現在、介護業界は深刻な人材不足に陥っています。
その原因の一つが、介護の3K。
これが原因で離職していく職員も少なくありません。実際に就職して3日でやめるということも
あります。そしてやっと慣れてくる3ヶ月経って3Kを原因に辞めるという方もいるのが現状です。
今回この記事では、実際の介護現場の実態がどうなっているのかについて、
3Kという視点から見ていきたいと思います。
目次
3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」の頭文字を取った言葉です。
この言葉は、労働環境が厳しい職業に対して使われるのが一般的です。
3Kと言われることが多い職業としては、かつては建築・土木関係、清掃員、農業
・漁業関係でしたが、近年では介護、看護、保育士も言われるようになってきています。
それが影響しているかのように、これらの業種はすべて人手不足が深刻化しており、
労働環境の改善が急務となっている業種でもあります。
3Kが伝統的に使われてきた業種に加えて、近年使われる業種となったのが介護業界です。
それではここからは、介護の仕事のどんな状態が3Kといわれる所以となっているのかを、
実態を踏まえて3Kに沿って解説していきたいと思います。
介護の仕事の3Kにおける「きつい」には、身体的なものと精神的なものの二つがあります。
それぞれの内容を下記で説明します。
介護の仕事において、「汚い」というのもよく聞かれることです。
介護には排せつ介助があり、3大介護に数えられるほど、日常的に必要な介護となります。
排せつ物の介助は汚物に分類されるものですので、その介護や処理は特に慣れるまでは
精神的負担が大きく感じるかもしれません。排せつ物による汚染もあるので、
その際には特に負担に感じかもしれません。
その他にも、体調不良による嘔吐などの処理も行わなければなりません。
こちらも処理するに当たり、精神的負担があることでしょう。
介護の仕事の3Kにおける「危険」とは、介護職が業務を行う中で起こりうる、
身体や精神に損傷や害を及ぼす可能性がある状況や要因のことです。
介護の必要な利用者さんの中では、認知症の影響などにより暴力をふるう方もいます。
さらに最近では、インフルエンザやノロウィルス、近年ではコロナウィルスなどが猛威を
振るっており、施設内感染も少なくありません。
罹患した利用者さんも当然介護は必要ですので、職員も罹患するリスクを負って
介護にあたらなければなりません。
介護の仕事の3Kは、介護職の離職や人材不足の大きな要因となっています。
そのため、人材確保のため、継続した介護サービスを提供するためにも、この3K対策に
早急に取り組む必要があるのです。
それではここからは、3Kそれぞれへの対策について説明していきたいと思います。
「きつい」の要因には身体的なものと、精神的なものの二つがあります。
それぞれの対策については、次のようなものがあります。
「汚い」という面への対策は、排せつ介助の改善を行うことが必要不可欠です。
それにおいて重要な役割を果たすのが、負担軽減につながるようなおむつを使用することです。
介護用品も進化してきています。吸収量が多い物を使用することで、排せつ介助自体の
回数を減らしたり、臭いを抑えられる物を使用したりすることで、不快感も減らすことができます。
嘔吐物の処理においても、固めて感染しにくく処理しやすい物もあります。
その他にも使い捨て手袋やエプロンなど、様々な衛生用品を使用することが負担軽減に
つながることでしょう。
「危険」への対策については、介護職が安全かつ安心して仕事ができるようにすることであり、
働く環境を整備することが非常に重要です。
「危険」への対策として具体的なものが次のものです。
3Kによる介護職員の離職等により、人材確保が難しく慢性的に人材が不足している状態です。
この課題を解決するための動きも活発化してきています。
ここからはその動きについて、4つに分けて紹介していきたいと思います。
人材確保のために、労働環境を改善する様々な取り組みが行われています。
その主な動きは次のようなものです。
介護の現場において、職員が安心して働くためには、環境の衛生面はとても重要です。
以前は「汚い」というイメージがあった介護施設も、最近では様々な対策が取られ、
衛生状態が着実に向上しています。
特に近年では、インフルエンザやノロウィルス、さらには新型コロナウィルスの
施設内でのクラスターが多数発生したのも記憶に新しいでしょう。
それにより使い捨てエプロンの使用や、アルコールあるいは次亜塩素酸による消毒、
清潔なものと不潔なもの、さらに感染物を区別するような衛生面の認識も格段に向上しました。
現在、介護者の負担を減らすべく様々な器具が登場してきています。
具体的には、離床センサーやセンサーマットのように動きがあった際に知らせてくれる
昔ながらのセンサーに加えて、現在はAI技術を使い利用者さんの動きがあった際に、
タブレット等に通知をくれるものも登場しています。
さらに、排せつのタイミングを教えてくれるセンサーもありと、排せつ介助の手伝いをする
ロボットも販売されており、導入することにより大幅な負担の軽減が見込めます。
介護現場における「危険」を最小限に抑えるためには、リスク管理の徹底をすることが
必要不可欠です。
介護では事故が起こりそうなった場合に、ヒヤリハット報告を書くとよいでしょう。
それらの事例を検証することで、起こりそうな事故のリスクが具現化します。
そのリスクを一つ一つ解消することで、現場における危険度は、ぐっと下がってきます。
また施設内でリスク管理を行う委員会を設け、定期的にリスクが無いかや、
ヒヤリハットの事例や事故事例の見直しを行うことで、危険の最小限化を図っています。
介護の仕事は、これまでの「きつい」、「汚い」、「危険」のネガティブな3Kのイメージを
払しょくし、ポジティブな3Kへとイメージが浸透すべく取り組んでいます。
ここでは、この新3Kについて説明していきます。
介護の仕事の新3Kとは、「価値のある」「感謝される」「感動できる」の3つです。
それではこの三つの内容は次の通りです。
高齢化社会を支える非常に重要な業界であり、その仕事は価値のある仕事とはわかっていても、
3Kのイメージが強く「介護の仕事は大変だ」と思う方がたくさんいます。
しかし、現在では様々な介護機器が導入され、介護の負担は徐々に減ってきています。
これからも、介護のお仕事の重要性は変わりません。
少しずつでも新3Kが根付いて、介護のお仕事が魅力的な社会になってほしいものです。