親子や夫婦間で世帯分離ができないのは、どのような理由?

2024.08.06

世帯分離とは、親と同居している子供や配偶者が、生活費や住居費などを各自で負担し、
別々に生活することを言います。

世帯分離をすると所得税や住民税、健康保険料や介護保険料などが軽減される場合があります。
親子や夫婦間で世帯分離はできるのでしょうか?
できない場合には、どのような理由があるのでしょうか?
解説していきましょう。

そもそも世帯分離とは?

世帯分離とは、親と同居している子供や配偶者が、生活費や住居費などを各自で負担し、
別々に生活することを言います。

現時点で同じ住所に複数の世帯主が登録されている場合に世帯を分けることが可能で、
世帯分離の申請ができます。

   世帯分離の条件

  • 世帯分離をするためには、各々の世帯主が自分で収入を得て、生活費や家賃などを支払っている
    ことが必要です。
    ただし、親子間や夫婦間など、通常「生計を共にするべき」と考えられる
    家族関係では、世帯分離が認められにくい場合があります。
  • 同一住所であっても、生計が別であれば、別の世帯として分離することが可能です。
    ただし、同一住所で複数の世帯がある場合は、郵便番号などできちんと区別ができるようにする
    必要があります。

   世帯分離に必要な書類

世帯分離の申請手続きを進めることになったら、必要な書類などを準備します。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、パスポート、運転免許証など)
  • 世帯変更届(市町村役場の住民課・戸籍課窓口にて届出用紙を受け取るか、
    市区町村のホームページからダウンロード可能)
  • 国民健康保険証
  • 印鑑
  • 委任状(代理人による申請の場合)
    ※必要な書類は市区町村によって違う場合がありますので、事前に確かめておくことを
    おすすめします。

世帯分離申請時の一般的な理由を紹介

世帯分離の理由を聞かれた場合、次のようなポイントに注意して答えると良いでしょう。

  • 世帯分離をすることで、自分や親の生活環境や経済状況がどのように変わるのか具体的に説明する
  • 世帯分離をすることで、自分や親の将来にどのような影響があるのか具体的に説明する
  • 世帯分離をすることで、自分や親の心理的な負担やストレスがどのように変わるのか具体的に
    説明する
    いずれも「生計を別々にしている」という内容を伝えることが大切です。

世帯分離ができない・断られる主な理由は?

  1. 夫婦は民法上、相互扶助義務があることから、世帯分離は原則としてできません。
    夫婦間の世帯分離は「夫婦間で生計を共にせず、お互いに独立して生活できる場合」に
    認められます。
  2. 介護負担の軽減や費用の減額を目的としない理由であれば、高齢の夫婦の場合、
    どちらかが介護施設に入所することで世帯分離の条件を満たせます。
  3. 生活保護目的の世帯分離は、親の年金収入が十分ある場合には認められないこともあります。

世帯分離を申請する際のポイント

世帯分離の申請時に注意すべきポイントが3つあります。
下記について詳しく解説しましょう。

  1. 介護負担の軽減や費用の減額を目的にしない
  2. 生計を別にしていることを証明する
  3. 世帯分離しなければならない理由を明確にする

   介護負担の軽減や費用の減額を目的にしない

①:世帯分離の理由を聞かれた際に「生活の介護負担を軽減したい」など、
「介護負担の軽減や費用の減額を目的としている」などの内容は伝えないようにします。

これは本来の世帯分離の目的とは違う「介護費用の軽減」という利益を得ることが目的になるため
「公平性に欠ける」とみなされる可能性があります。

「介護負担の軽減が目的です」などのように返答すると申請の許可が出ない場合がありますので
注意が必要になります。

   生計を別にしていることを証明する

②:無職や独身で同じ家や同じ住所に住んでいる場合でも「生計を別にしている」という証明
ができれば世帯分離を受けられます。
証明できる公的な書類や証拠には下記のようなものがあります。

  • 生活費や住居費などを自分で負担していることを示す銀行口座明細書や領収書など
  • 親からの仕送りや援助がないことを示す親の所得証明書や資産証明書など
  • 親と同じ住所や連絡先を使用していないことを示す住民票や携帯電話の契約書など

   世帯分離しなければならない理由を明確にする

③:世帯分離をしたい理由は人それぞれ違っているでしょう。
ですが、その理由を自分の中ではっきりさせていないと、申請時に迷ったり、説得力が
なくなったりする可能性があります。

世帯分離の理由を真剣に聞かれた場合、その理由を、事前に把握し準備しておきます。
生計を別にしている証明も速やかにできるように、書類などを整えておくと、真剣に聞かれた際にも
慌てなくて済みます。

しっかりと頭にいれて準備しておくと安心でしょう。

まとめ

親子や夫婦間で世帯分離ができない理由は、条件を満たしているかどうかです。
世帯分離は、無職や独身でも親子間において可能な手続きです。
夫婦の場合は民法上、相互扶助義務があるため、世帯分離は原則としてできません。

ですが「生計を別にしている」という証明ができれば夫婦間でも世帯分離を受けられます。
また、高齢の夫婦の場合には、どちらかが介護施設に入所することで世帯分離の条件を満たせます。
申請の場合にはしっかりと検討しましょう。

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