高額介護サービス費とは何か?対象となるサービスや申請方法も解説

2024.11.14

介護サービスを利用している際に、費用がかさんで自己負担額が高額になる場合があります。
そういった場合に知っておきたいのが、”高額介護サービス費”というものです。

今回、この記事では高額介護サービス費はどのようなもので、どう言うときに活用できるか、
その仕組みや申請の仕方など、高額介護サービス費について詳しく紹介していきたいと思います。

高額介護サービス費とは

介護サービスを利用した場合、費用面の負担が大きくなってしまう場合があります。
その際の経済的負担を軽減してくれるのが、高額介護サービス費という制度です。
この章では、高額介護サービス費の制度の概要等について詳しく紹介していきたいと思います。

 制度の概要

高額介護サービス人は、介護保険サービスを利用した際に、自己負担分がある一定の金額を
超えた場合に、その超過分を支給する仕組みです。
この制度は、収入に応じて支払う額が決められており、自己負担の上限を超えてしまった場合に
支援を受けることができます。

高額な介護サービスを利用した際でも、経済的な負担を軽減して、必要なサービスを安心して
受けられるようにするために設けられています。
この制度を受けるためには、申請が必要となります。

 高額介護サービス費の自己負担額の上限額は所得により変わる

高額介護サービス費の自己負担上限額は、所得に応じて段階的に決まっています。
所得ごとの上限額は次のようになっています。

  • 所得690万円以上の場合・・・140,100円
  • 所得380万円以上690万円未満の場合・・・93,000円
  • 住民税課税している人で所得380万円未満・・・44,400円
  • 住民税非課税・・・24,600円
  • 住民税非課税のうち個人の所得80万円以下・・・15,000円
  • 生活保護の世帯・・・15,000円
    上記を参考に、制度の利用を考えている場合には、どの段階の上限額が適用されるかを
    確認しておきましょう。

 高額介護サービス費の上限は世帯で合算可能

高額介護サービス費の自己負担上限額は、原則として利用者個人ごとに適用されますが、
同世帯に複数の介護保険サービスの利用者がいる場合には、世帯全体で合算することが可能です。

この制度は、生計を共にする世帯の家族内に複数の介護が必要な人がいる場合でも、負担を
軽減するための配慮がなされています。
合算することにより、個人では上限額に到達しない場合でも、合算することで上限額を超え、
制度を利用できたり、より多くの払い戻しを受けられたりできます。

高額介護サービス費の対象となるサービスは?

高額介護サービス費の対象となるのは、介護保険が適用されるサービスすべてではなく、
対象とならないサービスもあります。
そこで、ここからは対象となるサービスについて、居宅・介護施設サービス・地域密着型サービスの
3つに分けて詳しく紹介していきたいと思います。

 居宅サービス

  • 居宅サービスで高額サービス費の対象となるのは主に次のようなものです。
    ・訪問介護・・・訪問介護職員が訪問し、日常生活の介護や、家事援助を行う。
    ・訪問看護・・・看護師が訪問し、医療処置や相談・指導を行う。
    ・訪問リハビリテーション・・・理学療法士や作業療法士などが訪問し、リハビリテーションを
    行う。
    ・通所介護(デイサービス)・・・日帰りで施設に通い、介護やレクリエーションなどを提供する。
    ・通所リハビリテーション(デイケア)・・・日帰りで施設に通い、理学療法士や作業療法士など
    がリハビリテーションを提供する。
    ・短期入所生活介護(ショートステイ)・・・短期間、施設入所し、介護やレクリエーションを
    提供する。
    ・福祉用具貸与・・・福祉用具の貸し出しを行う。
    ・居宅療養管理指導・・・医師や薬剤師が、健康管理や服薬指導を行う。

 介護施設サービス

  • 介護施設サービスで高額サービス費の対象となるのは主に次のようなものです。
    ・介護老人福祉施設サービス・・・特別養護老人ホームで、提供される食事、入浴、
    排泄など介護や機能訓練、健康管理などのサービス。
    ・介護老人保健施設サービス・・・介護老人保健施設で、提供されるリハビリテーションや
    看護、介護などのサービス。
    ・介護療養型医療施設サービス・・・介護療養型医療施設で、提供される医療と介護の
    両方のサービス。
    施設で提供される食費代や滞在費、日常生活費は対象外になるので注意が必要です。

 地域密着型サービス

  • 地域密着型サービスで高額サービス費の対象となるのは主に次のようなものです。
    ・小規模多機能型居宅介護・・・訪問介護・通所介護・短期入所を組み合わせて利用者の
    状態に応じて対応するサービス。
    ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・・・認知症の方が少人数で共同生活を
    送りながら、日常生活の支援を行うサービス。
    ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護・・・訪問介護と訪問看護を一体的に提供し、
    24時間体制で提供するサービス。
    ・夜間対応型訪問介護・・・夜間に訪問介護を提供するサービス。
    ・地域密着型特定施設入居者生活介護・・・特定施設に入居している方に、日常生活上の
    支援や、機能訓練、健康管理などを行うサービス。
    提供される食費代や滞在費、日常生活費は対象外になるので注意が必要です。

高額介護サービス費の対象外となるもの

介護保険に該当するサービスがすべてにおいて高額介護サービス費の制度を使えるわけでは
ありません。
対象外となるものは主に次のようなものがあります。

  • 杖やポータブルトイレなどのような特定福祉用具の購入
  • 手すりや段差解消などの住宅改修費
  • 施設サービスにおける居住費・食費
  • 介護保険対象外のサービス
  • 要支援者への介護サービスである介護予防サービス
    上記のものが高額介護サービスの対象外です。施設サービスの場合、対象のものと対象外のもの
    があるため、注意しましょう。

高額介護サービス費の申請方法を紹介

介護サービス費の経済的負担を軽減してくれる高額介護サービス費ですが、上限額を超えた分の
払い戻しを受けるには申請が必要です。
ここからは、高額介護サービス費を受けるための申請手続きについて、詳しく説明していきたいと
思います。

 自治体から送付される申請書で申請

一般的には、高額介護サービス費の支給対象となる場合には、担当の自治体から自動的に送付
されてきます。
指定された期日までに必要書類と共に返送すれば手続きは完了です。
申請後以降は支援が必要な月に自動的に支給されるようになります。
ここでの必要なものと申込期限ついてはこの後詳しく説明します。

ほとんどの場合は、自動的に送られてきますが、もし明らかに超えているのに届かない場合には、
自治体の窓口に問い合わせましょう。

 申請時に必要なもの

手続きする際には、自治体から送られてきた高額介護サービス費申請書、介護保険被保険者証、
印鑑、振込口座情報を示すもの(通帳など)が必要です。
振込口座に対象者以外の名義にしたい場合には、委任状が必要になります。

また、状況によってはマイナンバーが確認できる書類や、被保険者がなくなった場合には相続人で
あることを証明する書類の提出を求められる場合もあります。
提出が必要な書類は自治体によって異なる場合があるため、十分に確認を行って申請しましょう。

 高額介護サービス費には申請期限がある

高額介護サービス費には申込期限があります。
一般的には、介護サービスを利用した月の翌月1日から2年以内に手続きを完了させなければ
なりません。
この期限を過ぎてしまうと、払い戻しを受けることができなくなってしまいます。

そのため、自動的に高額介護サービス費の案内が届いた場合には、できるだけ早く手続きを
進めていきましょう。
もし、期限が近づいている際に、手続きが終わっていないことに気付いた場合には、担当窓口に
相談して遅れないように手続きを行いましょう。

まとめ

高額介護サービス費は、介護サービス費の経済的負担を軽減してくれます。
通常は自動的に案内文が届きますが、超えているのに届かない場合には、担当窓口に相談しましょう。
その際には、介護保険の適用でも高額介護サービス費の対象外のサービスもあることに
注意しましょう。
さらに、高額介護サービス費の申請には、申請期限があります。
2年間ありますが、手続きを怠らないように案内が届いたら、すぐに手続きをするようにしましょう。

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