国民年金で入れる施設はある?施設の種類や公的補助制度を徹底解説

2024.10.17

将来介護施設に入居したいと検討している人は多いでしょう。
介護施設に入居したいときに問題となるのが、費用をどう捻出するかです。
将来の収入が国民年金のみの場合、特に費用は気になります。

そこで今回は国民年金だけでも入居できる施設から、活用できる制度などについて紹介します。
この記事を参考に介護施設への入居を検討してみてはいかがでしょうか。

国民年金入れる施設はある?

国民年金のみ支給される場合、月の支給額はそう多くはないため施設に入居できるか不安になります。
しかし安心してください。公的施設であれば国民年金のみであったとしても入居が可能です。
ここでは国民年金の月の平均支給額から、入れる可能性のある施設についてみていきます。

 国民年金の平均支給額

国民年金の平均支給額は年々増加しています。
2020年度の平均支給額が56252円であるのに対し、2021年度は56368円であるため微増ですが
支給額は増えています。

参考として2021年度の厚生年金の平均支給額をみていきます。
143965円であるため約3倍前後になります。
厚生年金と比較すると、国民年金の支給額の少なさが分かります。
約56000円で支払える介護施設を探さないといけないため、入居候補を見つけるのも大変なことが
分かります。
次の項目で国民年金のみで入居可能の施設について触れていきます。

 公的施設を選べば国民年金で入れる可能性がある

介護施設は公的施設と民間施設とに分けられます。
それぞれ提供する介護サービスは異なりますが、公的施設と民間施設には大きな違いがあります。
それは費用面です。公的施設は民間施設よりも安い価格で利用できます。

しかし公的施設は介護・医療ケアの提供を重点的に行っているため、入居可能なのが要介護者であり
介護不要の人が利用することはできません。
また、安くで利用できることから入居希望者は多く、順番待ちの施設が多いのが現状です。

国民年金の支給範囲内で公的施設は利用できる可能性がありますが、順番待ちなどで入居までに
時間がかかると考えておく必要があります。

公的施設の種類の概要と費用

公的施設はいくつか存在し、その費用など各施設により異なります。
ここでは主な公的施設とその費用についてみていきましょう。

 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは社会福祉法人などが運営している公的施設です。
入居には条件を設けており、要介護度3~5の人を対象としています。
入居にかかる入居一時金は0円であり、収入の少ない人には月額利用料の軽減制度など
活用できるものがあります。
民間施設よりも安くで利用できることから、入居希望所が多く入居待ちの人が多くいる場合が
多いです。
なお料金は居室タイプと要介護度で異なり、要介護度3で従来型個室の場合99840円かかります。

 介護法人保健施設

介護老人保健施設は在宅復帰または在宅療養支援を行うことを目的とした施設です。
介護老人保健施設では3か月ごとに入居継続判定を行っていることから、長期入居を前提と
している人にはおすすめできません。

そのため長期入居を希望する人は、他の施設への転居を考えておく必要があります。
費用は初期費用無料、月額利用料88000~151000円が相場です。
月額利用料は特別養護老人ホームと同等か少し高いと思っておいた方がよいでしょう。

 ケアハウス

ケアハウスは身寄りのない人のために安価で生活の場を提供した「軽費老人ホーム」の一つであり、
自治体の助成により運営されています。
施設によっては入居一時金0円のところもあるため、入居初期費用を安く抑えることができます。
ケアハウスの費用は初期費用0~300000円、月額利用料は92000~131000円です。

注意点としてケアハウスは数が少ないため入居倍率が高い点があげられます。
ケアハウスは「一般型」と「介護型」の2種類があり、「介護型」では施設内で介護サービスの提供を
受けられます。
「一般型」は心身の状態が悪化した場合、他の施設へ転居の可能性もあるため注意しておきましょう。

 介護医療院

介護医療院は要介護1以上で利用でき、療養を必要とする要介護高齢者に対し長期的な医療や介護、
リハビリテーションなどを提供する施設です。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設と比較すると、医療の必要性や入居者の平均年齢が
高いことが特徴です。
そのため長期医療や看取りにふさわしいケア体制が整っています。
また認知症の受け入れや看取りともに対応できるのが特徴です。
費用は初期費用無料、月額利用料は60000~170000円です。

国民年金だけで費用を賄えない時の公的補助制度を紹介

施設入居を検討していたとしても、国民年金のみの収入で費用を賄えるかは、心配な問題です。
しかし、公的補助制度を活用することで国民年金のみの収入でも施設入居は可能となります。
ここでは主な公的補助制度についてみていきましょう。

 自治体や社会福祉法人の利用者負担軽減制度

各自治体などでは高齢者の生活支援のための助成制度を独自に設けていることがあります。
しかし助成制度を受けるには収入や資産が一定以下である、住民税非課税世帯であるなどの条
件が設けられている場合が多いです。
たとえば横浜市では、特養や老健などのユニット型個室の居住費を月額5000円程度助成など、
自治体独自の助成制度を設けている自治体は横浜市以外にもたくさんあります。
自身の住んでいる自治体に助成制度がないか、自治体窓口で確認してみましょう。

 特定入居者介護サービス費

特定入居者介護サービスとは、所得の低い人を対象とした補助制度。
特養や老健、介護医療院などの公的施設に入居する際に利用でき、住居費や食費を安く抑えることが
できます。
特定入居者サービスを利用できる対象者は決まっており、第1から第4段階に分けられます。

利用できるのは生活保護世帯や住民税非課税世帯、それ以外に分けられるため自身が
どこに該当しているか確認できるため、サービス活用を検討しているときは一度調べてみると
よいでしょう。
申請は各自治体の窓口でできるため、申請の際にどの段階になるか確認することもできます。

 介護保険料の減免制度

介護保険料の減免制度は、各自治体で定められた条件を満たすることで減免措置を受ける
ことができ、最大で7割程度安くなることがあります。
主な条件は次の通り。

  • 低所得者で生活が困難な人
  • 入院や失業により世帯の生計維持者の所得が前年と比較して著しく減少した人
  • 災害により、住宅や家財に3割以上の損失を受けた人

    また申請の際は条件により書類が異なるため、減免制度を利用する際は各自治体の窓口で
    確認しましょう。

 高額介護サービス費・高額療養費・高額介護合算療養費制度

高額介護サービス費制度とは、1ヶ月の介護サービス費の自己負担額が限度額を超えた場合、
超えた部分が戻ってくる制度のことで、対象者には「高額介護サービス費支給申請書」が
送られてきます。
申請は各自治体の窓口で行えます。
高額医療・高額介護合算制度は、同一世帯で支払った介護保険サービス費と医療費の自己負担額の
合計額が基準を超えると、超えた分の金額が戻ってくる制度です。
合算期間は決まっており、8月1日から翌年の7月31日です。

ただし同一世帯であったとしても夫が後期高齢者医療保険で妻が国民健康保険の場合、加入する
保険の違いから合算はできません。
また基準を500円以上超えない場合は申請の対象外となります。
こちらも各自治体の窓口で申請ができます。

 生活保護の受給

老人ホームへの支払いが困難な場合は、生活保護の受給も視野に入れてみましょう。
しかし、すべての介護施設が生活保護受給者を受け入れているわけではありません。
受け入れ可能施設は生活保護法による指定を受けた施設のみであるため、現在入居中の施設を
退去しなくてはいけないケースも出てきます。

入居を希望する際はケースワーカーやケアマネジャーなどに相談し、受け入れてくれる介護施設を
探してもらいましょう。
他にも老人ホーム紹介センターでも、施設を探してもらうことができます。

 生活福祉資金の貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、低所得世帯に対して生活の安定や自立を図ること目的とした
社会福祉協議会を窓口として、必要な貸付を行う制度のことをいいます。
生活福祉資金の貸付を受けることができる世帯は決まっており、以下の世帯を対象としています。

  • 住民税が非課税もしくは均等割課税程度の低所得者世帯(ただし収入基準有)
  • 失業等により所得が減少し、現在低所得者世帯と同程度であると認められた世帯
  • 身体障害者、知的障害者または精神障害者の手帳の交付などを受けている人がいる世帯
  • 日常生活上介護を要する65歳以上の高齢者がいる世帯(収入基準有)

    また借入に関しては事前相談が必要であるため、必要な際は早めに相談に行きましょう。

まとめ

国民年金のみの収入の場合、介護施設への入居は厳しいと思う人もいますが、活用できる制度を
利用することで国民年金のみであったとしても入居可能です。
特に公的施設は安価であるため、入居に適していますが入居条件などもあるため入居前に確認が
必要です。

施設に入居するには早めに行動することで入居しやすくなるため、入居を検討する際は早めに
行動していきましょう。

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