ケアプランの「軽微な変更」の対応方法や注意点を詳しく解説!

2024.07.12

ケアマネージャーの主な仕事である「ケアプランの作成」
利用者のサービスに変更がある場合、再度アセスメントからケアプランの交付まで一連の
流れを経る必要があります。

しかし、「軽微な変更」であればこれらの流れを省略することができます。
この記事では、そんな「軽微な変更」とはどんなものが該当し、どう対応すればいいのかについて、
詳しく解説していきます!

ケアプランの「軽微な変更」とは?

ケアマネージャーとして経験があまりない方の場合、「軽微な変更」に該当するのかどうか、
判断に迷ってしまう方も少なくはないでしょう。
そのため、ここからは「軽微な変更」に該当する項目について、解説していきます!

 厚生労働省が定める軽微な変更に該当する項目

厚生労働省が定める「軽微な変更」に該当する項目は以下の通りです。

  1. サービス提供の曜日変更:利用者の体調不良や家の都合などで一時的なもので、
    曜日・日付・時間帯の変更など。
  2. サービス提供の回数変更:同一事業所における、週1回程度のサービス利用回数の増減の
    ような場合。
  3. 利用者の住所変更:利用者が住所を変更した場合。
  4. 事業所の名称変更:事業所の名称を変更した場合。
  5. 目標期間の延長:ケアプラン上の課題や期間を変更することなく、ただ単に
    期間を延長する場合。
  6. 福祉用具の変更:利用しているものと同等の福祉用具に変更し、単因数だけが異なる場合。
  7. 事業所の変更:目標・サービスの変更を伴わない、利用者の状況以外の原因による
    事業所変更の場合。
  8. 目標を達成するためのサービス内容の変更:課題・目標・サービス種別などが変わらない範囲で、目標達成するためのサービス内容を変更するだけの場合。
  9. 担当介護支援専門員の変更:新しい担当者が利用者や各サービス担当者との面識がある場合の、
    契約している担当介護支援専門員の変更。

具体的な事例を紹介

ここまで、ケアプランの軽微な変更に該当する項目について解説をしました。
ここからは、ケアプランの軽微な変更として扱われた具体的な事例について解説をします。
また、「軽微な変更として該当しない」事例についてもご紹介します!

 「軽微な変更」に該当する事例

【目標期間の延長の事例】
・短期目標の終了月のモニタリング時点で、サービス提供の「効果はある程度評価できる」が、
 短期目標の達成に至るには「あと◯ヶ月間、同じ内容のサービスを提供することが妥当」
と判断し、利用者もそれを希望している。
 そのために「ケアプランの軽微な変更」として、本人と家族に説明し同意を得た上で、
居宅サービス計画書の変更部分を修正した。
 ※あわせて、軽微な変更をしたことを、利用者・家族・サービス事業所に周知することも大切。

【サービス提供時間帯の変更の事例】
・毎週◯曜日、午前◯時〜◯時に位置づけていた訪問介護を「利用者の希望」により、
毎週▢曜日、午前▢時〜▢時に変更することとなった。
 利用者の「身体状況や現在の課題、目標の内容について変更がない」ため
「ケアプランの軽微な変更」と判断し、本人・家族へ説明し同意を得て、居宅サービス計画書の
変更部分を修正した。
 ※あわせて、軽微な変更をしたことを、利用者・家族・サービス事業所に周知することも大切。

 「軽微な変更」に該当しない事例

ケアプランの変更で「目標期間の延長」は、軽微な変更として認められている項目です。
しかし、注意点もありこれに該当する目標期間の延長は、「ケアプランの課題や目標に変更がなく、
サービスの実施期間を延長する場合」を指しています。

そのため、何度も何度も、同じ短期目標で更新をしている場合は「目標設定に問題あり」と
判断される可能性があります。
目標設定に問題ありと判断されると「目標を変更しなければならない」ということになり、
「目標を変更するとサービス担当者会議の開催は必須」となるので、「軽微な変更には該当しない」
ということになります。

これらのように、先述で説明した「軽微な変更として認められる項目」にも、いくつかの
条件・線引が存在しているため、それについても、理解し「軽微な変更に該当するかどうか」
「軽微な変更に該当する根拠を記録しているかどうか」などもポイントになります。

ケアプランの「軽微な変更」に対応する方法

ここまで、ケアプランの「軽微な変更」について厚生労働省が定める項目や事例について
紹介しました。
では、実際にケアプランに軽微な変更が必要になった場合、具体的にどう対応すれば
よいのでしょうか?
ここからは、ケアプランの「軽微な変更」に対応する方法をご紹介します!

 「見え消し」の手法で修正する

ケアプランの変更が「軽微な変更に該当する」と判断した場合、修正するヶ所を「見え消し」で
変更します。
この際、変更日時やその理由・根拠を明確にわかりやすく記載しましょう。
(見え消しとは、修正前の文などが修正後でも見えるように、打ち消し線などで修正することです)

支援経過の記録にも「軽微な変更」がどのように行われたのか、また変更した理由や経緯を
詳しく記載しておくのも大切です。
さらに、利用者・家族にサービス担当者会議を開催しないことを説明し、同意を得ておきましょう。
そして、その年月日や確認した方法についても、詳しく記載しておくことが必要です!

ケアプランの「軽微な変更」に対応する際の注意点は?

ケアプランの「軽微な変更」で、誤った判断や勘違いをしてしまうと、色々な罰則に
科せられる可能性があります!
罰則の中にはとても重いものもあるため、できれば避けたいところです。

ここからは、ケアプランの「軽微な変更」に対応する際の注意点について解説していきます!

 特定事業所加算の全額返還のリスク

特定事業所加算とは「質の高いサービスを提供している事業所を評価する加算」です。
この、特定事業所加算にはⅠ〜Ⅳまでの4種類があります。しかし、「運営基準減算」になると
4種類全ての加算ができなくなり、「全額返還」しなければなりません。

「特定事業所加算の単位数」は以下の通りです。
Ⅰ:月500単位
Ⅱ:月400単位
Ⅲ:月300単位
Ⅳ:月125単位
これら「全ての返還」を求められるため、中には事業所の運営ができなくなる場合もあります。

 運営基準減算による介護報酬返還のリスク

ケアプランの変更をする際、これは「軽微な変更」に該当すると「勘違いし、サービス担当
者会議を開催しなかった」場合、介護報酬返還のリスクが生じます。

この運営基準減算の期間は「該当する状態の始まりから、解消された月の前月」までとなります。
減算される単位は「所定単位数の50%に減算」されます。また、違反している状態が2ヶ月以上
継続してしまうと、2ヶ月目以降は、「所定単位数を算定しない」となっており、
「介護報酬の全額を返還する」こととなってしまいます!

ケアマネージャーだけでなく「法人自体が解釈を間違っている場合」は長期間に及ぶ
「多額の報酬返還」が発生する可能性もあります!

まとめ

この記事では、「ケアプランの軽微な変更とは?」という基礎から、
「厚生労働省が定める軽微な変更の項目」や「軽微な変更と認められる事例・認められない事例」
など、ケアプランの軽微な変更について詳しく解説をしました。

ケアマネージャーとして多忙な日々を過ごすなか効率を求めるには「軽微な変更」について
理解し、手順を省略することも大切です。
しかし、「軽微な変更の解釈を間違えてしまう」と「介護報酬の返還」や
「特定事業所加算の全額返還」などの罰則に科せられる可能性も発生してしまいます!

より良いケアマネージャーとして活躍するためにも、公益に資する福祉事業所が罰則を
科せられないようにするためにも、この記事が一つの助けになれば幸いです!

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