2021年に制度改正された介護保険負担限度額認定制度を詳しく解説

2024.08.06

ショートステイや介護保険施設などを利用する際、食費や住居費は、全て自己負担になります。
一定の要件を満たすと、所得に応じて食費や住居費の負担を軽減できる制度があり、
これを介護保険負担限度額認定制度と言います。

2021年にこの制度が改正されたので、利用対象者の要件の変更点や申請方法などについて
解説していきましょう。

介護保険負担限度額認定制度とは何か?

介護保険負担限度額認定制度とは、介護保険施設を利用する際、食費と住居費は
自己負担になりますが、この負担を軽減できる制度です。

介護保険施設を利用する費用の「食費と住居費」は一般的に全額自己負担となります。
ですが、生活保護を受給している方や、一定の条件を満たした方に限り、
費用が軽減される制度になっています。

介護の費用を軽減してくれるこの制度は、経済的負担が大きい世帯にとっては、大きなメリットです。

介護保険負担限度額認定証をもらう要件

介護保険負担限度額認定証をもらう要件として下記の3つがあります。

  1. 本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること
  2. 本人の配偶者が住民税非課税世帯であること
  3. 預貯金などの合計額が基準額以下であること

 対象者

介護保険において負担限度額認定の対象者となるのは、下記の条件を「全て満たす方」になります。

  1. 本人及び、その配偶者が「住民税非課税」であること(別世帯、内縁関係を含む)
  2. 本人と住民票上「同一世帯である方が住民税非課税」であること
  3. 「利用者段階」ごとに定められた「収入、資産要件を満たす」こと

    「所得の要件」と「預貯金等の要件」について解説しましょう。
    ※認定後に資産が基準額を超えた場合は対象外となります

 所得の要件

所得の要件は、本人を含む世帯全員が住民税非課税であることです。

  • 第1段階:老齢福祉年金受給権者・生活保護受給者
  • 第2段階:本人の合計所得金額と課税年金および非課税年金の収入額の合計が80万円以下
  • 第3段階⑴:本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が
    80万円以上120万円以下
  • 第3段階⑵:世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の合計所得金額と課税年金収入額と
    非課税年金収入額の合計が120万円以上

 預貯金等の要件

預貯金の要件は下記の「預貯金にあてはまる資産」を満たす必要があります。
預貯金には、預貯金(普通・定期)や現金、投資信託、金・銀などの貴金属、
有価証券(株式・国債・地方債社債など)が含まれ、
生命保険や自動車などは、預貯金の対象には含まれません。

  • 第1段階: 単身・・・1,000万円以下・夫婦・・・2,000万円以下
  • 第2段階: 単身・・・650万円以下・夫婦・・・1,650万円以下
  • 第3段階⑴:単身・・・550万円以下・夫婦・・・1,550万円以下
  • 第3段階⑵:単身・・・500万円以下・夫婦・・・1500万円以下

2021年(令和3年)に改正された負担段階・負担限度額の関係

介護保険負担限度額認定制度は2021年(令和3年)に改正され、

  • 負担段階は「第3段階」が「第3段階⑴」と「第3段階⑵」に細分化されました。
  • 資産要件は「本人の負担能力に応じた金額」に変更されました。

 特例軽減措置

市町村民税課税世帯は、原則として、食費と住居費の負担限度額制度の軽減はありません。
ですが、介護保険施設に世帯の一人が入所し、制度を利用する場合、
在宅に残っている配偶者や家族の生活が困難になる可能性があります。

その際「配偶者や家族の生活が困難になることを防ぐため」に、
条件の全てに当てはまる場合には、食費か住居費、または、その両方について、
負担限度額制度が適用されるケースを「特例軽減措置」と言います。

介護保険負担限度額認定証が対象になる施設を紹介

介護保険施設に短期入所(ショートステイ)や入所した際に対象となる施設です。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設(老人保健施設)
  • 介護療養型医療施設(介護保険適用の病院)
  • 介護医療院
  • 短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護(福祉施設のショートステイ)
  • 短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護(医療施設のショートステイ)
  • 地域密着型介護老人福祉施設
    ※一部、適用されない施設もあります

介護保険負担限度額認定証の申請方法・注意点は?

介護保険負担限度額認定証の申請は、市区町村の窓口・自治体のホームページなどで
配布されている申請書類に、必要事項を記載し、住んでいる自治体へ申請書を提出します。
また、申請時の注意点も確認していきましょう。

 必要書類の準備

介護限度額認定証の申請に必要な書類は下記のようになります。

  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書(課税状況や預貯金などの財産について、本人や金融機関などが自治体に
    報告を求められることに同意する書類)
  • 預貯金などの確認ができる書類(対象者と配偶者の預貯金・有価証券などの
    資産額が確認できるものの写し)
  • 本人確認書類(窓口に来られた人のマイナンバーカード、運転免許証、保険証など)
    ※提出書類を充分に確かめましょう

 各市区町村の担当窓口に提出

申請の手順は下記のようになります。

  1. 介護保険負担限度額認定申請は、介護保険負担限度額認定申請書、同意書、
    その他の書類を準備します。
  2. 提出先は、各市区町村の介護保険課の担当窓口です。
    提出方法は、持ち込み、または郵送でも可能です。
  3. 利用者負担段階の第1段階〜第3段階にあてはまる場合は、介護保険負担額認定証が交付されます。
  4. 申請後、不備が無ければ、一週間程度で結果が通知されます。
    ※申請前によく確認しましょう

 申請時の注意点

申請する際には次の点に注意しましょう。

  • 世帯分離していても所得は合計される
  • 生活保護受給者は必要書類が異なる
  • 不正申告の場合は加算金の支払いがある
  • 負担限度額認定証は更新が必要
  • ショートステイを利用している場合の書類の記入
    ※ショートステイを利用している場合の申請時の書類は「介護保険施設の所在地」と
    「名称」を記入する必要はなく、被保険者本人の名前を記載し、押印したうえで提出する

介護保険負担限度額認定証は更新が必要

介護保険負担限度額認定証は更新が必要です。
介護保険負担限度額認定証の期間は「8月1日〜翌年7月31日」までの1年間です。
介護保険負担限度額認定証の有効期限は「1年」で更新が必要になります。


毎年、更新が必要ですが、初回認定後、翌年以降は自動的に更新書類が送付され
「期限切れは発生しない」ようになっています。
所得や預貯金などが変化すると負担の段階が変化しますので毎年、
注意して「認定証」を見直しましょう。

まとめ

介護保険制度における負担限度額認定証制度とは、ショートステイや介護保険施設などを
利用する際、食費と住居費は自己負担ですが、これを軽減できる制度です。

所得と預貯金などの一定の要件を満たすと、これらの負担の減免を受けることが可能です。
介護保険負担限度額認定制度が、2021年に改正され変更になった点について、
負担限度額認定証制度での利用対象者の要件や申請方法などを解説しました。
公的な保証制度で経済的負担を軽減しましょう。

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