看取り介護とは|種類やターミナルケアとの違いやグリーフケアも紹介

2024.07.12

看取り介護(看取りケア)とは、医師の指示により、医師から余命宣告を受けている方の、
病気による苦痛などを軽減させながら、尊厳のある、本人らしい平穏な最期を受け容れることを
支援するケアです。

医療行為や治療による延命は行わず、日常生活のケアをします。
看取り介護の種類やターミナルケアとの違い、グリーフケアについて詳しく紹介しましょう。

看取りとは何か

「病人を看病する」という表現の「看取り」という言葉でしたが、現在では
「人生の最期の看病」を示すようになっています。
人間の尊厳を保ちながら、本人の希望を考慮し、亡くなるまでの過程を見守り、支援することです。

 読み方・概要

「看取り」は、「みとり」と読みます。
「看取り」は「病人を看病する」という表現の言葉でしたが、現在では「人生の最期の看病」を
示すようになっています。

「看取り」の概要としては、無理な延命治療などは行わず、高齢者が自然に亡くなるまでの
過程を見守ることです。
介護する際の世話・看病など、患者を介護する行為そのものを表現する言葉でしたが、
介護や看病などの生活支援の有無に限らず最期を見守ることを「看取り」と考えます。

 タームナルケア・緩和ケアとの違い

「緩和」ケアは病気の治療に対する苦痛を緩和することで、患者の負担を減らし
精神面・身体面のサポートをすることで治療の質を高める目的があり、終末期に限らず行われます。

一方、「ターミナルケア(終末期医療)」は、病気などの延命治療は行わず、
患者の残りの余生を、その人らしく穏やかに過ごせるようにサポートすることを目的として、
病気の症状による苦痛や不快感をやわらげ、残された生活を充実させることを優先させます。

看取り介護の種類とは

看取り介護で行われるケアには、3種類あります。

  • 精神的なケア
  • 日常面のケア
  • 家族へのサポート
    これらの3つに分けられます。
    それぞれのケアの内容について、詳しくみていきましょう。

 精神的なケア

精神的ケアは、患者の死に対する不安な気持ちや焦りなどに対応することです。
家族や友人と過ごす中で、どうしても死に対して孤独感を抱きがちです。

本人が不安や孤独感、死への恐怖を感じないよう、気持ちに寄り添い、コミュニケーションを
図っていきます。
精神的な苦痛を緩和するように接することで、穏やかな日常を過ごすことを目的とします。
また、患者が最期までを過ごしやすくする環境を作るのも精神的ケアです。

 日常面のケア

日常面のケアには、生きていくために必要な食事や排せつ、入浴などがあります。
介護施設で日常行われているケアと同様に、いつも体が清潔で、身体的苦痛がなく、
体調を維持しながら穏やかに暮らせるような、生活の質が保てる環境を整えていきます。

患者や家族とのコミュニケーションと共感能力は、看取り介護において大切です。
患者が抱える身体的、精神的な苦痛や心配事を聞き、理解することが大変必要です。

 家族へのサポート

家族へのサポートは、感情に配慮しながら、希望を持てるよう行いましょう。
家族へのケアには、次のような対応があげられます。

  1. 家族に、患者への看護の参加を、ニーズに応じて促します
  2. 家族の不安に寄り添い、声掛けとねぎらいの言葉を心がけます
  3. 病状・病状予測をできるだけ詳しく説明します( 臨終間近い患者の状態説明、
    別れが近いことの説明など)
  4. 苦痛への緩和を保証することを家族に伝えます
  5. 最善を尽くすことを家族に伝えます

看取り介護が主に行われる3つの場所

看取り介護が行われる主な場所として下記の3種類があります。

  • 医療機関
  • 介護施設
  • 自宅
    実際にこのような場所では、どのような看取りが行われているのか、
    それぞれの特徴や違いについてみてみましょう。

 医療機関

医療機関では、

  • メリット:
    ・専門的な医療ケアができる
    ・容態が急変したときに安心
  • デメリット:
    ・医療行為がないと入院ができないため対応可能な病院が少ない
    ・緊急度の高い患者を優先することが多い

    看取りが行われる病院は、主に急性期治療が終わり、病状が落ち着いた方が入院できる
    療養型の病院ですが、受け入れてくれる病院は、少ないのが現実です。
    それは、医療行為がないと、入院そのものに手が届かないことが多いためです。

 介護施設

介護施設では、

  • メリット:
    ・看護師常駐の施設では医療行為が可能で、緩和ケアが期待できる
    ・家族の介護の負担が減る
    ・専門の介護職員が24時間サポートしてくれる
  • デメリット:
    ・看取りケアができる施設が限られる
    ・病院に比べて専門的医療行為は限られる
    ・高額な費用がかかる
    ・受入れ人数に限りがある

    介護施設での看取りは、医療での回復が難しく在宅介護も困難な場合に利用されることが多く、
    高齢者施設での看取りは増えていくと考えられます。

 自宅

自宅では、

  • メリット:
    ・住み慣れた場所で本人が最期を迎えられる
    ・自宅なので人に気を使うことがない
  • デメリット:
    ・家族は日常的介護の対応を迫られる
    ・専門的な医療ケアが難しい
    ・在宅医療の体制が十分に整備されていない
    ・本人が家族に負担をかけたくないと感じる場合も多い

    自宅での看取りの難しい点は、家族が積極的に在宅医療や看取りに関して、
    専門家たちと情報交換を行い、看取りチームを編成することが不可欠になることです。

厚生労働省による看取りのガイドラインとは

概要は、心身の状態の変化に応じて、本人の意思は変化しうるので、医療・ケアの方針や
本人や家族が求める生き方や死生観を共有し、日頃からチーム内で話し合うこと。

本人が意思を伝えられなくなる前に、家族をはじめ本人の意思を確認できる信頼できる人は
誰なのかをあらかじめ定めておくこと。
繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておくこと。
また、その文書を本人、家族等と医療・ケアチームで共有すること。

看取り後のグリーフケアを紹介

グリーフ(grief)とは、深い悲しみを意味する言葉で、グリーフケア(grief care)とは、
身近な人との死別を経験し、悲しみを抱えた人を、立ち直れるように支援することです。

看取りの際には、死別という現実に対して、家族の不安や苦痛を取り除くケアが必要になります。
大切な家族の喪失は、大きな痛みを伴います。
その死をありのままに受け入れて、残された家族が希望を持てるよう支援し、
遺族に寄り添う姿勢が大切です。

まとめ

看取りケアは、余命宣告を受けている方に、人としての尊厳を維持しながら、
本人らしい平穏な最期を受け容れられるよう支援するケアです。

看取りに適した介護は人によって違うため、終末期に入った方がどのような最期を受け容れたいか、
本人や家族の希望に寄り添い看取りへの理解を深めて、適した環境やサポートを選びましょう。

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