費用が発生しないため、とにかく費用を抑えたい人に特におすすめです。
また要介護度が高い人でも、高度な医療ケアを必要としないのであれば、終身利用ができます。

長期に渡り利用する人が多いため、立地条件や介護ケアの内容を見学などで
確認してから施設を決めるのが良いでしょう。

老健への入居が向いている人

老健の対象者は要介護度1以上の65歳以上の高齢者です。
以下に当てはまる人が入居に向いています。

・在宅へ復帰を目指している人
・短期に集中して専門スタッフによるリハビリを提供してほしい人
・レクリエーションやイベントを楽しみたいと思っている人
・要介護度は低めだが、施設利用をしてみたい人
・介護と医療ケアの両方を必要とする人

老健最大の魅力は充実したリハビリです。そのためリハビリを除くのであれば老健がおすすめです。
しかし日常生活支援が整っていない場合もあるため、施設に入居する前に確認しておくのが
良いでしょう。

まとめ

特養と老健は主に終身利用を考えているか、リハビリをメインに考えているかで
利用する施設が異なります。

特養は費用は安価ですが医療ケアなどが充実しているとは言えません。
老健は特養よりも費用は掛かりますが充実したリハビリなどを受けることができます。
特養と老健は目指す目的が異なります。

そのため利用者の希望を聞き取り、希望に沿った施設を選択していきましょう。

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