年代別の血圧の平均値はいくつ?測定方法や正常値に保つためのポイントも!

2024.11.14

40代以降は特に血圧が高くなりやすく、注意が必要です。
一般的に、血圧は年齢が上がるほど高くなる傾向にあります。
高血圧はさまざまな病気の原因になるため、血圧は身体の健康を知るバロメーターといわれています。

本記事では、高血圧・低血圧の基準値や年代別の血圧の平均値、血圧を正常に保つためのポイントに
ついて解説します。
高血圧の予防・改善のために、どのように生活習慣を見直したらいいのかが分かる内容です。

血圧とは?

血圧とは、血液が血管の内壁を押す力のことです。
心臓が収縮して血液を強い力で押し流すときの血圧を「収縮期血圧(最高血圧)」、
心臓が拡張しているときの血圧を「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。
以下、血圧の正常値や高血圧と低血圧の基準値について解説します。

 血圧の正常値

血圧の正常値とはどのくらいなのでしょうか。
血圧には、医療機関で測定した場合の「診察室血圧」と、自宅で測定した場合の「家庭血圧」があり、それぞれで正常値や高血圧の基準値が設定されています。
医療機関では緊張から「白衣高血圧」になりやすいため、診察室血圧の基準は家庭血圧より
少し高めです。
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」によると、「正常血圧」に分類されるのは、
血圧が以下の範囲の場合です。

  1. 診察室血圧
    「収縮期血圧 120mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 80mmHg未満」
  2. 家庭血圧
    「収縮期血圧 115mmHg未満」 かつ 「拡張期血圧 75mmHg未満」

 高血圧と低血圧の基準値

  •  高血圧の基準値
    「高血圧」に分類されるのは、血圧が以下の範囲の場合です。
    ① 診察室血圧
    「収縮期血圧 140mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 90mmHg以上」
    ② 家庭血圧
    「収縮期血圧 135mmHg以上」 かつ/または 「拡張期血圧 85mmHg以上」

    高血圧の基準に当てはまらなくても、正常血圧の範囲を超えている場合は、将来的に高血圧に
    なる可能性が高いです。
    また、正常血圧の人と比べて、脳卒中や心疾患などの発症リスクが高いので、後述する
    生活習慣の見直しをおすすめします。

  • 低血圧の基準値
    「低血圧」には、高血圧のような明確な基準はありません。
    一般的に、「収縮期血圧 100mmHg未満」の場合を低血圧とすることが多いです。
    高血圧と違ってあまり注目されませんが、心疾患などの病気が隠れている可能性もあります。
    また、めまいや立ちくらみなど、症状によっては日常生活に支障をきたすこともあります。

年代別の血圧の平均値はいくつ?

血圧は年齢とともに上昇する傾向があります。
その主な原因は、血管の老化により弾力がなくなって硬くなる動脈硬化です。
血液が流れにくくなって心臓はより強い力で押し出そうとするため、収縮期血圧が上がりやすく
なります。

このセクションでは、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」を参考に、
年代別・男女別の血圧平均値をご紹介します。
50代までは男性よりも女性の方が低くなっていますが、60代以降では男女差は小さくなります。

 20代の血圧平均値

  • 20代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 115.3/67.7mmHg
    ・女性: 105.7/63.8mmHg
    男女ともに、平均値は正常血圧の範囲内に収まっています。
    なお、正常血圧の割合は、男性が69.6%、女性が84.9%で、高血圧の割合は、男性が7.1%、
    女性が0.0%です。

 30代の血圧平均値

  • 30代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 117.3/73.7mmHg
    ・女性: 107.9/66.3mmHg
    男女ともに、平均値は正常血圧の範囲内に収まっています。
    なお、正常血圧の割合は、男性が56.3%、女性が83.5%で、高血圧の割合は、男性が6.3%、
    女性が3.3%です。

 40代の血圧平均値

  • 40代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 125.8/81.3mmHg
    ・女性: 114.3/71.2mmHg
    男性の平均値は、収縮期血圧・拡張期血圧ともに正常血圧の範囲を上回っています。
    この平均値は、日本高血圧学会の分類では「高値血圧」に該当します。
    女性の平均値は、正常血圧の範囲内に収まっています。
    なお、正常血圧の割合は、男性が30.1%、女性が63.8%で、高血圧の割合は、男性が30.9%、
    女性が9.0%です。
    男女ともに、40代から血圧の平均値も高血圧の割合も急激に増加します。
    主に加齢による動脈硬化が原因とされていますが、女性の場合は更年期に女性ホルモン
    「エストロゲン」が減少することでも血圧が上がりやすくなります。

 50代の血圧平均値

  • 50代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 131.7/82.0mmHg
    ・女性: 123.7/75.4mmHg
    男性の平均値は、収縮期血圧・拡張期血圧ともに正常血圧の範囲を上回っています。
    この平均値は、日本高血圧学会の分類では「高値血圧」に該当します。
    女性の平均値は、収縮期血圧が正常血圧の範囲を上回っています。
    この平均値は、日本高血圧学会の分類では「正常高値血圧」に該当します。
    なお、正常血圧の割合は、男性が23.9%、女性が39.3%で、高血圧の割合は、男性が38.8%、
    女性が19.7%です。

 60代の血圧平均値

  • 60代の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 135.8/78.5mmHg
    ・女性: 131.0/76.7mmHg
    男女ともに、平均値は収縮期血圧が正常血圧の範囲を上回っています。この平均値は、
    日本高血圧学会の分類では「高値血圧」に該当します。
    なお、正常血圧の割合は、男性が13.5%、女性が20.6%で、高血圧の割合は、男性が39.1%、
    女性が29.9%です。

 70代以上の血圧平均値

  • 70代以上の男女別の血圧平均値(収縮期血圧/拡張期血圧)は、以下の通りです。
    ・男性: 135.8/73.1mmHg
    ・女性: 136.1/73.0mmHg
    男女ともに、平均値は収縮期血圧が正常血圧の範囲を上回っています。この平均値は、
    日本高血圧学会の分類では「高値血圧」に該当します。
    なお、正常血圧の割合は、男性が12.8%、女性が15.3%で、高血圧の割合は、男性が36.5%、
    女性が42.8%です。

血圧を正しく測るためのポイントを紹介

「家で血圧を測ると、毎回違う値が出る」という方も多いと思います。
血圧は1日の中でも大きく変動し、運動や食事、入浴、ストレスによっても、季節によっても
変動します。同じ条件で継続して測定することが重要です。
自宅で血圧を測定するときのポイントは、以下の通りです。

  • 朝と夜の1日2回、ほぼ同じ時間に測定し必ず記録する。
  • 快適な温度、静かな環境で測定する。
  • 毎回同じ腕で測定し、カフの位置は心臓と同じ高さにする。
  • ゆったりと座り、1~2分安静にしてから測定し、測定中は動かない。
  • 運動や食事、飲酒、喫煙の直後は測定を避ける。

血圧を正常に保つためのポイントは?

このセクションでは、血圧を正常に維持するために気をつけるべきポイントをご紹介します。
高血圧を長年放置すると、脳卒中や心臓病などの疾患の発症リスクが高まり、取り返しのつかない
事態になりかねません。
高血圧の改善や予防のためには、ご自身の生活習慣全般を見直すことが重要です。

 生活習慣の見直し

「食生活」、「運動」、「睡眠・休養」については、それぞれ後で詳しく解説するので、
それ以外の生活習慣である「飲酒」、「喫煙」の見直しについて解説します。

アルコールには血管を拡張させる作用があり、少量であれば一時的に血圧は下がります。
しかし、過剰な摂取により血圧は高くなります。
飲酒量の目安は、男性がアルコール換算で20~30ml/日(日本酒ならば1合、ビールならば
500ml程度)、女性が10~20ml/日以下です。
また、喫煙をすると、ニコチンにより血管が収縮するため血圧が上がります。
過度の飲酒も喫煙も、さまざまな疾患のリスクを高めることがわかっています。
適量の飲酒と禁煙が重要です。

 食生活の改善

まず、多くの専門家が口をそろえて言うように、塩分の多い食事に注意が必要です。
塩分を多く摂取すると、血中の塩分濃度を下げるために血液量が増え、血圧が高くなります。
日本高血圧学会では、「食塩の摂取量は1日6g未満」を推奨しています。
また、ナトリウム排泄効果があるカリウム・マグネシウム・カルシウムを積極的に摂取しましょう。
カリウム・マグネシウムは野菜や果物、海藻、豆類などに多く含まれ、カルシウムは乳製品や
小魚などに多く含まれます。
さらに、肥満の方は高血圧のリスクが高くなることが知られています。
特に、健康診断で「内臓脂肪が多い」と指摘された方は注意が必要です。
食べ過ぎに注意し、栄養バランスのとれた食事を心がけてください。

 適度な運動

適度な運動を行うことで、高血圧のリスクが下がるといわれています。
また、運動により高血圧のリスクを高める肥満の解消にもなります。
運動をすると、血圧は一時的に上がります。
しかし、筋肉に多くの酸素と栄養を運ぶために血管が広がったり、交感神経のはたらきが
低下したりして、血圧は下がっていきます。

運動としては、酸素をたくさん取り入れながら行う有酸素運動が適しており、1日30分程度を
毎日行うことが理想です。
有酸素運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、なわとび、エアロビクス
などがあります。
すでに血圧が高めの方は、医師に相談するなどして無理のない範囲で行ってください。

 十分な睡眠・休養

高血圧のリスクを下げるために、十分な睡眠と休養をとることも重要です。
起床後は交感神経が優位になって血圧が上昇していきます。
夕方から副交感神経が優位になって血圧は下がり、睡眠中に最も低くなります。睡眠不足により
自律神経が乱れると、高血圧を発症しやすくなります。

また、極度の緊張などのストレスは、交感神経を刺激し血圧の上昇を引き起こします。
さらに、ストレスは食生活の乱れや不眠、飲酒、喫煙などにもつながりやすく、
高血圧のリスクがさらに高まります。
睡眠障害やストレスは高血圧だけでなく、さまざまな疾患のリスクを高めます。
好きな趣味に没頭したり、ゆっくり入浴したりといった自分なりのリラックス方法を見つけることが
重要です。場合によっては、心療内科の受診なども検討してください。

まとめ

今回は、年代別の血圧平均値や高血圧対策などを解説しました。
・血圧の正常値は「120/80mmHg未満」、高血圧の基準値は「140/90mmHg以上」。
・加齢とともに血圧は高くなる傾向があり、その主な原因は動脈硬化。
・男女ともに、40代から血圧の平均値も高血圧の割合も急増する。
・50代までは女性の方が低いが、60代以降は男女差が小さくなる。
・自宅では、毎回同じ条件で測定することが重要。
・高血圧リスクを下げるには、「飲酒」、「喫煙」、「食事」、「運動」、「休養」などの
生活習慣見直しが必要。

高血圧を予防して今後の人生を健康に過ごせるよう、今のうちから生活習慣を改善しましょう。

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