障害高齢者の日常生活度(寝たきり度)という言葉をご存知でしょうか?
介護が必要な家族がいたり、福祉の仕事についている方であれば、耳にされたことがあるという方も
おられるのではないでしょうか?
しかし、一言に障害高齢者の日常生活自立度といっても具体的にはどのようなものかは難しい部分も
あります。
この記事では、そんな障害高齢者の日常生活自立度についてわかりやすく解説していきます!
目次
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは、障害高齢者が「自分でどのくらい身の回りの
ことができるか」を評価したものです。
この障害高齢者の日常生活自立度は「厚生労働省が定める基準」であり、色々な場面で利用されます。
まずは、その目的と活用するシーンについて解説していきます!
障害高齢者の日常生活自立度は、地域や施設などの現場において「障害を有する高齢者の
日常生活自立度を客観的かつ短時間に判定すること」を目的としています。
判定に際しては「◯◯をすることができる」といった「能力」の評価ではなく
「状態」とくに「移動に関わる状態像」に着目し、日常生活の自立の程度を「4段階にランク分け
することで評価するもの」となっています。
何の障害ももたない、いわゆる健常高齢者は対象としていません。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を活用するシーンは主に2つあり、「要介護度の認定調査」「介護サービスの計画書作成」でよく活用されます。
障害高齢者が介護サービスを受けるには「要介護認定」が必要です。
この、要介護認定の判定にあたり介護事業者やケアマネージャーが障害高齢者の日常生活自立度
(寝たきり度)を活用します。
また、在宅や介護施設などで介護を受ける際も、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を
参考にして、計画書(ケアプラン)が作られます。
客観的にどのくらいの支援が必要なのか、どのような方針で介護を進めるべきなのか判断するため
にも重要な情報なのです。
ここまで、障害高齢者の日常生活自立度の目的と活用場面について解説しました。
では、障害高齢者の日常生活自立度の評価基準はどのようになっているのでしょうか?
ここからは、障害高齢者の日常生活自立度の評価基準4つをそれぞれのランク別で解説していきます!
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価基準ひとつ目は「ランクJ」です。
ランクJの評価基準は、「何らかの障害を有するが、日常生活はほぼ自立しており、自分の力で
外出することができる」状態を指します。
また、ランクJの中にも1と2があり、「ランクJ−1は交通機関などを利用して外出する」
「ランクJ−2は隣近所へなら外出する」という状態で分けれれています。
簡単なイメージで説明すると、ランクJは、何らかの障害はあるが「ほとんどのことは自分でできる」「外出も一人でできる」というイメージです。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価基準ふたつ目は「ランクA」です。
ランクAの評価基準は「屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしでは外出しない」状態を
指します。
また、ランクAにも1と2があり、「ランクA−1は、介助により外出し、日中はほとんどベッドから
離れて生活する」
「ランクA-2は、外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている」という状態で
分けられています。
わかりやすい状態のイメージは「家のことであればほとんどできる」「外出は付き添いがないと
危険がある」というイメージです。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価基準3つ目は「ランクB」です。
ランクBの評価基準は「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主であるが、
座位を保つ」状態を指します。
ランクBにも「ランクB-1とランクB-2」があります。
「ランクB-1は、車いすに移り、食事や排泄はベッドから離れて行う」「ランクB-2は介助により
車いすに以上する」という状態で分けられています。
わかりやすい状態のイメージは「1日のほとんどをベッドで過ごし、屋内でも介助が必要」
「移動には車いすが必要だが座って食事や排泄ができる」というイメージです。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価基準4つ目は「ランクC」です。
ランクCの評価基準は「1日中、ベッドの上で過ごし、食事、排泄、着替えにおいて介助を要する」
状態を指します。
ランクCにも「ランクC-1 とランクC-2 」があります。
「ランクC-1 は、自力で寝返りをうつことができる、ランクC-2は自力では寝返りもできない」という
状態で分けられています。
わかりやすい状態のイメージは「一日中ベッド上で過ごしており、食事なども介助が必要であり、
排泄もおむつや尿器などを利用している」というイメージです。
ここまで、障害高齢者の日常生活自立度とは何か?その目的や活用シーン、4つの評価基準について
解説してきました。
ここからは、そんな障害高齢者の日常生活自立度を評価する際に気をつけなければならない
注意点について解説をしていきます!
判定が下りない場合は、受けられるサービスも変わってくるので、事前に確認しておきましょう!
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準は「何らかの障害を有する人」を対象として
定められているため、
障害のないいわゆる「健常高齢者は対象外」となります。
健常高齢者は、公的な介護施設などには入居できないため、障害高齢者の日常生活自立度
(寝たきり度)での評価が必要ないサービスを利用することになります。
評価の必要がないサービスには「自治体の支援サービス、介護予防・生活支援サービス事業、
高齢者見守りサービス」などがあります。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価にあたっての注意点ふたつ目は
「一定期間の状況を総合して判断する場合がある」です。
一定期間の状況を総合して判断する必要があると考えられる例としては、パーキンソン病など、
時間帯やその日の体調によって病気の状態にムラがある場合は、一定期間の状況を総合して
判断します。
薬を飲んでからの時間や体調で症状が軽くなったり、重くなったりするため、ある程度の期間を
観察します。
判断期間は一概には言えませんが、概ね一週間です。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)のランクや状態によって、必要なサポートが違うため、
利用できる施設も異なります。
介護サービスを利用するにあたり、その人の状態に合わせた施設選びがとても重要なため、
実際に施設を選ぶ前に把握しておきましょう!
特別養護老人ホームとは、略して「特養」と呼ばれることも多い公的な介護施設です。
介護が必要な方に介護サービスと生活の場を提供する施設です。
一般的な特別養護老人ホームは「広域型の特別養護老人ホーム」であり、その他にも、事業所の所在
している地域の方のみ利用でき、介護が必要になっても慣れ親しんだ地域で自分らしく過ごすことが
できることを目的とした、「地域密着型(新型)の特別養護老人ホーム」などもあります。
公的な施設なので、比較的費用が安く、看取り介護の対応もできます。
地域によっては、入居待ちが多く入居するまでに時間がかかる場合もあります。
介護付き有料老人ホームとは、介護スタッフが常駐しており、入浴や排泄などの介助や、洗濯や
掃除など生活支援サービスの提供もある施設です。
特別養護老人ホームは公的な施設ですが、介護付き有料老人ホームは「民間の介護施設」となります。
サービス内容や施設の設備については、施設ごとに特色があり費用にも幅があるのが特徴です。
サービスが充実している施設では、費用も高くなるため、あらかじめ予算を考慮してから選択
しましょう。
介護老人保健施設とは、略して「老健」と呼ばれることの多い施設で、主に医療的ケアやリハビリを
必要とする方が入居する施設です。
サービスの内容やイメージは特別養護老人ホームなどと似ていますが、明確な違いがあり、
介護老人保健施設は「医療やリハビリを行い自宅に復帰することが最終目標」であり、
「入居期間はおおむね3ヶ月〜6ヶ月程度と定められている」という違いがあります。
医師や看護師に加え、理学療法士などの各分野の専門職いるのも大きな特徴でしょう。
介護医療院とは、「医療サービス」と「介護サービス」の療法を提供している施設です。
長期にわたる療養や看取りにも対応しています。
対象者が「要介護1〜5」までと幅広い点も特徴です。
医療的なケアが必要で、特別養護老人ホームや老人ホームでは対応できない方に適した施設です。
介護医療院は2018年に4月に、厚生労働省が創設した施設で、医師が常駐しているため、医療的ケア
の質が高いことも大きな特徴です。
介護医療院と似た施設に介護療養型医療施設というものがありましたが、介護療養型医療施設は
2024年3月末で廃止され、この介護医療院に転換されました。
この記事では、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)について解説をしました。
障害高齢者の日常生活自立度は、認定調査やケアプランを作成する際などに活用され、
ランクJ、ランクA、ランクB、ランクCの4つのランクに分けられています。
ランクによって、適した介護サービスに違いがあるため、この障害高齢者の日常生活自立度を
しっかり把握した上で、適切な介護施設を選択しましょう!