介護で使ってはいけない言葉とは?注意点や良好な関係を築くコツも

2024.07.12

福祉や医療のスタッフは介護が必要な方とコミュニケーションをとることも多い仕事です。
そのため「誤った言葉づかいをして相手の気分を害してしまった」ということは
避けなければなりません。

そこで、この記事では「介護で使ってはいけない言葉」についてご紹介します!
適切な言葉をつかいコミュニケーションをとり、良い関係を築いていきましょう!

介護で使ってはいけない言葉や口調

福祉や医療の現場で働くスタッフさんたちの中では、被介護者に対する言葉づかいが
「難しい」と感じる方も多いのではないでしょうか?

それでは、具体的に介護の現場でどのような言葉や口調を使ってはいけないのか見ていきましょう!

 命令口調

介護スタッフや看護スタッフは毎日、多忙な業務をこなしています。
時として、高齢者や被介護者は動きがゆっくりだったり、スタッフが意図していない動きを
することも少なくありません。

そうするとスタッフは余分な仕事をしなければならなかったり、他の業務に遅れがでたり
してしまいます。

その時に「早くして!」や「ここにいなさい!」という命令口調になってしまいがちです。
これは、「かえって口論に発展してしまったり」「高齢者や被介護者を傷つけてしまう」ことに
なりかねません。

そのため、どんなときでも「〇〇しませんか」「〇〇できますか」というような丁寧な
口調を心がけましょう。
このとき、言葉は丁寧でも表情や態度が声色が「高圧的」では意味がありません。
言葉以外の部分が発しているメッセージにも気をつけましょう。

 専門用語

介護スタッフや看護スタッフとして長く働くと、専門用語を会話の中で当たり前のように
使うようになります。

しかし、スタッフからすると当たり前の言葉であっても、高齢者や被介護者からは
「専門用語」であり、意味が伝わらない場合も多くあります。
高齢者や被介護者と会話するときは常に、相手の立場になって「理解できるような言葉に
置き換えて話す」ことを心がけましょう。

意外と使ってしまう専門用語

  • 検温しましょう→熱を測りましょう
  • 褥瘡→床ずれ
  • 白線→水虫
  • ベッドに移乗→ベッドに移りましょう
  • 嚥下→飲み込む
    など

 幼児語

幼児語は赤ちゃん言葉とも言われる言葉です。
「おいしいでちゅか」「おねんねしましょう」「おまんま食べましょか」などの
幼児語を使ってしまうことがあります。

さらに、幼児語や赤ちゃん言葉は高齢者や被介護者だけでなく「ご家族も不快に」させてしまいます。
高齢者や赤ちゃんをお世話をすることを同じように感じる方もいるかもしれません。
可愛らしいという思いから、愛着があるつもりでも、本人や第三者からすると
「バカにされている」や「不真面目」という風に受け取ることもあるため、介護の現場では
使ってはいけません。

 タメ口・若者言葉

日頃から接している人に対しては距離が近くなり「敬語ではよそよそしくなる」
「信頼し合っているからタメ口を使っても大丈夫」という先入観があります。

しかし、あくまでもスタッフとお客様という立場に変わりなく、「プライベートで
接しているのではない」という意識を持ち、敬意を持って接する必要があります。

若い人やインターネット・SNSをよく利用している方であれば、理解できる「流行りの言葉」が
あります。
そのような言葉を高齢者や被介護者に使ってしまうと、「何を話しているのかわからない」ため、
非常に不安になります。

また、理解できない様子を笑ったりすることは自尊心を傷つけたりする場合もあるため、
相手とコミュニケーションがとれない若者言葉は使ってはいけません。

 過剰な敬語

敬語で言葉をかけることは丁寧な印象や尊敬を伝えるためには、適していますが
「二重敬語」などの「過剰な敬語」は使わないようにしましょう。

過剰な敬語は相手にとっては「バカにされている」と感じたり、「まわりくどく感じ」
意味が伝わりにくくなる場合があります。

さらに、認知症などがあり理解力が低下している場合、過剰な敬語をつかい言葉が長くなると
「間違った意味でとらえたり」「途中で意味がわからなくなる」などコミュニケーションに支障を
きたす場合もあります。
知らずに過剰な敬語になっている場合もあるため、心配な方は自分の敬語が正しいか
一度調べ直してみましょう!

介護をする上で言葉遣い以外に注意すべき点

ここまで、言葉づかいだけに注目して「使ってはいけない言葉」について解説をしてきました。
しかし、人間には言葉以外にも相手にメッセージを発している場合があります。

むしろ、人間が発しているメッセージは「言葉以外の方が割合が多い」という法則もあり、
これを「メラビアンの法則」といいます。

 豊かな表情を意識する

相手とコミュニケーションをとる際、「表情」もとても大切なメッセージの一つです。
丁寧な言葉であっても「顔が怒っている」と「実は怒っているのかな」というメッセージを
受け取ってしまったり、「なるほど」や「わかります」などの相槌をいくら打っても、
「無表情」であれば「興味がないのかな?」や「話しを聞くのが嫌なのかな」など
間違ったメッセージを受けてしまいます。

逆に「笑顔で話を聞いてくれたり」「真剣な表情やリアクションが豊か」だと
「興味を持ってくれている」や「理解してくれている」など、安心感や自分の本心を話そう
という気持ちになってくれます。

そのため、言葉づかいと一緒に表情も意識してコミュニケーションをとりましょう。

 柔らかい声のトーンを心がける

先ほど紹介した「笑顔」や「表情」と一緒に「柔らかい声のトーン」を心がけることも、
信頼関係を構築するのに効果的です。

柔らかい声のトーンは相手に「安心感」を与える効果があり、逆に尖った声のトーンなどは
「怒りや冷たい」という負のメッセージを与えてしまいます。

一般的に相手に心地よく聞こえる声のトーンは「ドレミファソラシド」の中でも
「ソ」の音と言われています。

相手に信頼感や安心感を与えるためには「やや低めの落ち着いた声」で話すといいようです。
※難聴などがある場合は相手の聞こえやすい声のトーンや大きさを把握してコミュニケーションを
取りましょう。

 意識してゆっくり話す

高齢者は「高い音が聴こえにくくなる加齢性難聴(老人性難聴)」になっていることが多いため、
低い声の方がきこえやすいです。
特に60代以上になるとこの傾向が顕著になると言われています。

また、早口で話すと聞き取れないことが多いため、「ゆっくり、はっきり」話すようにしましょう。
ゆっくり話すことで、口の動きもよくわかるようになり、話している内容も理解しやすくなる
という効果もあります。

介護をする上で被介護者や家族と良い関係を築くコツ

ここまで「介護で使ってはいけない言葉」と「言葉づかい以外に気をつけるべき点」について
解説をしました。
ここからは、介護をする上で被介護者や家族と良い関係を築くためのコツについて、
4つのポイントを解説していきます!

 被介護者の立場に立って考える

介護をする側も、介護を受ける側の気持ちを100%理解することは難しいです。
しかし、高齢者や被介護者が最も気持ちよく過ごせすためにはどうするか
「自分が同じ立場になったら、どう感じるのか」を考えて行動をすることで、
お互いの信頼関係は少しずつ築いていけます。

その人の性格や不安に思っていること、疾患やどう過ごしたいかというニーズを的確に把握し、
「気持ちが明るくなる言葉」をかけたり「不安を取り除く言葉」を
かけることで、被介護者も安心します。
相手に対する、尊敬と思いやりを持った言葉や態度で関わることが大切です。

 被介護者や家族のプライドを傷つけない

親切心からかけた言葉や、行動がプライドを傷つけてしまうこともあります。
日頃から感謝の言葉を伝えたり、褒め言葉をかけるなど「相手の心に寄り添った言葉や態度を意識」
することで良い関係を築き保つことができます。

被介護者について、その家族に説明する時にもこの意識を持って接することは大切です。
介護は本人だけに行うケアだけでなく、家族への説明や不安の軽減も立派な介護のひとつです。
家族に対して説明をする際も「被介護者の尊厳を重んじた話し方をする必要」があります。

 被介護者や家族を思いやる言葉を使う

被介護者や家族を思いやる言葉を使うことも良い関係を構築し保つために大切なポイントとなります。
淡々と状況や目標、ケアの内容を説明すると「業務的な印象」や「冷たい印象」を与えてしまいます。

状況や目標をわかりやすく説明しながらも、被介護者や家族の「辛さ」や「不安」に対して
「お辛かったですね」や「気軽に相談くださいね」など、気持ちに寄り添った、思いやりの
ある言葉をかけながら、コミュニケーションをとりましょう。

中には自分から不安や困りごとを話すことを「申し訳ない」と感じる方も多いです。
スタッフが自発的に「どうされました?」や「お手伝いしましょうか」など、
気持ちを察して、介護者側から言葉をかけましょう。

また、本人や家族から話があった時は、自分の意見を伝えるだけになったり、
話しをさえぎったりせず、「聞き上手」になることを意識しましょう。

 クッション言葉を使う

介護を行う中で、時には「できないことを断らなければならない」状況もでてきます。
その際に「できない」ということだけを伝えると、不信感や不安感に繋がり、その後の
関係構築が難しくなる可能性があります。

できないことをお断りする場合は「クッション言葉」を付け加えると、相手も
受け入れやすくなります。

何かを断る際のクッション言葉としては、
「申し訳ございませんが」「お役に立ちたいのですが」「心苦しいのですが」などの言葉があります。
また、断った後に「ご意向に沿えず申し訳ございません」などを付け加えることで、
「本当はその希望を受けたいのだ」という気持ちを伝えながら断ることができます。

まとめ

この記事では命令口調や幼児語(赤ちゃん言葉)などの「介護で使っては行けない言葉や口調」
について解説をしました。

また、言葉以外にも注意すべき点として「表情」や「声のトーン」「会話のテンポ」についても
解説し、被介護者や家族との良い関係を構築するためのポイントについても解説しました。

コミュニケーションを通じて信頼関係を構築することは、「安心感」に繋がり、
本当は話しづらい「不安や困りごと」「真のニーズを引き出す」ことに役立ちます。
使ってはいけない言葉を使うことはやめ、被介護者や家族の気持ちによりそった
コミュニケーションを通じてより良い関係性を築き上げていきましょう!

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