障害高齢者の日常生活自立度(障害自立度・寝たきり度)とは、高齢者が日常生活において、
どの程度自立して暮らせるかを表す「基準」です。
介護サービスを利用する際の判断基準にも使われ、寝たきり度によっては受けられる
サービスも変わってきます。
日常生活自立度判定基準や活用場面、日常生活自立度判定時の注意点について詳しく解説します。
目次
障害高齢者の日常生活自立度とは、障害高齢者が身の回りのことを自分でどの程度
できるかを評価したもので、障害のある高齢者が、どのくらい自分の力で生活できるのか、
を判定する指標です。
「寝たきり度」とも呼ばれ、厚労省によって規定されている評価基準であり、
介護保険制度の要介護認定では「認定調査票」や「主治医意見書」等でこの指標が用いられ
活用されます。
寝たきり度が重いほど身体機能は低くなり、介護負担が増えます。
日常生活の自立度判定基準は、下記の4段階のランクに分かれています。
何らかの身体的障害等を有するが、日常生活はほぼ自立し、一人で外出する者が該当します。
なお、「障害等」とは、疾病や傷害及びそれらの後遺症あるいは老衰により生じた
身体機能の低下をいいます。
〔Jー1〕バス、電車等の公共交通機関を利用して積極的に、また、かなり遠くまで外出する
場合が該当します。
〔Jー2〕隣近所への買い物や老人会等への参加等、町内の距離程度の範囲までなら
外出する場合が該当します。
屋内での日常生活活動のうち食事、排泄、着替えに関しては、ほぼ自分で行い、
留守番等をするが、近所に外出するときは介護者の援助を必要とする場合が該当します。
〔Aー1〕寝たり起きたりではあるが、日中時間帯もベッドから離れている時間が長く、
介護者がいればその介助のもと、比較的多く外出する場合が該当します。
〔Aー2〕日中時間帯、寝たり起きたりではあるが、ベッドから離れている時間の方が長く、
介護者がいても、まれにしか外出しない場合が該当します。
日常生活活動のうち、食事、排泄、着替えのいずれかにおいて、部分的な介護者の援助を
必要とし、日中の大半をベッドの上で過ごす場合が該当します。
夜間のみ、おむつをつける場合には、介助を要するとはみなしません。
〔Bー1〕介助なしで車いすに移乗し食事も排泄もベッドから離れて行う場合が該当します。
〔Bー2〕介助のもと、車いすに移乗し、食事または排泄に関しても、介護者の援助を必要とする
場合が該当します。
ランクBと同様、「寝たきり」に分類されますが、ランクBより障害の程度が重い者の
グループです。
日常生活活動の食事、排泄、着替えの、いずれにおいても介護者の援助を全面的に必要とし、
日中ベッドの上で過ごします。
〔Cー1〕ベッドの上で常時臥床しているが、自力で寝返りをうち体位を変える場合が該当します。
〔Cー2〕自力で寝返りをうつこともなく、ベッド上で常時臥床している場合が該当します。
障害高齢者が介護サービスを受けるには「要介護認定」が必要になり、判定にあたり、
介護事業者やケアマネジャーが寝たきり度を活用します。
次の活用場面を解説しましょう。
障害高齢者が介護サービスを受けるには「要介護認定」が必要なため、要介護認定の判定にあたり、
介護事業者やケアマネジャーが寝たきり度を活用します。
「要介護認定」の認定調査とは、要介護認定を判定するための聞き取り調査で、
申請を受けた市町村から認定調査員が派遣され、要介護者の心身の状態を確認します。
「障害高齢者の日常生活自立度」と「認知症高齢者の日常生活自立度」を組み合わせて、
介護度が決定されます。
要介護認定後、施設や在宅で介護を受ける際も、寝たきり度を参考にケアマネージャーなどが
利用者の生活に合わせたケアプランを作成します。
基本情報の中に生活歴や主訴、病歴以外に日常生活自立度が記録されます。
ケアプランは基本情報、課題分析、サービス計画書で構成され、客観的に、いつ、
どの程度の介助が必要なのかを判断する材料になります。
どれくらいの支援が必要か、どのような方針で介護を進めるのかを判断するためにも重要な情報です。
寝たきり度の判定にはいくつか注意点があります。
判定が下りない場合は利用できるサービスにも変更があるので、事前に確認しましょう。
寝たきり度の判定基準は「何らかの障害を有する人」を対象として作成されているため、
健常高齢者は対象となりません。
健常高齢者とは、障害者・病者に対していわれる表現で、心身に日常生活行動に支障が出る
病気や障害がない者のことです。
健常高齢者とは、何の障害も持っていない方になりますから、公的な介護施設等には入居できません。
そのため、寝たきり度での評価が必要ないサービスを利用することになります。
一定期間の状況を基に判断される場合があります。
パーキンソン病など、時間帯や体調で状態にムラがある場合は、一定期間の状況を総合して
判断します。
パーキンソン病は、神経伝達物質であるドーパミンを作れなくなり、筋肉への指令がうまく
伝わらず、思うように体が動かせなくなる病気です。
薬を飲んでからの時間や体調で症状が軽くなったり重くなったりするため、ある程度の期間、
観察します。
判断期間はおおよそ1週間です。
障害高齢者の日常生活自立度(障害自立度・寝たきり度)とは、介護サービスや施設利用など、
外部のサービスを利用する際に役立つ評価方法です。
自立度判定基準は、4段階のランクに分類されており、必要なサポートもそれぞれに違ってきます。
どのようなサービスを利用するか判断するうえでも、寝たきり度は基準になるので、
ぜひ障害高齢者の日常生活自立度を理解し活用しましょう。