寝たきりの方の在宅介護は無理?負担を軽減するための方法も紹介!

2024.08.06

介護を在宅で行うにあたり、その方の状態は負担の大きさに直結する大きなポイントとなります。
特に寝たきりの状態は常時介護が必要になる場合も多く、在宅での介護に限界を感じたり
ストレスや疲労も大きくなるでしょう。

「在宅で親の介護をしているけれど、介護の方法がそもそも合っているのか不安」と感じたり、
「寝たきりの人でも利用できる介護サービスがどんなものがあるのかわからない」という方も
多いのではないでしょうか。

この記事ではそんな在宅で寝たきりの方を介護するポイントについて紹介していきます!

寝たきりの症状とは

介護をするにあたり「寝たきり」という言葉はよく聞く言葉でしょう。
では、具体的に「寝たきりとはどんな状態」なのでしょうか?

介護がどのくらい必要なのかを把握するための指標として「要介護度」というものがあります。

この要介護度は「要支援1・2」「要介護1〜5」という合計7つの区分にわけられており、
数字が大きくなるにつれて介護にかかる手間や時間が、大きくなり、介護する方にとっては
負担が大きくなることが理解できます。

「寝たきり」と呼ばれる状態はこの要介護度において「要介護4・5」に該当します。
要介護4・5の状態は、「介護なしでは日常生活を送ることが困難・不可能」という状態です。

つまり、在宅で「寝たきりの方を介護するには、24時間何らかの介護やサポートが必要」
と言い換えることもできるほど重度であるといえます。

寝たきりの方を在宅介護する時の注意点

前述した通り、寝たきりの状態は「ほぼ常に何らかの介護やサポートが必要」な状態です。
そのため、寝たきりの方を在宅で介護する時には、様々な注意点をおさえておかなければ、
事故や状態の悪化に繋がるリスクも高まってきます。

ここからは、寝たきりの方を在宅介護する時の注意点をいくつか紹介していきます!

 正しい姿勢で食事をとれるようにする

寝たきりの方の食事介助をする時には以下のようなポイントがあります。

  • 食べやすい食事を用意する。 
  • ・正しい姿勢で食事をとれるようにする。 
  • ・飲み込んだことを確認してから次の一口を介助する。

寝たきりの方は「座っている姿勢を維持することが難しい」ことが多いです。
食事前には、介助で座り直したり体の方向きをクッションなどで補整したりして
正しい姿勢で食事できるように配慮しましょう。

また、ベッド上で食事を介助する場合は「背もたれは45度以上の角度」に起こし、
頭の後ろに枕などを敷きましょう。
首がやや曲がる状態を保つことで誤嚥しにくくなります。

認知症の方であれば、食事を食事と認識できなかったり、食事に集中できないことも
少なくありません。
その方の様子を見ながら食事介助を進めましょう。

 床ずれに注意する

寝たきりの方でよく起きるトラブルのひとつに「床ずれ」があります。
寝たきりで一日のほとんどをベッド上で過ごすと皮膚に圧力が加わり続けるため、
床ずれが起こりやすくなります。

寝たきりの方は「寝返りも自分でできない」ことが多いです。
目安として「2時間に1度、介助で寝返り」をすることで床ずれの予防に繋がります。

また、床ずれには好発部位というできやすい場所があります。その方の体格にもよりますが
「肩・仙骨・かかと」などがよく床ずれを起こしやすい部位になります。

円背や拘縮などで背骨や膝がまがっている場合は、「背骨や膝の内側」などにも
床ずれができやすくなります。

「排泄介助や更衣をする時」には「皮膚が赤くなっていないか」など
「皮膚の状態を観察」することも合わせて行いましょう。

また、おむつによる蒸れや排泄物の吹き残し、シーツや服のシワも床ずれが起きやすくなる
要因になります。
清潔を保つこととシワはできるだけ伸ばした状態で過ごせるよう環境にも注意しましょう。

 自尊心を傷つけないよう排泄ケアをする

寝たきりの方を介護することは、介護をする人にとって負担も大きく時間にも
追われる中の介護となることが多いです。

しかし、寝たきりであってもその方には自尊心があることを忘れず、
自尊心を傷つけないように介助をすることがとても大切です。

とくに「おむつ交換などの排泄ケアは羞恥心を感じやすい」介助です。
排泄の世話をしてもらうという恥ずかしさや申し訳なさを強く感じる場面ですので、
カーテンやドアを閉めて「しっかりとプライバシーを確保」する、
排泄に失敗してしまっても「不快な言葉をかけたり、態度をとることを控える」ように
注意しましょう。

排泄ケアの回数はその方の尿量や状態によって様々です、介護施設では
1日に4回〜7回程度行いますが、不安であれば「ケアマネージャーに相談」をしましょう。
負担の大きい在宅での介護では、ひとりで抱え込まず「介護スタッフやケアマネージャーに
気軽に相談」をし、チームで支援していく感覚を大切にしましょう。

 身体を清潔に保つようにする

寝たきりの方は、在宅での一般的な浴槽では入浴ができないことも多いです。
また、麻痺や拘縮などがあればその部分に汚れが溜まりやすくなることも考えられます。

身体が不潔な状態が続くことは「床ずれや感染症のリスク」にも繋がりますし
「本人や介護する人のストレスや疲労」にも繋がります。

高齢者であれば代謝の機能も衰え発汗なども少なくなります。
毎日でなくても濡らしたタオルで身体を清拭したり、定期的に着替えを行い、清潔を保ちましょう。

近頃は介護用品にも便利なものが多く水を使わず洗髪ができる「ドライシャンプー」や
陰部専用の「おしり用シャンプー」なども数多く販売されています。

こういった介護用品や福祉用具も活用し、介護の負担を減らしながらも清潔を保てるよう
介助をしていきましょう。

 廃用症候群に注意する

寝たきりの方で起こりやすく注意しなければならないのが「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」です。
廃用症候群とは、過度に安静にすることや、活動性が低下することで身体に起こる
様々な状態をいいます。

床ずれも廃用症候群の一つで、その他にも筋肉がやせ衰える筋萎縮や、誤嚥性肺炎、
うつやせん妄、起立性低血圧など、多岐にわたる症状が出現しやすくなります。

特に高齢者では自覚がないままに進行してしまうケースも多いといわれています。
寝たきりの方の廃用症候群を予防するには「定期的に寝返り介助を行う」「座る時間を増やす」
「介助のついでに足首の曲げ伸ばしを行う」「手足をもみほぐす」など
身体を動かす、関節や筋肉を動かす機会を増やす介助を行うことで、廃用症候群の予防になります。

寝たきりの方を在宅介護する際の負担軽減策を紹介

ここまで「寝たきりとはどういう状態か?」そして「寝たきりの方を在宅介護する時の注意点」
についてご紹介していきました。
寝たきりの方を在宅で介護することは、本人にとっても介護をする方にとっても
負担が大きくなってきます。

そのため、ここからは寝たきりの方を在宅介護する際の負担軽減策についてご紹介していきます!

 ヘルパーや訪問入浴などの介護保険サービスの利用

寝たきりの方を在宅で介護するために、利用できる介護保険サービスに「訪問介護」や
「訪問入浴介護」というものがあります。

訪問介護はヘルパーが自宅を訪問し「食事や排泄などの身体介護」「掃除や調理などの生活援助」
のサービスを受けることができます。
ただし、床ずれや摘便などの「医療行為は訪問介護ではできない」ため、注意が必要です。

訪問入浴介護は、介護スタッフや看護スタッフが「浴槽などを持参し、入浴のサービス」を
受けられます。
寝たきりで自宅での浴槽では入浴できないという方でも、専門のスタッフが専用の浴槽で
介助してくれるため「安心して入浴」ができます。

 介護用品の活用

寝たきりの方を在宅で介護するためには「介護用品の活用」はとても効果的です。

食事介助であれば、「ストロー付きのコップ」や「吸い飲み」などベッド上で水分補給するのに
便利な介護用品があり、排泄介助であれば、「陰部洗浄用のシャワーボトル」や
「おしり用シャンプー」「使い捨てのおしり拭き」など清潔を保つために便利なグッズもあります。

寝たきりで入浴ができない方でも清潔に過ごしてもらうために「水のいらないドライシャンプー」
や「身体を拭くためのウエットティッシュ」など、お湯やタオルなどを用意する手間もなく、
清潔を保つことができるグッズもあります。

また、より専門的な介護用品を利用するには「福祉用具のレンタル」や「福祉用具の購入」も
介護保険から費用を一部負担できる用具もあります。
最近は床ずれ防止のために、寝返りを自動でしてくれるベッドや圧力分散をしながらも
姿勢を保てるクッションなども増えてきているため、
そういったものをレンタルしたり購入するのも負担軽減のために策といえるでしょう。

どんなものがあるのか、どういう手続きが必要なのかわからない場合は
「ケアマネージャーに相談」をすることで業者との調整をしてくれるため、
何か困った場合はケアマネージャーに気軽に相談をしましょう。

 地域包括支援センターや家族会などへの相談

在宅介護に限界を感じたり、負担が大きくなりどうしたらいいかわからないなど、
悩みごとが増えた時は、地域包括支援センターや家族会などに相談しましょう。

兄弟や親戚の協力があれば、介護の負担が減り心の余裕にも繋がります。

家族や友人などに相談することが難しい場合や気が引ける場合は「地域包括支援センターや
ケアマネージャー」「介護スタッフや看護スタッフ」に相談するのもよいでしょう。
悩みに対して実践的な解決策や利用できるサービスを提案してもらえる可能性も高いです。
言葉にして吐き出すことは、気分転換や解決につながります。

ひとりで抱え込まず身近な人に相談をしましょう。

 介護施設への入所を検討

在宅介護に限界を感じた場合は、介護施設への入所するという方法もあります。
寝たきり(要介護3以上)の場合は、「特別養護老人ホーム」などの施設への入所も
できるようになります。

地域やその事業所によって空きがない場合でも、ケアマネージャーに相談することで
ショートステイであったり他の事業所に空きが無いかを連絡してくれたりします。

特別養護老人ホームのような介護施設であれば24時間スタッフが常駐しており、
プロによるケアが受けられるため、安心して生活ができます。
費用やサービスの内容については、施設によって差があるため、入所を検討する場合は
複数の施設を比較しましょう。

可能であれば施設見学なども行い、その人にあった施設選びができるよう心がけましょう。

まとめ

この記事では、「寝たきりの状態」や「在宅介護の負担の大きさ」「負担軽減策と介護のポイント」
について紹介しました。

寝たきりの方の在宅介護は、身体的な介護負担が大きくなる他、精神的にも経済的にも
負担が大きくなります。

介護の方法を間違えると事故やケガにも繋がりやすい状態でもあるため、
負担を感じた場合はひとりで抱え込まず、
在宅で利用できる介護保険サービスや施設入所も検討しましょう!

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