グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の人員配置基準には、代表者・管理者
・計画作成担当者・介護職員などがあります。
この記事では、それぞれの職種がもつ役割や満たさなければならない基準について詳しく
解説していきます!
目次
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症のある高齢者がスタッフのサポート
のもと共同生活を送る施設です。
認知症対応型共同生活介護とも呼ばれ、介護保険の地域密着型介護サービスに分類されます。
対象者は、要支援2以上の認定を受けている認知症のある方で、5〜9人で構成される少人数の
グループです。
入浴、排泄、食事などの介護、リハビリ、レクリエーション、緊急時の対応などのサービスを
受けられます。
家庭的な雰囲気を特徴とし、地域との交流も可能となっている特徴があります。
グループホームを運営するにあたって様々な規定が定められています。
介護職員、管理者、代表者、計画作成担当者などの人員基準も決められています。
ここからは、グループホームに必要な人員基準についてそれぞれ紹介していきます!
グループホームにおける、介護職員の人員基準は以下の通りです。
介護職員は食事や入浴などの身体介助や日常生活の援助、リハビリテーション、
レクリエーションなどを行う職種です。
24時間体制で利用者のサポートを行い、安心して生活できる環境を整えます。
グループホームでは、日中と夜間帯で配置すべき介護職員数が異なります。
日中は利用者3人につき、常勤換算で1人以上配置することが必要です。
例えば1ユニットが9人の場合、常勤職員3人分の人材を配置する計算になります。
グループホームにおける、管理者の人員基準は以下の通りです。
管理者の仕事は、利用者の情報管理のほか、人事や労務などを含めた職員のマネジメント、
収支管理など、グループホームを運営するために必要な、一元管理と指示、命令を行う責任者です。
管理者は「ひとつのユニットにつき、常勤専従で1人の責任者配置」します。
ただし、ユニットの管理業務に支障がない場合は介護職員などと兼務することが可能です。
グループホームにおける、計画作成担当者の人員基準は以下の通りです。
計画作成担当者の仕事は、利用者心身の状態に応じ、適切なケアプランを立て、介護サービス
計画書を作成する職種です。
ケアマネージャーと同様の仕事内容ですが、書類作成などの事務作業以外に介護業務を行うことも
あります。
「計画作成担当者はひとつのユニットにつき1人以上の配置」が必要です。
注意点としては、ユニット間の兼務はできないため、3ユニット設置している場合は3人の
計画作成担当者を配置する必要があります。
そして、そのうちの1人は介護支援専門員の資格を持った職員を配置しなければなりません。
グループホームにおける、代表者の人員基準は以下のとおりです。
・次の①または②の経験。①認知症の介護従事経験、
②保健医療サービスもしくは福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験。
・厚生労働大臣が定める研修の修了者
代表者の仕事は、グループホームの全体を管理し、運営する代表者は、次の要件を満たさなければ
なりません。
介護老人福祉施設や介護老人保健施設などで「介護従事者または訪問介護員として認知症の
利用者を介護した実績が必要」です。
もしくは、「保健医療サービスや福祉サービスの経営に携わった経験」が求められます。
さらに、認知症対応型サービス事業開設者研修を受講し、修了した者である必要があります。
ここまで、グループホームとは何かやグループホームの人員基準について紹介しました。
グループホームの人員基準には、代表者、管理者、計画作成担当者、介護職員と紹介して
きましたが、なぜ看護師はなかったのでしょうか?
ここからは、グループホームにおける看護師はどういった立ち位置なのか紹介していきます!
グループホームにおける看護師の役割は、入居者の健康管理や医療的行為、利用者やその家族への
指導などです。
健康管理では、バイタルチェックや薬の管理、点滴や胃ろうなどの経管栄養の管理、
床ずれなどの傷の処置などを行います。
利用者や家族への指導については、医療面からの指導やアドバイスを家族に行います。
また、介護職員などのスタッフに対して医療的な側面からアドバイスや指示をだすことも、
看護師の役割です。
認知症のある高齢者や寝たきりの高齢者が利用している場合は、看護師の専門的な知識をもって
状態を把握する能力は施設にとっても重要なポジションと言えるでしょう。
グループホームの人員基準では、医師や看護師の人員配置が義務付けられていません。
ただし、グループホーム内で対応ができないような医療が必要となった場合、協力医療機関と
連携し、適切な対応が求められます。
令和6年度の介護報酬改定では、協力医療機関との連携体制について見直しが行われました。
グループホームでは、外部の訪問看護ステーションなどと連携し、看護師を1人以上確保した場合、
「医療連携体制加算」が算定できます。
グループホームでの看護師の仕事内容は、入居者の方に対するバイタルチェックや服薬の
管理などの健康管理が中心です。
ここからは、グループホームの看護師が行う仕事内容について、各項目にわけて詳しく
見ていきましょう。
グループホームにおける看護師が行う医療行為には以下のようなものがあります。
・糖尿病をもつ利用者へのインシュリン注射。
・自分で痰を喀出できない利用者への、たん吸引。
・褥瘡のある利用者の、患部への処置。
・経鼻経管栄養や胃ろうを増設している利用者への、経管栄養の注入と状態観察。
・在宅酸素療法を行っている利用者の酸素量や状態の観察。
・導尿、バルーンカテーテルの管理。
・ストーマ装具の貼り替えと、感染などがないかの観察。
グループホームにおける看護師は、医療行為の他に日常生活援助も行います。
これは、医療機関などの看護師と大きく違う点で、日常生活を過ごすに必要な家事・調理
・洗濯・掃除などは、介護職員や利用者と一緒に行うことです。
入居者1人ずつに対してゆっくり関わることができます。
認知症は現時点では治すことが難しい病です。
グループホームでは、利用者に寄り添い話をじっくりと聞き、穏やかな時間を過ごすことが目的で
あり、その事自体が大きな仕事になります。
しかし、入居者の着替えや食事、排泄、入浴などの介助は介護職員が行うため、ほぼ看護師が
行うことはありません。
グループホームにおける看護師が行う、健康管理と服薬管理は具体的に以下のようなものがあります。
・バイタルサインのチェック、利用者の体温、脈拍、呼吸、血圧、意識レベルなどを毎日
チェックします。
・利用者とコミュニケーションをとりつつも、顔色や心身状態の観察を行います。
・不調や異常を感じた場合は、適切な処置を行ったり、受診や医師への確認を行います。
看護師が行う服薬管理とは、利用者に処方された薬を正しく服用できるように管理することで、
疾患や症状に対する効果的な治療を工夫することを目的としています。
服薬管理には次のような役割があります。
・利用者の生活スタイルや身体状況、療養状況に合わせて工夫する。
・薬の効果や副作用を確認して提供する。
・利用者が正しく服用しているか確認する。
・主治医に服薬状況を報告する。
・副作用や不良の反応を早期発見を行う。
グループホームで働く看護師の給与は、地域や施設や法人の規模により違いはありますが、
厚生労働省の「令和4年度介護事業経営実態調査結果」によると、
「常勤の正看護師は約38万円・准看護師は約33万円」
「非常勤の正看護師は約31万円・准看護師は約29万円」となっています。
グループホームでは、夜勤がないところも多いため、他の介護施設と比較すると給与は少なめの
傾向にあります。
しかし、夜勤がないところが多いというところは、働く立場として肉体的な負担が少ないという
メリットとも捉えることができるでしょう。
この記事では、グループホームにおける看護師の配置などについて解説をしました。
グループホームとは5人〜9人でなる地域密着型介護サービスです。
グループホームには、代表者、管理者、計画作成担当者、介護職員の人員配置が定められており、
看護師の人員配置は定められていません。
しかし、高齢者や認知症のある方の共同生活を支えるためには、看護師や医療機関との連携は
とても重要です。
夜勤がないところも多く、ゆったりと肉体的な負担も病院などと比べると少なく働ける
傾向にあります。
看護師の資格があり就職や転職を考えているが、肉体的な負担についても不安がある
というかたは、グループホームで働くという選択も考えてみてはいかがでしょうか!