栄養士の資格の取り方を紹介!独学や通信で取得することは可能?

2024.10.16

栄養士の資格の取り方を解説します。
栄養士は、食と栄養の専門家としてさまざまな人々の健康をサポートします。
自身の体験から食事の大切さを実感し、主婦や社会人から栄養士を目指す方も多いです。

しかし、その取得方法はあまり知られておらず、「独学や通信で取得できるの?」といった疑問を
持っている方もいると思います。
この記事では、栄養士資格の概要や取得方法、栄養士養成施設の種類ごとの特徴や授業内容
について解説します。
栄養士の仕事に興味がある方や、これから栄養士を目指す方に役立つ内容です。

そもそも栄養士とは

そもそも「栄養士」とは、どのような資格なのでしょうか。
ここでは、栄養士の仕事内容や、よく似ていて混同されがちな「管理栄養士」との違いについて
解説します。

 栄養士の資格

栄養士の主な仕事内容は以下の通りです。毎日の食事を通して人々の健康をサポートします。

  1. 栄養指導
    対象者の一人ひとりに合わせ、健康な生活を送るための食事についてアドバイスします。
    また、小学校などで「食育」の授業にも携わります。
  2. 献立作成
    予算内で栄養バランスのとれた献立を作るには、専門的な知識が欠かせません。
    学校給食などの献立作りは、栄養士の重要な仕事です。
  3.  調理
    給食会社や学校、福祉施設などで調理を行います。
    衛生管理に細心の注意を払いながら、決められた時間までに大量の給食を調理するには、
    経験や知識・技術がものをいいます。

 管理栄養士との違い

「栄養士」と「管理栄養士」は、どちらも国家資格で仕事内容も似ているため、その違いが
分からないという人は少なくないです。
以下に、栄養士と管理栄養士の違いについてまとめました。

  1. 資格発行元
     ・栄養士…都道府県知事      ・管理栄養士…厚生労働大臣
  2.  資格取得方法
     ・栄養士…栄養士養成施設を卒業後、都道府県知事に免許を申請して取得
     ・管理栄養士…栄養士資格取得後に実務経験を積むなどで受験資格を得て、国家試験に
      合格することで取得
  3.  栄養指導対象者
     ・栄養士…健康な人      
     ・管理栄養士…健康な人や病気の人、特別な配慮が必要な人など
  4. 仕事内容
     ・栄養士…給食などの献立作成・調理や、健康な人に対する食生活のアドバイスなど
     ・管理栄養士…栄養士の仕事内容のほかに、病気の人や特別に配慮が必要な人のための
      栄養指導や給食管理など

    このように、管理栄養士は栄養士の上位資格で、高度な専門知識と技能が求められます。
    活躍の場も広く責任も大きくなるため、管理栄養士の方が栄養士よりも平均年収が
    高いとされています。

栄養士の資格は独学・通信講座のみでは取得できない

栄養士の資格は独学や通信講座では取得できません。最短でも2年間は昼間に学校に通い、
必要な課程を履修して卒業する必要があります。
ただし、学校に通う「時間」と「お金」さえ確保できれば、誰でもチャレンジできる資格です
実際に、主婦や違う業種で働いていた社会人で取得した方はたくさんいます。
ここでは、栄養士を取得する方法を解説します。

 栄養士の資格の取得条件

栄養士になるには、厚生労働大臣から栄養士養成施設として指定認可された学校(昼間部のみ)
に入学し、その課程を履修して卒業しなければなりません。
栄養士養成施設には、修業年限4年の大学や、修業年限2~3年の短大、修業年限2~4年の
専門学校があります。それぞれの施設の特徴については、後述します。

栄養士の資格の取得の流れは以下の通りです。

  1. 栄養士養成施設に入学
  2.  施設で必要な単位を取得し、2~4年で卒業
  3. 都道府県知事に栄養士免許を申請
  4. 栄養士資格取得

栄養士養成施設

先述の通り、栄養士の資格を取得するには、栄養士養成施設で所定の課程を修了しなければ
なりません。
栄養士養成施設は、「大学」、「短大」、「専門学校」の3種類があります。
時間や費用を抑えたい方は、2年制の短大や専門学校がおすすめです。
時間や費用に余裕があり広く深く学びたい方は、4年制の大学や専門学校がおすすめです。

ただし、大学や短大は、受験がかなりの負担になり、入学後は一般教養科目の単位を取得する
必要もあるため、注意が必要です。

 大学

4年制の大学は、短大や専門学校と比べて学校の選択肢が少ない上に、学費や時間もかかります。
しかし、一般教養や語学なども幅広く学べるため、「食や栄養以外の勉強もガッツリしたい」
という方にはおすすめです。

また、栄養士だけでなく、管理栄養士や栄養教諭のための課程がある大学も多いです。
さらに、4年制大学を卒業するとことで、食品メーカーの研究開発職や行政栄養士など、
職業選択の幅が広がります。

 短大

短大は、通常は2年または3年制で、栄養士になるための基本的な知識から必要な技術まで
修得することができます。4年制大学と同じく一般教養なども学ぶことができますが、時間と
費用を抑えることができる点がメリットです。

栄養教諭免許状も取得できる学校もありますが、大学と比べると時間的な余裕はないので注意が
必要です。また、卒業後は食品メーカーやさまざまな業種の一般職に就く方もいます。

 専門学校

専門学校は2~4年制で、大学や短大よりも栄養士の育成に特化しており、より実践的な
カリキュラムが組まれていることが多いです。
さらに、学校ごとにカリキュラムや設備、実習内容などが大きく異なり、独自の色を出しています。
気になる学校があれば、資料を取り寄せたりWebサイトをチェックしたりしましょう。
また、4年制の専門学校では管理栄養士を目指せるところもあります。
さらに、専門学校は就職サポートがしっかりしている場合が多いです。

栄養士養成施設で学べる内容

栄養士養成施設の授業では、具体的にどのような内容を学べるのでしょうか。
特に専門学校では、学校ごとに独自のカリキュラムを打ち出していることが多いです。
ここでは、栄養士にとって最低限必要な知識と技術を身に付けるために、どの養成施設でも
行っている授業内容の一部をご紹介します。

 栄養指導論

「栄養指導論」では、対象者の栄養状態や食生活、食環境、食習慣といった情報を収集・分析し、
総合的に評価・判断する技能を養います。
授業では、栄養指導に関する法令や指標から、ライフステージや健康障害、特定給食施設に
合わせた栄養指導の方法などを学びます。
また、栄養士と相談者の役になり、食事を評価して栄養指導・食事指導の技術習得を目指す
実践型の授業なども行うことがあります。

 臨床栄養学

「臨床栄養学」では、食生活と疾病との関連性などについて学習します。
授業では、臨床栄養の意義や栄養アセスメントの方法、栄養補給法など、臨床の場で必要な
栄養学の素養を身につける内容を学習します。また、さまざまな疾病ごとの原因や症状、診断、
治療、栄養評価、食事療法なども学びます。
さらに、乳幼児から高齢者まで、さまざまな世代に合わせた献立を考えたり、実際に
調理したりします。

 食品加工学

「食品加工学」では、さまざまな加工食品の製造や長期保存の方法などを学びます。
授業では、食品の保蔵、加工方法、包装、最新技術、安全性、食品衛生、保健機能食品、
特別用途食品、表示と規格などを学びます。
身近にある加工食品全般について、幅広く学べる内容です。
また、学校によっては、パンや缶詰、ソーセージ、発酵食品などを実際に製造する
実習授業もあります。

 給食管理

「給食管理」では、学校内の模擬の給食施設を利用し、給食サービス提供に関する技術を
修得するための実習を行います。
食事の計画から材料の検収、下処理、調理、盛り付け、配膳、洗浄までを、衛生的かつ効率的に
行う能力を身につけることが目的です。
また、校外での実習を行う場合は、学校や病院、福祉施設などの特定給食施設にて行います。
現場の栄養士の指導のもと、学生自ら給食業務に携わりながら、栄養士業務の実際を学ぶ
貴重な機会です。

 調理実習

「調理実習」では、調理器具の基本的な取り扱いから、さまざまな調理技術を修得します。
学校によっては、日本料理や西洋料理、中国料理の技術を本格的に学べる場合もあります。
また、乳児期や高齢期などのライフステージに合わせた食事や、糖尿病などの病態別の
治療食などの実習も行います。
さらに、学校や病院、福祉施設などでの対象者別の献立作成や調理技術も学びます。
栄養バランスを考慮しながら、おいしい食事を提供するための献立作成力が重要となります。

まとめ

今回は、栄養士という資格について解説しました。

  • 仕事内容は、「食生活のアドバイス」や「給食などの献立作成・調理」など。
  • 管理栄養士は上位資格で、病気の人などへの栄養指導なども行う。
  • 独学や通信での取得はできない。2~4年間栄養士養成施設に通い、卒業後に
    都道府県知事に申請して取得する。
  • 栄養士養成施設には、大学や短大、専門学校があり、修業年限やカリキュラムなどが異なる。
  • 授業は「栄養指導論」、「調理実習」などで、栄養士に必要な専門知識や実践的な技術を
    しっかり学べる。

    高齢化や健康志向の高まりから、栄養士の資格は今後さらに需要が拡大すると見込まれます。
    食で人々を健康にしたいと考えている方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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