療養型病院とはどんな施設かについて解説していきます。
介護療養型医療施設(療養病床)は、手厚い医療と介護を受けられる施設ですが、
2023年に廃止が決定しています。
「どんなサービス内容?」「費用や入所条件は?」など、介護療養型医療施設について気になる点を、本記事でしっかりと掘り下げてご紹介しますので是非とも参考にしてみてください。
目次
介護療養型医療施設(療養型病院)とは、長期療養を必要とする比較的重度の要介護者に対し、
介護や必要な医療を提供する施設です。
地方自治体や社会福祉法人などが運営する公的施設で、費用も比較的安く利用することができます。
入居条件や人員基準など、施設の特徴をご紹介します。
療養型病院の入居対象者は、原則65歳以上で「要介護1」以上の介護認定を受けていることが
条件です。
介護予防サービスの対象者である要支援1・2の段階では入居できませんので注意しましょう。
そのほか、伝染病などの疾患がなく、病気での長期入居を必要としないことなど、
施設によって条件が異なります。
入居の申請には、施設への申し込みと面談・主治医意見書・診断書が必要となります。
これによって本人の健康状態や介護度を審査し、入居判断を行っています。
介護療養型医療施設の入居条件がわかったところで、続いて介護療養型医療施設の人員基準を
紹介します。
医師は入居者48人に対して1人以上、介護・看護職員は入居者3人に対して1人以上と、
手厚い人員体制が定められています。
そのほかの介護療養型医療施設で配置が義務付けられているスタッフは、医師、薬剤師、栄養士、
看護・介護職員、理学療法士、作業療法士などが該当しています。
多彩な専門分野を持ったスタッフが利用者の生活を支えています。
入院費は利用される方のADL(日常生活自立度)によって区分され変動します。
例えば「ベッド上でどれだけ動けるのか」「食事摂取できるか」「トイレが使用できるか」などから
評価点を算出し、区分されます。
ADL区分Ⅰで医療区分Ⅰの場合は815円、ADL区分Ⅱで医療区分Ⅱの場合は1,386円といったように
別れています。
医療点数は、あくまでも基本入院費なので、個別に必要なケアを受けた分の点数は
加算されていきます。
例えば、特別食や褥瘡対策への加算が該当します。
療養型病院の費用の決まり方が分かったところで、実際にどの程度の費用がかかるのかという
一番気になる点を調査しました。
介護療養型医療施設は充実した医療サービスを受けられますが、費用は安価です。
費用の区分について確認していきましょう。
療養型病院に入院する65~74歳以上の高齢者の場合、食費と居住費(光熱水費)を自己負担すること
になり、1日あたりの自己負担額は「生活療養標準負担額」として定められています。
2022年時点では、食費が1日あたり460円、居住費が1日あたり370円でした。
ただし、難病指定を受けている場合は居住費の負担が軽減されます。
また、住民税非課税世帯や一定基準に満たない場合は、自治体が発行する減額認定証を病院に
提出することで食費を減額することもできます。
療養病床に入院する65歳以上の方は、食費及び居住費相当として生活療養標準負担額の負担が
必要となっています。
入院時の食費は、健康保険被保険者、被扶養者共に1食につき460円を負担することになっています。
これを標準負担額といいます。
460円という金額は、平均的な家計における食費をもとに厚生労働大臣が定めた金額です。
住民税非課税世帯の場合や指定難病患者は負担が軽減されます。
医療区分1と2で課税世帯なら460円、難病指定の場合には260円という金額に設定されています。
65歳以上の人が療養型病院に入院する場合、区分や世帯所得に関係なく、居住費として1日につき
370円が自己負担となります。
但し指定難病患者は負担が軽減されます。65歳未満の方は居住費の負担はありません。
療養型病院では、食費と居住費を合算したものが「生活療養標準負担額」として自己負担費用に
なります。
「生活療養標準負担額」とは、生活療養にかかる平均的な費用額や、平均的な家計における
食費及び光熱水費の状況等を勘案して厚生労働大臣が定めた金額です。
その他の費用については、医療保険が適用されないため全額自費負担となります。
例えばおむつを使用する場合、尿とりパッドやリハビリパンツなども含めると1日1,000円と
仮定すると約30,000円必要になるでしょう。
個室を希望した場合は、特別に室料がかかることがあります。
病院によって、それぞれ室料は異なるため確認しておくとよいでしょう。
個室代の相場は1,000円~3,000円/日です。
病室にテレビがついている場合は、テレビカードや電気代として請求する病院もあります。
使用頻度によりますが、月々5,000円~10,000円程度でしょう。
受ける医療ケアやサービスによってかかる費用が大きく異なります。
月額費用も決して安くはない療養型病院ですが、費用を支払うのが難しい場合には負担軽減制度を
活用するのが重要になってきます。
どのような軽減制度があるのかを見ていきましょう。
高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合に生活が困窮してしまわないように、
1カ月で支払う医療費の上限額を設ける制度です。
年齢や収入によって区分されており、設定された医療費の上限を超えた場合、差額が払い戻されます。
医療保険サービスのみ適用されるため、食費やオムツ代などの自己負担分は含まれません。
一つの病院で上限額を超えない場合でも、同月に支払った医療費があれば合算して申請が可能です。
支払うことが難しい場合は、事前申請も可能です。事前に保険者に対して「限度額適用認定証」
の発行手続きをおこないましょう。
高額療養費受領委任払制度は、高額療養費制度の限度額適用認定証と似た仕組みの軽減制度です。
事前に申請し、医療機関との受領委任契約を行うことで、高額療養費該当分を、
医療保険から医療機関へ直接支払ってくれる仕組みです。
利用者は、医療費が高額なため生活を維持しつつ医療機関へ医療費を支払うことが困難な人に
限られています。
この制度が利用できる公的医療保険は限られていますので、利用したい場合は、自身が加入している
保険組合に事前に確認しておきましょう。
高額療養費制度は、申請してから支給されるまでに3カ月ほどかかります。
そこで、病院に支払う費用が用意できない場合、高額療養費で支給される予定の金額の8~9割
相当額を、無利子で借りることができるのが高額療養貸付制度です。
高額療養費の払い戻しには数カ月かかる場合があり、高額医療貸付制度なら無利子のため
安全に借りることが可能です。
手続き方法は、各保険組合によって異なりますので、自身が加入している保険組合に
問い合わせてみましょう。
長い療養生活で、資金繰りに困ってしまうこともあると思います。そんな時は、
返済可能な範囲内で分割支払いが可能な病院を利用するのも手段の1つです。
入院費用の支払いが難しい場合は、事前に病院に相談しましょう。
病院には費用に関する相談窓口が設置されているところが多く、分割払いや支払期日の延長が
可能なケースもあります。
支払いに関する相談は、退院時ではなく入院時にしておきましょう。
まずは病院のソーシャルワーカーに相談してみるとよいでしょう。
本記事では、療養型病院の仕組みや費用について解説しました。
療養型病院は、慢性的な医療ケアと介護サービスを必要とする方には最適な施設です。
比較的費用も安いですが、長期的に利用を目的とした施設ではないため、3〜6カ月程度で
転院や退院となります。
ソーシャルワーカーやケアマネジャーと相談して、一度検討してみてはいかがでしょうか。