要介護4と5の違いは何?状態や要介護認定等基準時間についても解説!

2024.07.11

介護が必要になった高齢者が、日常生活を送るにあたって「どのくらいの介護が必要なのか」を表す
指標となるのが「要介護度」です。

この記事は、そんな要介護度の中でも、より重度となる要介護4と要介護5について、各々の状態や
違いについて解説
していきます!

「要介護4や5ではコミュニケーションはとれるの?」「介護施設への長期入居はできるの?」など、重度だからこそ気になる点についても、見ていきましょう!

そもそも要介護認定とは

要介護4と5の違いを見ていく前に、「そもそも要介護認定とは何なのか」について解説をします。
要介護認定とは、対象者がどの程度の介護が必要なのかを7段階にわけて表したものです。
ここからは、要介護認定の基本的な知識をおさらいしていきましょう。

 要支援と要介護の2種類ある

要介護の段階には、「要支援」と「要介護」の2種類に大別されます。
要支援には、「要支援1・2」があり、要介護には、「要介護1〜5」の段階があります。
要支援と要介護の度合いをあわせて、7段階の中から認定を受ける形となります。

介護が必要ないと判断された場合は「非該当(自立)」となり、この場合は公的介護サービスは
利用できず、要介護度の数字が大きい方がより重度ということになります。

要介護認定の結果に不満がある場合は、市町村の担当窓口に再審請求を行うことができ、
それでも結果に納得できない場合は都道府県に設置されている「介護保険審査会」に不服申し立てが
できます。
※要介護認定は「要支援1・2」「要介護1〜5」に「自立」を含めた、8段階で
表される場合もあります。

要介護4と5の違いは何?

要介護度は1〜5があり、「数値が大きいほどより介護が必要な状態」といえます。
そのため、要介護4や要介護5は「かなり重度」な状態と言えます。
ここからは、そんな重度の要介護4と要介護5は「具体的にどんな状態なのか」について
解説していきます。

 要介護4の状態

要介護4は「寝たきりや認知症のため、昼夜問わず常時の介護が必要」な状態です。
そのため、身の回りのことや家事を含めて、「自力での生活は困難」といえます。

トイレ、入浴、着替え、立ち上がり、歩行、座った姿勢の保持など、日常生活を送るにあたって
必ず必要とする動作のほとんどに介護が必要な状態のため、
介護者にかかる負担はかなり大きいものになると言えるでしょう。

また、認知症がかなり進行している方も多く、「思考力・理解力の低下、徘徊・妄想・異食
・不潔行為」などの認知症の周辺症状なども目立ってきます。

これらは、事故であったりトラブルに至ることも多くあり、要介護4は介護の負担の大きさから
「在宅での介護が限界」を迎える段階とも言われています。

 要介護5の状態

要介護5は、要支援1・2、要介護1〜5の段階がある要介護認定において「最も重度の状態」です。
要介護4で説明したような「日常生活を送る上で必要となる動作のほぼ全てに、
昼夜を問わず介護が必要」な状態に加えて、寝返り・身だしなみなどの動作でさえも
介護が必要となり、立ち上がりや歩行はできない状態です。

1日のほとんどを寝たきりで過ごし、家族の介護の負担も大きく重くなってきます。

家族などだけで在宅介護を行うのは、困難をきわめるため、様々な介護サービスを組み合わせて
生活を送るケースが多いです。

「特別養護老人ホーム」や「老人保健施設」など長期的に入居できる施設サービスを利用している方
も多い介護度です。

要介護4と5では要介護認定等基準時間に違いがある

ここまで、「要介護認定」「要介護4と要介護5の状態」について解説をしました。
では、要介護4や要介護5などの認定をするために、どういった基準があるのでしょうか?
これには、「要介護認定等基準時間」というものを基準に認定をすすめていきます。

要介護認定等基準時間とは「対象者を介護する手間や労力を時間に換算したもの」で、
それぞれの要介護度に基準の時間が定められています。

【要介護4と要介護5の要介護認定等基準時間】※厚生労働省「介護保険制度における
要介護認定の仕組み」より抜粋

  • 要介護4:要介護認定等基準時間が「90分以上110分未満」またはこれに相当する状態。
  • 要介護5:要介護認定等基準時間が「110分以上」またはこれに相当する状態。

要介護4と5の介護保険サービスの違いは?

要介護4や要介護5の認定を受けると介護給付というサービスを受けることができます。
以下のサービスからその人に合ったサービスを選んで利用しましょう。

◯訪問介護 ◯訪問看護 ◯訪問入浴介護 ◯訪問リハビリテーション ◯夜間対応型訪問介護 
◯定期巡回・随時対応型訪問看護◯通所介護 ◯通所リハビリテーション ◯地域密着型通所介護
◯認知症対応型通所介護 ◯療養通所介護◯小規模多機能型居宅介護 
◯看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)◯短期入所生活介護 ◯短期入所療養介護
◯特別養護老人ホーム ◯介護老人保健施設 ◯介護療養型医療施設 
◯特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等) ◯介護医療院
◯認知症対応型共同生活介護 ◯地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 
◯地域密着型特定施設入居者生活介護◯福祉用具貸与 ◯特定福祉用具販売

これらの介護サービスは介護度別に決められた「区分支給限度基準額」の範囲内であれば、
利用したサービスの費用のうち1割〜3割の負担で利用できます。

要介護4と5の介護保険サービスの違いで重要なのはこの「区分支給限度基準額」に違いがある
というところです。

要介護4と5の区分支給限度基準額違いを紹介

前述にて「要介護4と要介護5の介護保険サービスの違いで大きいのは、区分支給限度基準額に違いが
あること」と説明しましたが、実際にどのくらいの金額差があるのでしょう?

ここからは、要介護4と要介護5の区分支給限度基準額をそれぞれ見ていきましょう。

 要介護4の区分支給限度基準額

要介護4の区分支給限度基準額は以下の通りですが、区分支給限度基準額にはいくつか
注意点があります。
区分支給限度基準額は金額ではなく「単位で表される」※以下では1単位10円で計算しています。
1単位にあたる金額は、地域や自治体によって差があります。

◯要介護4の区分支給限度基準額:30,938単位(一月あたり309,380円)
◯自己負担の割合が1割の場合:30,938円
◯自己負担の割合が2割の場合:61,876円
◯自己負担の割合が3割の場合:92,814円

 要介護5の区分支給限度基準額

要介護5の区分支給限度基準額は以下の通りです。こちらも1単位10円で計算しており、
地域や自治体によって1単位の値段に差がある場合があります。

◯要介護5の区分支給限度基準額:36,217単位(一月あたり362,170円)
◯自己負担の割合が1割の場合:362,170円
◯自己負担の割合が2割の場合:72,434円
◯自己負担の割合が3割の場合:108,651円

要介護4の基準額と見比べるとわかるように、介護度が重度になるほど手厚いサービスを
受けられるよう「介護度が上がるごとに上限額も上がる」ようになっています。
この支給限度基準額を超えて利用した費用は「全額自己負担」となるため注意が必要です。

まとめ

この記事では「要介護4と5の違い」と題し、「要介護4と5の状態の違い」についてや
「要介護認定を受けるときの基準の違い」について、「要介護4と5で利用できるサービス」と
「区分支給限度基準額の違い」などについて解説しました。

要介護4や5の状態では、ほとんど寝たきりで昼夜を問わず介護が必要な状態であることが多いです。
認知症も進み徘徊や異食などの周辺症状が増えることも。
それにつれて、家族や養護者の負担は大きく重くなるものです。

この記事で紹介した、介護サービスや費用の給付を利用して、介護度が重度になっても
「その人らしい生活」を送られるよう支援していきましょう!

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