成人や高齢者のバイタルサイン正常値は?正しい測定方法も紹介!

2024.09.18

バイタルサインは、健康状態を把握する指標となる測定値のことです。
バイタルサインは主に、体温や血圧、脈拍、呼吸回数のことを言います。

それらの測定値と日常的な数値を比較したり、測定値が正常範囲内かを確認したりすることで、
体調に何か異変が起きていないかや、病気の可能性がないかなど、早期に体調の変化を
見つけるのに役立ちます。
それではこれから、バイタルサインについて説明していきたいと思います。

バイタルサインとは何か

バイタルサインとは、人の生命を維持するために非常に重要な情報です。
バイタルサインの基本的なものとしては、体温、血圧、脈拍、呼吸回数の4つを指します。
これからバイタルサインの目的や、基準値などをご紹介していきたいと思います。

 バイタルサインを測る目的

バイタルサインを測る目的は、利用者さんの健康状態を把握し、体調の変化や病気の兆候に
いち早く気づくことです。

バイタルサインを測定し、正常値や日常的な測定値と比較することで、利用者さんの状態変化に
気付くことができます。それにより早期発見により早期対応が可能となります。

さらにバイタルサインの変化により、利用者さんの心身の状態や生活状況を把握することもあります。そのため介護計画やケア内容の見直しにも役立てることが可能です。

成人や高齢者のバイタルサイン正常値(基準値)は?

バイタルサインの測定値をみて正しく健康状態を把握するためには、まず正常値を知る必要
あります。測定値は個人差があり、年齢によっても基準値が異なります。
そこで、今回は成人と高齢者のバイタルサインの正常値について説明していきたいと思います。

 成人のバイタルサイン正常値(基準値)

成人のバイタル正常値(基準値)の一覧は下記のようになっています。

  • 体温 36.0~37.0℃
  • 血圧 上(収縮期)100~139mmHg、下(拡張期)60~89mmHg
  • 脈伯 60~100回/分
  • 呼吸数 12~20回/分


あくまで一般的な基準値であり、個人差があります。
そのため、利用者さんのバイタルサインを定期的に測定し、日常のバイタルサインを把握して
おく必要があります。そのため日々のバイタルサインの記録が重要となります。
普段のバイタルサインと異なっている際にはすぐに看護師や医師などの医療従事者に相談しましょう。

 高齢者のバイタルサイン正常値(基準値)

高齢者のバイタルサインは、成人と異なる点があります。
一般的な正常値の一覧は下記のようになっています。

  • 体温 35.0~36℃前半(成人に比べてやや低め)
  • 血圧 130/80㎜Hg未満
  • 脈伯 60~90回/分
  • 呼吸数 16~20回/分


高齢者の方は、体調の変化などに気付きにくく、病状が進行しやすい傾向になります。
そのため、普段と異なる症状、バイタルサインがある際にはすぐに病院受診をしましょう。
また血圧においては、個人差が大きいため高血圧の既往歴のある方は医師の指示に従いましょう。

バイタルサインの正しい測定方法を紹介

バイタルサインは、利用者の健康状態を把握するための重要な指標ですが、正確に測れなければ
意味がありません。
そこで、これから基本となる体温、血圧、呼吸、脈拍の4つに加えて、人や場合によって
重要となる意識レベルと尿量の正しい測定方法を紹介していきたいと思います。

 体温

体温を正確に測るための流れが以下の通りです。
耳で測るタイプもありますが、今回は脇と口で測るタイプについて説明します。

  • 脇の下(腋窩)の測定方法
    脇の下の汗をしっかりとふき取り、体温計の先端を消毒
    体温計の先端を脇の下の中央に深く差し込み、腕を体に密着させる
    ブザーが鳴るまで待つ
  • 口の中(口腔内)の測定方法
    口の中を清潔にする
    体温計の先端を下の裏側の付け根に当て、唇を閉じる
    ブザーが鳴るまで待つ
      ※食事後は30分以上開けて測定する


以上が正しい体温の測り方になります。
日常的に体温を測る場合は、なるべく同じ時間に測定することで、変化を見つけやすくなります。
また、激しい運動や入浴後は体温が上昇しやすいため、測定は避けましょう。

 血圧

血圧はカフと呼ばれるベルトを巻いて測ります。手首に巻くタイプもありますが、
今回は一般的な腕に巻くタイプについて説明していきます。
正しい血圧測定の流れが以下の通りです。

  1. トイレなどを済ませてリラックスした状態になる
  2. 足を組まず腕を心臓の高さに保つ
  3. 肘の2~3㎝ほど上にベルトをまく
  4. 測定中は静かに呼吸し、話したり動いたりしないようにする


血圧を測定するのに適した時間は、朝は起床後1時間以内、夜は就寝前が適しています。
2回以上測定し、平均値を記録しましょう。

 呼吸

呼吸の測定は、普段のリラックスした状態での呼吸数を測定することが重要です。
呼吸数を測ると伝えると利用者さんが意識してしまい、いつもと違う回数になってしまうことも
あります。

そのため、利用者さんに呼吸数を測定していると気づかれないように、他の測定として呼吸数を
測定するなど気づかれないように測定することが必要です。
測定のポイントが以下の通りです。

  • 1分間の呼吸回数を数える
  • 呼吸の深さ、リズム、呼吸をどのようにしているかを観察する

 脈拍

“脈拍を測定する際の部位として、腕や足の付け根、足の甲など数か所測定できる場所があります。
今回は最も一般的である手首(橈骨動脈)での測定について説明します。
測定の流れが下記のとおりです。

  1. リラックスした状態にしてもらい、測定する腕を心臓と同じ高さに保つ
  2. 測定者の人差し指・中指・薬指の3本を、利用者さんの手首にある橈骨動脈に軽く当てる
  3. 1分間の脈拍回数を数える(簡略として30秒を測って2倍するなどの方法もあり)
  4. 脈拍の強さやリズムも観察する


指を添える際に強く押しすぎると、逆に脈拍を感じにくくなる場合があるため、
強く抑えすぎないように注意が必要です。

 意識レベル

意識レベルの測定は、利用者さんの状態を理解して、最適な対応を行うために非常に重要となります。この測定にあたっては、JCS(Japan Coma Scale)という評価基準を用いて行います。
この評価スケールには3段階あります。それぞれの内容は下記の通りです。

  • Ⅰ度 刺激しないでも覚醒している
  • Ⅱ度 刺激すると覚醒する
  • Ⅲ度 刺激しても覚醒しない
    この3段階は、さらに10段階に分けられ、数字が小さいほど意識レベルが高くなります。
    JSCが低い場合には誤嚥や窒息のリスクが高いため注意が必要です。

 尿量

尿量の測定は、腎臓の機能や水分バランスを評価するために重要な測定値です。
自立している方は、尿を目盛り付きの容器にとり、目盛りを読み取りますが、利用者さんの多くは、
パットやおむつを使用しているかと思います。
そういった方たちは、新しいオムツと排尿があったオムツの重量差で尿量を見ます。

また、利用者さんの中には尿バッグという、排尿を促す医療器具がついている方もいらっしゃいます。そんな方には尿バッグ目盛りで見たり、捨てる際に目盛付き容器に移して、尿量を見る方法が
あります。

まとめ

バイタルサインは、人の健康状態を示す非常に重要な情報です。
測定方法を正確に覚えて、定期的に測定して記録することで、利用者さんの健康状態を管理すること
ができます。

何らかの異常や変化に気付いた場合は、速やかに看護師や医師に知らせて、協力して対処することで、重症になったり後遺症を軽減させることにつながります。
利用者に安心と安全を提供するためにも、バイタルサインの正しい測定方法を学び、
きちんと記録しましょう。

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