ケアマネになるためには?受験資格や難易度・取得方法を徹底解説!

2024.10.16

「ケアマネになる方法が知りたい」という方におすすめの記事です。
高齢化が進む日本では、介護が必要な高齢者は増加し続けています。
介護が必要な人それぞれに合った介護サービスや支援の提案をするケアマネは、今後さらに
需要が拡大することが見込まれています。

この記事では、ケアマネ試験の受験資格や試験内容・難易度、試験合格後の流れについて
詳しく解説します。ケアマネに興味がある人は、参考にしてください。

ケアマネ(介護支援専門員)の試験とは?

ケアマネ(ケアマネジャー、介護支援専門員)は、要支援・要介護認定を受けている高齢者や
障がい者など、日常生活に支援が必要な人たちのケアマネジメントを行う専門職です。
ここでは、ケアマネになるための試験の概要を簡単に解説します。

 正式名称は介護支援専門員実務研修受講試験

ケアマネになるためには、勤務地または住所地の都道府県で年1回実施される
ケアマネ試験(正式名称「介護支援専門員実務研修受講試験」)に合格する必要があります。
その後、「介護支援専門員実務研修」を修了後に各都道府県に登録申請し、「介護支援専門員証」を
交付してもらうことで、ケアマネの資格を取得できます。

2000年4月の介護保険制度の導入に伴い創設された、各都道府県知事の登録を受ける公的資格です。
ケアマネ試験は、受験資格自体が厳しく、試験問題も難しいうえに合格率も低いことから、
難関資格とされています。
実はケアマネは国家資格ではありません。後述する「受験資格」の一つが
「特定の国家資格を保有して実務経験があること」なので、混同されがちです。

ケアマネ試験の受験資格

ケアマネになるには、まずはケアマネ試験を受験して合格しなければなりません。
ケアマネ試験を受けるには、一定の受験資格を満たす必要があります。
受験資格は2018年に変更があり、現在は次の①、②のいずれかを満たす人が対象です。

  1. 特定の国家資格に基づく実務経験がある人
  2. 施設などでの相談援助業務の実務経験がある人
    以下、それぞれについて解説します。

 特定の国家資格を保有し、実務経験がある人

「特定の国家資格」とは、以下のいずれかです。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、
理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、
歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、
栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士
これらの資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上、かつ、従事日数が900日以上であれば、
受験資格を得られます。

 介護施設などで指定の相談援助業務に従事している人

「相談援助業務」とは、介護保険法などの法律に基づく以下の業務です。

・特定施設入居者生活介護の生活相談員
・地域密着型特定施設入居者生活介護の生活相談員
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の生活相談員
・介護老人福祉施設の生活相談員
・介護老人保健施設の支援相談員
・介護予防特定施設入居者生活介護の生活相談員
・計画相談支援の相談支援専門員
・障がい児相談支援の相談支援専門員
・生活困窮者自立相談支援事業の主任相談支援員

これらの相談援助業務への従事が通算5年以上、かつ、従事日数が900日以上であれば、
受験資格を得られます。
自分の業務が該当するかわからない方は、試験実施団体の担当部署に問い合わせてご確認ください。

ケアマネの試験内容は?

ケアマネの試験内容は、以下のようになっています。

  1. 問題形式
    5つの選択肢から正しいものを複数選んで解答する五肢複択式で、マークシート方式
  2. 試験時間
    120分(点字受験者は180分、弱視等受験者は156分など、身体機能に障がいがある場合
    などは別途規定)
  3.  問題数
    60問(「介護支援分野」から25問、「保健医療福祉サービス分野」から35問)
  4. 合格基準
    各分野で70%の正答率が目安(難易度に応じた調整あり)。
    ケアマネ試験は年に1回、10月中旬~下旬頃に実施されます。
    申込期間や受験手数料は、都道府県によって大きく異なります。遅くとも、
    受験する年の5月頃までには試験要項を確認し、「実務経験証明書」や「資格証明書」などの
    必要書類を早めに準備してください。

ケアマネ試験の合格率や難易度は?

「ケアマネ試験は難しい」と聞くことが多いと思います。
それでは、実際の合格率や難易度はどうなっているのでしょうか。
ここでは、公表されている合格率と難易度が高いとされている理由について解説します。

 合格率

厚生労働省が公表しているデータによると、直近6回分のケアマネ試験の合格率は
以下のようになっています。
なお、2018年は受験資格が厳格化され受験者数が大幅に減少した年で、
合格率も過去最低となりました。

・第21回(2018年)  10.1%
・第22回(2019年)  19.5%
・第23回(2020年)  17.7%
・第24回(2021年)  23.3%
・第25回(2022年)  19.0%
・第26回(2023年)  21.0%

近年は、合格率が20%前後で推移しています。
この合格率だけを見ても、ケアマネ試験は立派な「難関資格」です。

 難易度は高いとされている

上述の通り、ケアマネ試験は「合格率20%前後」で、これだけでも難易度が高い資格といえます。
それ以外で、難易度が高いとされる理由をご紹介します。

  1.  受験資格が厳しい
    試験を受けるためには、「特定の国家資格に基づく実務経験5年以上」または
    「施設などでの相談援助業務の実務経験5年以上」のいずれかを満たす必要があります。
    国家資格「介護福祉士」の受験資格が「実務経験3年以上」などであることを考えても、
    厳しいことがわかると思います。
  2. 試験問題の難易度が高い
    解答形式は、5つの選択肢の中から複数の正解を選ぶ「五肢複択式」です。
    他の資格試験で多い「五肢択一式」と比べて、かなり正確な知識が必要で解答に
    時間もかかります。
    また、出題範囲も非常に広く、介護保険制度や医療、福祉サービスなどに関して
    幅広く深い知識が問われます。
  3. 勉強時間の確保が難しい
    ケアマネ試験を受ける方は、ほとんどが働きながら勉強をしています。
    職場によっては、残業が多かったり夜勤があったりと、勉強時間を捻出することが
    難しいこともあります。

ケアマネ試験合格後の流れ

ケアマネ試験に合格しても、すぐにケアマネとして働けるわけではありません。
所定の実務研修を修了し登録申請をして、介護支援専門員証を発行してもらう必要があります。
さらに、ケアマネの資格取得後は5年ごとの更新が必要です。
以下、ケアマネ試験合格後の流れを見ていきます。

 介護支援専門実務研修の受講

試験に合格した後に、各都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修」を受講する必要があります。試験に合格すると受講の案内が来るので、必ず確認してください。
実務研修は、講義・演習(87時間)と、居宅介護支援事業所での実習(3日間)です。
講義・演習では、ケアマネジメントを行ううえで必要な専門知識・技術などを習得します。

実習では、介護サービスのアセスメントやケアプランの作成、チームマネジメントなどを、
実践により習得します。
実務研修の最後には「修了評価」が実施され、研修内容が身についているかチェックされます。
これに合格したら「研修修了証明書」が交付されます。

 各都道府県の介護支援専門員資格登録簿への登録申請

介護支援専門員実務研修を修了して研修修了証明書を受け取ったら、各都道府県の
「介護支援専門員資格登録簿」へ登録申請を行います。
実務研修修了日から3ヶ月を経過すると登録できなくなるので、注意が必要です。
申請方法は都道府県ごとに異なりますが、例えば以下のような書類を提出する必要があります。

・申請書
・研修修了証明書の写し
・写真2枚
・住民票
・手数料納付書の領収証や都道府県の収入証紙

 介護支援専門員証の交付申請

ケアマネとして働くには、都道府県知事が発行する「介護支援専門員証」の交付申請が必要です。
介護支援専門員資格登録簿への登録申請と同時に行えるので、併せて申請してください。
介護支援専門員証が送付されたら、堂々と「ケアマネジャー」を名乗って仕事をすることができます。

ただし、介護支援専門員証の有効期間は5年間です。
「有効期間満了日」を確認し、5年ごとの更新を忘れないでください。
ケアマネの業務を行っている方が資格を失効したまま業務を続けた場合は、本人だけでなく
事業所にも罰則が科される可能性があります。
本人への罰則は、まず速やかに更新を行うよう指導が入り、その指導を無視した場合は
「登録抹消」となります。
近年はこのように登録抹消前に指導が入るようになり、以前と比べて緩和されました。

まとめ

今回は、ケアマネ試験について解説しました。

  • 試験を受けるには、「特定の国家資格に基づく実務経験5年以上」または
    「相談援助業務の実務経験5年以上」という受験資格が必要。
  • 出題形式は五肢複択式で、60問を120分で解答。
  • 合格率20%前後で難易度は高い。
  • 試験合格後に実務研修を修了し登録申請をして、介護支援専門員証の交付を受けることで
    ケアマネとして働くことができる。

ケアマネは、今後ますます必要とされるやりがいのある仕事です。
この記事を読んでケアマネに興味を持った方は、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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