本記事では、介護報酬とはどんなものかについて解説していきます。
介護職員は基本給の他にも、介護サービスの対価として事業所へ報酬が支払われ、
そこから報酬として追加で支給されます。それが、介護報酬です。
この記事では、介護報酬の基本的な知識について詳しく解説しますので、内容が気になっている方は
是非とも参考にしてみてください。
目次
介護事業者にとって、介護報酬は事業所の収入となる部分で大切なものです。
普段介護ソフトに頼っているという方の中にも、介護報酬の内容や仕組み、計算方法などを
しっかり知りたいと思っている人は多いのではないでしょうか?
介護報酬とは、介護事業所が介護保険サービスを提供した際に、その対価として事業所に
支払われる報酬のことです。
この報酬額は、利用者が受けたサービスの種類や量に基づいて計算されます。
例えば、訪問介護や訪問看護など人件費の割合が高いサービスでは、それに応じた
報酬が設定されます。
介護報酬の計算には、サービスごとに定められた人件費率や地域による物価の違いが
加味されるため、地域やサービスの種類によって報酬額が変動するのです。
介護報酬の仕組みは、介護サービスを提供する事業者が受け取る対価です。
介護報酬の計算方法は複数の要素に基づいており、「介護サービスの単位数 × 1単位あたりの単価」
で計算されます。
単位と時間、加算方式などについて解説していきます。
介護報酬の計算においては、「単位(時間)」と「単価」が基本的な要素となります。
ここで、「単位」とはサービス提供の量や時間を指し、「単価」とはその単位あたりに設定された
金額です。
例を挙げると、特定のサービスにおいて「1単位」が「10円」と定められている場合、
この10円がそのサービスの「単価」となります。
サービス提供の過程で積算された「単位」に対して、この「単価」が乗算されることで、
最終的な介護報酬が計算されます。
もう1つ、加算という要素も介護報酬に絡んでいます。
加算は基本単位に加えて、特定の条件下でサービスが提供された場合に追加される報酬を指します。
これには、質の高いサービス提供を促進するための各種加算が含まれています。
加算の一例としては、特定の資格を持つスタッフによるサービス提供、専門スタッフの
人員基準の充足などが挙げられます。
これらの加算を適切に活用することで、事業者はサービスの質の向上につながる報酬を得られます。
介護報酬と介護職員の給与は、表面上は別概念と思われがちですが、実際には密接な関係があります。
介護報酬は介護サービス事業者が国や自治体から受け取る対価であり、この報酬額が
事業者の収益に直接影響します。
事業者の収益が良ければ、介護職員の給与や待遇改善に反映されるでしょう。
介護報酬の額は、提供される介護サービスの量や質、事業所の運営効率などに基づいて決定されます。
しかし、介護報酬の受け取り額が職員の給与に直接自動的に反映されるわけではありません。
介護報酬の増減と職員の給与の関係は、事業所の経営方針や財務状況、業界全体の動向にも
左右されます。
介護保険制度の下では、3年ごとに介護報酬が見直されています。
この改定は、時代のニーズや物価の変動、社会情勢に応じて行われます。
2021年度に改定された内容では、コロナウイルス感染症対策加算の創設、
介護職員処遇改善加算の拡充、サービス内容の見直しが行われました。
新型コロナウイルス感染症の影響で感染症対策のコストが増加したことを受け、
事業者の負担を軽減するためのプラス改定、介護職員の処遇改善を目的とした介護報酬上の
加算等が主に行われています。
介護保険サービスは、サービスによって人件費にかかる割合が変わります。
特に、自宅に訪問するサービスは、人件費の割合がどうしても大きくなってしまいます。
そこえ、介護保険サービスの種類についても内容を大まかに踏まえてご紹介していきましょう。
介護保険サービスの中で「介護に関する相談・ケアプランの作成」は、介護が必要な方や
その家族にとって重要なサポートの一つです。
介護に関する相談では、利用者やその家族が抱える介護の悩みや疑問、介護サービスの利用方法
などについて専門家に相談することができます。
そしてケアプランは、利用者の個別の介護ニーズに基づき、提供される介護サービスの内容や
頻度を計画したものです。
これらにより、利用者が最適な介護サービスを受けることができ、生活の質を向上させることを
目指します。
介護保険サービスで自宅で受けられるサービスは多種多様です。
例えば訪問看護では、名前の通り看護師が自宅を訪れ、医療的なケアや健康管理、
リハビリテーションを提供します。
訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士が自宅を訪れ、リハビリテーションを
行います。
その他にも、医師、歯科医師、薬剤師、栄養士などが自宅を訪問し、療養に関する指導や
管理を行う居宅療養管理指導なども挙げられます。
多角的に自宅でのサービスを支援することが可能になっていることが分かりますね。
施設でのサービスで代表的なのは、介護老人福祉施設でしょう。
主に要介護3以上の高齢者が入所する施設で、常時介護が必要な方を対象にしています。
食事、入浴、排泄の介助など、日常生活全般にわたる支援を行う生活援助、
理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを行う機能訓練などを実施します。
介護老人保健施設も代表的です。
介護が必要な高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを受けるための施設で、
要介護1から5の方が対象です。
介護保険サービスの中で訪問、通所、宿泊のセットサービスは「小規模多機能型居宅介護」と
呼ばれています。
このサービスは、高齢者が住み慣れた自宅で生活を続けながら、必要な介護サービスを柔軟に
受けられるように設計されています。
訪問サービス、通所サービス、宿泊サービスのすべてが利用可能で、利用者の状態やニーズに応じて、訪問、通所、宿泊のサービスを柔軟に組み合わせることができるというメリットがあります。
また、家族の介護負担を軽減するための支援が充実しており、緊急時の対応も可能です。
完全に宿泊する形式のサービスとしては、特別養護老人ホームが筆頭と言えます。
特別養護老人ホームは、主に介護が必要な高齢者が長期間入所する施設です。
要介護度が高い方が優先的に入所できるようになっています。
専門スタッフが24時間体制で介護を提供し、施設内に看護師が常駐しており、
医療ケアを受けられます。
有料老人ホームも同じく該当します。
民間企業が運営する施設で、さまざまな介護サービスを提供します。種類によって
介護度に応じたサービスを選べます。
介護保険では、生活援助や身体援助など、介護保険内でできるサービスが決まっていますが、
利用者のニーズに合わせてさまざまなサービスを受けることができます。
介護予防支援などが代表的で、要支援者が介護予防サービスを適切に利用できるように、
ケアプランの作成やサービス事業所との連絡・調整を行うなどのサービスです。
要支援者の心身の状況や置かれている環境、希望などを考慮してケアプランを作成します。
ケアプランに位置づけたサービス事業所や施設などとの連絡・調整も行います。
本記事では、介護報酬と介護職員の給与との関係性などについて詳しく解説しました。
介護報酬の仕組みを理解することは、事業所を円滑に運営していくうえでとても重要なことです。
請求事務を行わない介護職にとっては、提供サービスの対価を知ることで、日々の仕事への
意識を高めることができるでしょう。
収益が良ければ職員の給与や待遇改善につながるのですが、介護報酬の改定が自動的に
給与増加につながるとは限りません。
特に資格の取得はキャリアアップにもつながるため、給料を上げたい方におすすめです。