障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは?評価基準も紹介

2024.09.18

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは、高齢者がどのくらい自立して日常生活を
送られるかを表す指標のことをいいます。
介護サービスを利用する際にも使われる指標です。

この障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)によって受けられるサービスも違ってきます。
この記事では、そんな日常生活自立度について、評価基準も含めて紹介していきます!

障害高齢者の日常生活自立度とは

障害高齢者の日常生活自立度とは、障害高齢者が身の回りのことを自分でどのくらいできるかを
評価したものです。
これに似た用語で、高齢者の基本的日常生活動作(ADL)という言葉がありますが、
どちらも日常生活に関わるものということは、なんとなく文字からも想像できますが、
一体どのような違いがあるのでしょうか?

 ADLとの違い

「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」と「高齢者の基本的日常生活動作(ADL)」は、
どちらも「日常生活でどのくらい自立できているかを判断するもの」ですが、

  • 日常生活自立度(寝たきり度)は、「要介護認定の調査やケアプランの作成などで活用」
    されることが多く
  • 基本的日常生活動作(ADL)は、「どういった介護を実施するかやリハビリテーションを
    実施するために、介護や医療の現場で活用」されることが多いという違いがあります。

障害高齢者の日常生活自立度の評価基準(3つの区分と4ランク)

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価には、3つの区分と4つのランクがあります。
これは、厚生労働省が決めた評価基準であり、この区分とランクに日常生活自立度をわけることで、
専門職がサービスを提供する際に、どの程度の日常生活が送られるのかを的確かつ迅速に
判断することができます。

それでは、日常生活自立度の評価基準についてそれぞれのランク毎に見ていきましょう!

 ランクJ

ランクJは障害高齢者の日常生活自立度の中で「生活が自立」できていると判断されるランクです。
ランクJは何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており自力で外出もできる状態です。
このランクJは行動できる範囲によって「J1」と「J2」に細分化されます。

ランクJ1は、「交通機関(電車やバス)を利用して外出できる」状態であり「行動範囲が広い」
ということになります。
積極的に外出する習慣があったり、旅行などで遠方に外出する人もJ1に該当します。

ランクJ2 は、「隣近所なら外出する」状態であり「J1に比べて行動範囲が狭い」ということに
なります。

 ランクA

ランクAは、「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助がないと外出しない」という状態です。
「寝たきり予備軍」と呼ばれ「準寝たきり」に分類されます。
日中の活動具合によって、「A1」と「A2」に細分化されます。

ランクA1と判断される基準は「日中はほとんどベッドから離れて生活し、介助により外出する」状態
であり、自宅内では排泄、食事、着替えなど身の回りのことは自分で行い、日中はベッドや布団から
離れている時間が長い方が該当します。

ランクA2と判断される基準は「日中も寝たり起きたりの生活をしており、外出の頻度も少ない」状態
であり、A1と同様に自宅内での排泄、食事、着替えなど身の回りのことは自分でできるが、
日中であっても寝たり起きたりして生活している方が該当します。

 ランクB

ランクBは、「屋内での生活は何らかの介護が必要で、日中もベッド上での生活が主であるが
座位は保つことができる」状態です。

ランクBは「寝たきり」に分類され、1日のほとんどをベッドで過ごすが、食事や排泄は座って
できる方が該当します。
このランクB は「移乗能力によりB1とB2に細分化」されます。

ランクB1の判断基準は「車いすに移乗し、食事・排泄はベッドから離れて行う」状態で、
ベッドから離れる移乗はひとりで行えることがB1の条件となります。

ランクB2の判断基準は「介助により車いすに移乗する」状態で、食事や排泄はベッドから離れて
行うが、その時の移乗に介助が必要な状態です。

 ランクC

ランクCは、「一日中ベッド上で過ごし、食事、排泄、着替えにおいて介助が必要」な状態です。
ランクCはランクBと同じく「寝たきり」に分類され、より障害の程度が重い方が該当するランクです。
ランクCは「寝返りの能力によってC1とC2に細分化」されます。

ランクC1 の判断基準は「自分で寝返りができる」状態で、一日中ベッド上で過ごし排泄などは、
おむつや尿器を利用している方などが該当します。

ランクC2の判断基準は「自分での寝返りもできない」状態で、食事も口から食べることが困難で
経鼻経管栄養や胃ろうの方などが該当します。

認知症高齢者の日常生活自立度は9ランクに区分される

障害高齢者の日常生活自立度と似た言葉に「認知症高齢者の日常生活自立度」というものがあります。
この認知症高齢者の日常生活自立度は9ランクに区分される特徴があります。
区分は「ランクⅠ、ランクⅡ(Ⅱa、Ⅱb)、ランクⅢ(Ⅲa、Ⅲb)、ランクⅣ、ランクM」
となっています。
ランクⅠから順に数字が大きくなるにつれて、介助を必要とする度合いが大きくなります。

ランクMに関しては、ランクⅠ〜ランクⅣと判定されていた高齢者が、精神病院や認知症専門棟を
有する老人保健施設などで治療が必要になったり、重篤な身体疾患が見られ老人病院等での治療が
必要となった状態で専門医療を必要とする状態に区分されます。

障害高齢者の日常生活自立度を判定する時の注意点

ここまで詳しく紹介してきた、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定をする際には、
いくつかの注意点があります。
この注意点や判定の流れなどを把握しておくことは、介護などが必要になり困った際に迅速に
介護サービスの利用につなげることができるメリットや、その人にあったサービスを利用できる
というメリットがあるため、是非把握しておきましょう!

 認定調査の内容は事前に確認する

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を判定するには、保健師やケアマネジャーによる
認定調査を受ける必要があります。
この認定調査での質問や主治医の意見書などの書類をもとに判定するため、その内容について
調査前におさらいしておくとスムーズに認定調査がすすんでいきます。

障害高齢者の日常生活自立度はいくつかのランクがあるため、前述したように「外出の頻度」
「日中の活動」「移乗能力」「寝返り能力」などを事前に確認しておきましょう。

 認定調査の面談は必ず家族が同席する

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を判定するための認定調査の面談では家族の同席が
必要です。
これは、普段の様子や介護をしている内容を正しく調査員に伝えることで、状態を正確に伝える
役割を果たすことができるためです。

例えば、本人が日常生活を自立して行えていると感じていても、家族からすると危ないと思う
場面があったり、介護の負担が大きいと感じている場合もあります。
この本人と家族が普段見ている様子、感じている気持ちなどから、正確な状態を導き出しその方と
家族のニーズを引き出すことで、適切な区分を見極め、その方の状態にあった介護サービスを計画し、提供、評価していくことができるようになるためです。

 介護での悩みや困っている点を具体的に伝える

認定調査での判定を行う際は、今まで紹介したような本人の状態だけでなく、介護での悩みや
困っている点についても具体的に伝えましょう。
その方や家族がもつ、悩みや困りごとは裏を返せば「解決したいニーズ」とも捉えることができます。

また、ケアマネジャーや介護スタッフの仕事には、本人や家族の精神的な負担に寄り添うことも
大切な仕事に含まれています。
本人や家族と一緒にいると話しづらいことは、個別の時に相談するなど話しやすい環境で
伝えるのもひとつの方法です。
悩みや困りごとを伝えることは申し訳ないという気持ちになるかもしれませんが、それを伝えないと
適切なサービスを利用できず、状態の悪化や不安や不満を招いてしまいかねないと考え、
気兼ねなく悩みや困りごとについても具体的に伝えてみましょう。

まとめ

この記事では、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)についてと、その評価基準について
詳しく紹介しました!

障害高齢者の日常生活自立度は、障害をもつ高齢者がどのくらい自立した生活を送られる状態なのか
をわかりやすく、ランクに表したものです。
身の回りの動作や、家事の動作、移乗などの能力など詳細な動作の確認を行う前段階として、
その方の全体像を把握するために役立ちます。
この記事が、医療や介護を担う方の一助となれば幸いです。

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