本記事では、介護による家族崩壊と、それを防ぐための対策について詳しく解説していきます。
親の介護などで在宅介護をしている人の中には、他の兄弟からの手伝いが無く親の介護を
ほとんど一人で行っているという人も少なくありません。
在宅介護だけではなく施設に親を入居させる場合でも、他の兄弟からの経済的な援助が無く
費用を工面するのに困っているという方もいます。
本記事では予防法などについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護によっておこる家族崩壊とは、介護者のストレスから介護鬱を発症してしまったり
親の介護をするために仕事を辞めなくてはならない介護離職などを原因として起こる
家族間の不和や機能不全全般を指す言葉です。
家族崩壊、言い換えると機能不全家族の定義としては家庭内に対立や不法行為、
性的・身体的・経済的な虐待等が恒常的に存在する過程を指すとされています。
これらの原因は、「虐待やDV」、「家族内での対立」「アルコール・ギャンブル依存症」
「不倫や浮気などの不貞行為」「経済的困窮」などが挙げられます。
介護によっておこる家族崩壊のケースとしては、いくつか原因が挙げられます。
介護によって起こる家族崩壊には、どのような理由が挙げられるのでしょうか。
防止するためにも、原因について詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。
介護は、経済面において不安定な状況を招くケースも少なくありません。
例えば、親や祖父母など、家族の介護ために仕事を辞める「介護離職」では
介護者の収入が減ってしまいます。介護が長期間になった場合は、費用が予想以上にかさみ、
困窮する事態も珍しくありません。
さらに、介護離職者の再就職は難しいという現実もあり、介護をしながら働くのが
困難なケースもあるでしょう。
経済的な困窮が起こると、心の余裕がなくなってしまいます。
その結果、家族崩壊へとつながる恐れがあるのです。
家族のなかで1人だけが介護をしている場合や、仕事や育児を理由にほかの親族から
支援や金銭面の援助がない場合など、家族内での介護負担の偏りにも注意すべきです。
介護によっておこる家族崩壊のよくあるケースとも言われています。
兄弟が複数人いて一人の兄弟が何となく介護をずっと続けているような場合に、
最初は介護度が軽い状態なので身体的・精神的なストレスは少なかったものの、
重度化に伴ってつらくなるような場合があります。
在宅介護をしている介護者が介護鬱を発症してしまっているなど、心身の疲労が影響している
部分も大きいです。
「いつまで介護が続くかわからない」といった不安やストレスにより、
「介護うつ」を発症するケースも少なくありません。
介護うつとは、介護に携わる本人やその周囲が、疲労やストレスによってうつ病を
発症することを指します。
介護うつの症状としては、何をしていても憂鬱な気分が続くこと、疲労感が強いこと、
食欲の低下や睡眠障害(寝つきが悪いなど)が挙げられます。
親の介護を巡って家族仲が悪くなるケースは少なくありません。
あるアンケートでは、介護の考え方や役割分担を巡って「家族仲が悪くなった」と回答した方は
全体の9割にものぼります。
家族崩壊の防止に向けて、解決策やトラブルにつながる原因などを解説します。
本格的な介護が始まる前に、一度家族で介護に関する方針や心構えを話し合い、
共有をしておくとよいでしょう。
例えば、「介護は在宅・施設のどちらにすべきか」「費用は誰が・どこから出すのか」
について決めておくと安心です。
ほかにも「介護を中心的に担う人(主体者)は誰にするのか(夫・妻、子ども)」も
話し合い決めておくとよいでしょう。
両親が介護状態になってからだと、費用捻出や兄弟の役割分担などが曖昧になり
トラブルに発展しやすいです。
そのため介護状態になる前から、介護方針を考えることが大切です。
介護方針や心構えが決まったら、より具体的な役割分担も話し合っておきましょう。
すでに介護の中心人物(主体者)が決まっている場合、ほかの家族や親族との間で
適切な役割分担を決めおくと、介護の中心人物(主体者)の負担軽減につながります。
例えば、「金銭面の援助」や「週末や一定期間に介護を交代・補助」など、
それぞれ誰が何を担当するのかを話し合います。
負担が誰かに偏り過ぎないようにすることが大切です。
考え方や経済的な状況は、早めに把握することが大切です。
介護に疲れていたり、協力者が居なかったりする場合は介護サービスや高齢者支援サービスを
活用してみましょう。
プロの力を借りることは介護の小休止につながり、疲労軽減やリフレッシュすることができます。
例えば、居宅サービスは自宅で「訪問サービス」や「通所サービス」といった支援を
受けることができます。
介護予防支援は要支援1~2の方が利用できるサービスです。
生活支援やリハビリを通して、生活機能の維持・改善につながるケアを受けられます。
介護離職による収入減や、ほかの家族から援助が受けられないことで
家族崩壊に陥るケースでは、介護費用の減免制度を活用していない場合もあります。
この場合、介護費用を抑えたり、家族内で均等に負担したりすることが大切です。
例えば、所得段階に応じて居住費と食費を減免する特定入所者介護サービス費、
医療費と介護サービス費の1年間の支払い額が基準を超えた場合に払い戻される
高額医療・高額介護合算療養費制度などが挙げられます。
「家族間で話し合う機会を設けづらい」「解決策が見つからなかった」といった際は
以下の相談窓口を利用すると良いでしょう。
経験や知識のある職員から、状況に適したアドバイスを受けられます。
第三者からの意見をもらうことで、家族だけでは気がつかなかった解決策が見つかります。
ケアマネージャーは介護サービス計画書(ケアプラン)の作成、ケアプランが
適切に行われているか確認する役割を担っています。
在宅介護のみならず施設に入った場合も付き合っていくケアマネジャーですが、
介護の状況などについて本人以上に詳しくわかっていることがほとんどのため、
介護が原因で家族崩壊が起りそうな場合はまずはケアマネジャーに相談しましょう。
ケアプランを見直してくれたり、レスパイトケアとしてショートステイを紹介してくれるなどの
対策を打ってくれることがほとんどです。
介護が原因でストレスを感じているという方はまずは相談するのがおすすめと言えるでしょう。
地域包括支援センターは、介護・医療・保険・福祉などの側面から高齢者を支える
総合的な相談窓口で、地方自治体から委託された民間の事業者が運営しています。
設置数としては中学校の学区と同じ数だけ設置されており、家族崩壊などに総合的な
テーマについても相談することが出来ます。
利用条件としては、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者又はその支援に
携わっている方となっており、もちろん介護をしている本人も利用することが出来ます。
現在の状況に耐えることが出来なくなりそうな場合はまずは地域包括支援センターに相談しましょう。
介護による家族崩壊をどうしても解決できないという場合は、最終手段として
家庭裁判所で決めるという方法もあります。
介護による家族崩壊は経済的な援助が断たれることや、介護者に対する暴力、
介護鬱など介護を取り巻く様々な問題から生じるものと言えます。
家族崩壊を防ぐにはやはり事前にだれがどの程度介護をするのか、費用はどの程度援助するのか
などを、時に第三者を交えて考える必要も出てきます。
修復不可能な状態にならないように事前に話合いをして介護による
家族崩壊を防ぐのがベストと言えるでしょう。