住民上の世帯を分ける世帯分離とは?メリット・デメリットも解説!

2024.11.15

本記事では、住民上の世帯を分ける世帯分離について、メリットとデメリットについて
ご紹介していきます。

世帯分離とは、2人以上の親族が1つの世帯で生活しているのに、行政上の世帯を分ける手続きです。
世帯分離には、介護費用の負担軽減や国民健康保険料の減額などのメリットがあります。
しかし、世帯分離にはデメリットもあります。
この記事では、世帯分離のメリット・デメリットを詳しく解説します。

そもそも世帯分離とは?

世帯分離とは、2人以上の親族が1つの世帯に属している場合でも、行政上の世帯を分ける手続きです。
世帯分離をすると、住民票が別になり、国民健康保険や後期高齢者医療保険の世帯主、
介護保険の被保険者も別になります。

介護が必要な親と同居している場合や、相続税対策として検討されることがあります。
世帯分離を行うには、市区町村の窓口で手続きをする必要があります。
世帯分離を検討する際には、メリットとデメリットを十分に検討し、慎重に判断することが大切です。
以降で詳しく解説していきます。

世帯分離のメリット

この様に、世帯分離には介護等の費用に関する様々なメリットがあるのです。
これらのメリットは、介護を必要とする親と同居している場合でも享受できます。
以下では、世帯分離のメリットについて、詳しく解説します。

 介護費用の自己負担額を減らせる

介護サービス費用の負担軽減も、世帯分離のメリットの1つです。
世帯分離をすると、介護保険の利用者負担の上限が下がります。
また、介護サービス費の支払いを一時的に猶予したり、免除したりできる制度も利用しやすく
なります。
介護サービス費の負担軽減には、次の方法があります。

  • 介護保険の利用者負担を軽減する
  • 介護サービス費の支払いを一時的に猶予する
  • 介護サービス費を免除する
    介護保険の利用者負担を軽減するには、介護保険の利用者負担の軽減制度や免除制度を
    利用します。

 介護費用の自己負担額の上限が下がる

介護サービスを利用する際、費用の一部は利用者が自己負担することになります。
負担額は「高額介護サービス費制度」で上限が定められており、限度額を超えたときは申請により
払い戻しが可能です。

世帯分離をして親世帯の所得が下がると、それに応じて自己負担の上限額が下がり、介護費用の
節約につながります。
同じ世帯に介護サービス利用者が2人以上いる場合は、利用料を合算できます。
ただし、段階によって負担額の上限には大きな開きがあります。

介護サービスを利用している親が第1段階に該当する場合でも、所得のある子供と世帯を同一に
しているときの分類は、第4段階。
第1段階なら上限額15,000円のところ、第4段階では2017年8月以降、一律で44,000円です。

 介護保険施設の費用軽減

介護サービス費用の負担軽減も、世帯分離のメリットの1つです。
先述したように世帯分離をすると、介護保険の利用者負担の上限が下がります。
また、介護サービス費の支払いを一時的に猶予したり、免除したりできる制度も利用しやすく
なります。
介護サービス費の負担軽減には、次の方法があります。

  • 介護保険の利用者負担を軽減する
  • 介護サービス費の支払いを一時的に猶予する
  • 介護サービス費を免除する
    介護保険の利用者負担を軽減するには、介護保険の利用者負担の軽減制度や免除制度を
    利用します。

 後期高齢者医療制度の費用を抑えられる

後期高齢者医療保険料の減額も、世帯分離のメリットの1つです。
後期高齢者医療保険料は、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がり、後期高齢者医療保険料
も軽減される可能性があります。
世帯分離をすると、世帯の所得水準が下がる理由は、次のとおりです。

  • 親の課税所得が世帯の課税所得から除外される
  • 世帯人数が減る
    親の課税所得が世帯の課税所得から除外されることで、世帯の所得水準が下がります。

 国民健康保険が安くなる可能性がある

国民健康保険料の減額は、世帯分離のメリットの1つです。
国民健康保険料は、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がり、国民健康保険料も軽減される
可能性があります。
世帯分離をすると、世帯の所得水準が下がる理由は、次のとおりです。

  • 親の課税所得が世帯の課税所得から除外される
  • 世帯人数が減る
    親の課税所得が世帯の課税所得から除外されることで、世帯の所得水準が下がります。
    また、世帯人数が減ることで、世帯の均等割額も減ります。

世帯分離のデメリット

世帯分離には、介護費用の負担軽減や国民健康保険料の減額などのメリットがある一方で、
デメリットもあります。
デメリットには、次のようなものがあります。

  • 家族手当・扶養手当から外れてしまうことがある
  • 国民健康保険料が高くなる可能性がある
  • 手続きが煩雑になる
    世帯分離を検討する際には、メリットとデメリットを十分に検討し、慎重に判断することが
    大切です。

 国民健康保険料が高くなる可能性がある

世帯分離をすると、世帯主が2人になるため、平等割額は2倍になります。
そのため、世帯分離によって国民健康保険料が増額される可能性があります。
ただし、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がるため、国民健康保険料が減額される場合も
あります。
国民健康保険料の負担額が増額するかどうかは、次の2つの要因によって決まります。

  • 世帯の所得水準
  • 世帯人数
    世帯の所得水準が下がると、国民健康保険料は減額されます。
    そのため、世帯分離によって世帯の所得水準が下がれば、国民健康保険料が減額される可能性が
    あります。

 家族手当や扶養手当が使えなくなる

世帯分離をすると、親は子供の健康保険の扶養から外れます。
そのため、子供は健康保険料を自分で負担することになります。
子供が正社員として働いている場合、健康保険料は給与から天引きされるため、大きな負担には
なりません。
しかし、子供が自営業者やフリーランスとして働いている場合、健康保険料を自分で納付する必要が
あります。

健康保険料の納付額は、収入や家族構成によって異なります。
そのため、子供が自営業者やフリーランスとして働いている場合、健康保険料の負担額は大きく
なります。

 健康保険組合を利用できなくなる

世帯分離を行うと、扶養から外れるため、勤務先の健康保険組合のサービスを利用できなくなる
ことがあります。
健康保険組合では、被扶養者と被保険者が同居していることが条件になっている場合があります。
世帯分離により別居扱いとなるため、健康保険組合のサービスを利用できなくなります。
また、健康保険組合独自の付加給付なども受けられなくなります。

世帯分離をする前に、収入と支出費用をよく検討しておきましょう。
親を介護している場合は、会社の健康保険組合に扶養家族として入れた方が経済的な負担を
軽減できる場合もあります。

 役所での手続きが煩雑になる

世帯分離の手続きは、住民登録をしている市区町村の役所で行います。
本人、世帯主、同世一帯の人、委任状を持った代理人が「世帯変更届」を提出します。

窓口では口頭で世帯の生計や生活について確認されることがあるため、時間の余裕をもって手続きを
行う必要があります。手続き完了までには時間がかかるうえに、手続きそのものも煩雑です。

例えば、住民票を取得したり複数の書類に様々な事項を記入する必要があるので、かなり面倒
なのは事実です。
また、親が高齢で自力で手続きが難しい場合は代理で子が諸手続きをすることになりますが、
この場合「委任状」が必要となります。

世帯分離の手続き方法を紹介

世帯分離についてのメリットとデメリットを十分に理解できましたでしょうか?
十分に理解し検討することが重要です。
世帯分離を実施することになったら、次は手続きを進めましょう。
以下で、手続きの方法や注意点などを詳しくご紹介していきます。

 必要書類の準備

世帯分離の手続きに必要な書類は、市区町村によって異なります。
一般的には、次のようなものが必要です。

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 世帯変更届
    本人確認書類は、顔写真付きのものであれば1枚で問題ありません。
    顔写真付きの本人確認書類がない場合は、2枚以上の本人確認書類を提出する必要があります。
    世帯変更届は、市区町村の窓口で配布されています。
    また、市区町村のホームページからダウンロードすることもできます。
    世帯分離の手続きを行う際は、上記の書類を忘れずに揃えておきましょう。

 市区町村窓口への届け出

市町村の役所へ必要書類と世帯変更届を提出します。
届け出の記述に間違いがある場合訂正印が必要になりますので必ず用意しましょう。
また、世帯分離を行う前に費用負担が増えないかを確認しましょう。

国民保険に加入することで保険料が上がる可能性があり、扶養手当・家族手当も抜けることに
なります。
手続きに前に世帯分離後の料金を確認しましょう。

世帯主が病気や障害などにより、手続きが困難な場合は、委任状を作成して、同一世帯の親族や
友人に手続きを委任することができます。

 世帯分離の注意点は?

世帯分離の本来の目的は、保険料や自己負担額の軽減ではありません。
あくまで生計を別にすることで所得の少ないご家族の税負担を軽減することです。
また、ご両親の所得が低く世帯分離をすると生活が困難であると判断された場合も、申し出が
受理されないケースがあります。

そのほかに、世帯分離を申請した場合は重要事項が変更されるため、後々その他書類の申請や
手続きがスムーズに進まない場合があることも、想定しておきましょう。

まとめ

世帯分離は、住民税や介護保険自己負担額を軽減するために行います。
親の所得が低い時には、世帯分離を行うことで世帯の所得によって金額が決まる住民税や介護保険の
自己負担額を軽減することができます。
市町村の役所で世帯分離をして住民税や介護保険自己負担額が安くなるのか確認しましょう。

世帯分離には、役所窓口でマイナンバーカードなどの身分証明証と印鑑・世帯変更届の提出が
必要になります。
必要書類を揃えて提出しましょう。

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