色やにおい・泡立ちなど糖尿病患者の尿の特徴は?主な症状も併せて紹介

2024.09.19

糖尿病には、大きく2つのタイプがあります。
インスリンに依存性の強い1型と、生活習慣などによって発病する2型です。
どちらも血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が異常に高くなります。
糖尿病患者の尿の色やにおい・泡立ちなどには、どんな特徴があるのかを具体的に解説しましょう。
また、糖尿病の主な症状についても併せて紹介します。

糖尿病とは

糖尿病はインスリンが充分な役割を果たさないことで起こり、血液中を流れるブドウ糖が
増える病気です。
血糖の濃度が高いまま放置すると、重い病気につながります。
1型糖尿病と2型糖尿病について、解説しましょう。

 1型糖尿病

1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまう
病気です。
インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン製剤を補う治療をします。
世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われており、若い方から幅広い年齢で発症し、
2型糖尿病とは、原因・治療が大きく違います。

1型糖尿病の種類には、その進行のスピードによって、「劇症」「急性発症」「緩徐進行」
に分類されます。

 2型糖尿病

2型糖尿病は、症状のないのが特徴で、健康診断などで血糖値が高いと、発見されることが
多い病気です。
最も多いタイプが2型糖尿病で、一般的に「糖尿病」と表現されるのは2型糖尿病になります。

遺伝的に糖尿病になりやすい人が、運動不足や肥満・ストレスなどがきっかけで発病し、
インスリンの効果が出にくかったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。
血糖値がある程度以上高くなると、喉が渇く、といった症状が出てきます。

糖尿病の主な症状

糖尿病の初期には目立った症状がなく、糖尿病になっていることに気付かないケースもあります。
糖尿病では、合併症に特に注意が必要です。
糖尿病の症状について解説しましょう。
・多尿
・口渇
・多飲
・体重減少
・倦怠感

 多尿

症状のひとつに多尿があります。
ブドウ糖は身体に必要な栄養分のため、尿といっしょに排出されず、通常は血液中に戻されます。
ですが、糖尿病により血液中のブドウ糖が多くなり過ぎてしまうと、腎臓は多量の水分と一緒に
ブドウ糖を尿として排出するようになります。そのため、尿の量や回数が増えます。
これが多尿で、1日に排泄する尿量が3リットル以上になる状態のことをいいます。
日中の頻尿や、夜間頻尿を伴う特徴があります。

 口渇

口渇は、口が渇く自覚症状です。
血糖値とは、血管中の砂糖の量をあらわします。
砂糖の成分が多くなると血液はドロドロになり、血液の流れが滞り、それが続くと、
脳梗塞や心筋梗塞へとつながっていきます。
人は、高血糖(血糖値が250 mg/dlを超える状態)になると、口や喉が渇き始め、水分を摂取しようと
行動します。
それは、脳梗塞などにならないよう、ドロドロとした血液を水分で薄めて少しでもサラサラに
しようとするためです。

 多飲

糖尿病により高血糖状態になると、口が渇くため、無意識のうちに大量の水分を摂取する
ようになり、これを多飲といいます。
「口渇」でも解説したように、糖尿病は血液中のブドウ糖が増加し、血液がドロドロとした状態に
なります。
血液がドロドロの状態では、血液循環が滞り、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まってしまいます。
そのため、血液の状態を改善するために水分を摂取し、無意識のうちに摂取する水分が
多くなっていきます。

 体重減少

インスリンは、太るために必要なホルモンです。
ですが、血糖値が非常に高いときには、自分の膵臓からでるインスリンが少なかったり、
インスリンが適切に作用しない場合があります。
その際、食事から摂ったブドウ糖はエネルギーとして使われず、体内の脂肪や筋肉のタンパク質が
エネルギー源として分解されてしまうため、体重が低下し、食べてもやせるという現象が起きます。
急激に痩せた場合は極度のインスリン不足の可能性がありますので注意が必要です。

 倦怠感

糖尿病が原因で身体の倦怠感につながるのは、高血糖のとき、または低血糖のときの2つのケースです。
高血糖のときは、身体が適切に血糖(身体のエネルギー源)を使えない状態になっており、
特に空腹時の血糖値が250 mg/dlを越えてくると、身体の疲れなどを引き起こします。
低血糖のときは、血糖が低いために、エネルギー不足による身体の疲れが現れます。
また、震えやしびれ、意識低下などの症状も出てきます。

糖尿病患者の尿の特徴は?

糖尿病患者の尿には、多量の糖分であるブドウ糖が含まれています。
尿のにおいは食べ物の影響を受け、独特なにおいがあり、尿の泡立ちが目立つ場合があります。

尿の特徴についてみていきましょう。
・尿の色
・尿のにおい
・尿の泡

 尿の色

通常の尿の色は淡黄褐色、または淡黄色ですが、糖尿病患者の尿の色はほぼ透明に近い色を
していることがほとんど
です。
これは、高血糖の状態が続いていると、喉の渇きが強くなるため、水分の摂取量が増えて
排泄の頻度が高くなることが原因です。
血糖値が上がると、腎臓は無駄な糖分を排出しようとします。
そのとき、一緒に大量の水分を尿中に排出します。
そのため、尿中の水分量が増えて、尿の色が透明に近くなります。

 尿のにおい

糖尿病の尿の特徴に、においがあります。
糖尿病患者の尿には、多量のブドウ糖が含まれています。
尿が果実のような、甘い、甘酸っぱいにおいがするのが特徴です。
尿のにおいは食べ物の影響を受けてかなり独特なにおいになります。
匂いの原因は、ブドウ糖を利用できなくなった細胞が、脂肪を分解してエネルギーを作ろうとするときの過程に、ケトン体という物質ができます。
このケトン体は果実のような甘酸っぱい匂いがするためです。

 尿の泡

糖尿病患者は、尿中に糖やタンパク質が多く混ざるため泡立ちます。
直径1〜3cmぐらいの泡が出ることが多く、健康な方の尿は泡立っても、泡がすぐに消えますが、
タンパク質が混ざったことによる泡立ちは、短時間では消えません。
尿中にタンパク質がでる原因は腎臓機能の低下によるものです。

糖尿病になると血管がドロドロになって、血管を流れることにより血管が傷つきますが、
それでも網の目をさけて尿を出してしまい、タンパク質が混じって泡立ちます。

まとめ

糖尿病はインスリンが適切に機能しないために、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。
糖尿病患者の尿には、色・におい・泡に独特な特徴がみられ、主な症状には、多尿・口渇
・多飲・体重減少・倦怠感などがあります。

血糖の濃度が高いまま放置しておくと、更に重い病気につながります。

そのため尿検査などで糖尿病の症状が見られた場合には、速やかに糖尿病専門医による診察を
受けることが重要です。

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